馬楽の時間 32

調教について つづき
 さて再び丸馬場。馬を放します。人間に不信感がある馬は必ず走ります。頭を高くし、耳を伏せ、鼻の穴も満開です。人から逃げたいのです。逃げたいのだから追ってはだめです。「いじめないよー」と、穏やかに優しく見守ります。速い動きも厳禁。馬は勝手に手前を変えるかも知れません。危険がない限り、全部おおめに見ます。「この人何にもしないなあ」と思ってくれるまで待ちます。もし、もしですよ、どうしても落ち着いてくれなければ、馬場から出て馬から見えないよう隠れます。「あれ~?」と、馬は人を探しだし、走りをやめます。そして入口へ顔を出します。エサをあげてヨシヨシしてあげます。今日はお終い。

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