馬楽の時間 88

 速歩で大きな輪乗りをしています。学生は輪乗りの中心で見ています。私の話を聞いてもらうためです。私は今何をしているかを出来るだけ分かり易く話します。実況中継です。
 ゆっくりの速歩、大きな速歩を繰り返し、歩度の伸縮をします。まだ極端にはしません。
 輪乗りの手前を変え。進行方向に顔を向けます。まず外の手綱を弛め、顔が内に向き易くします。顔が内に向くと内の手綱が弛むので控えます。そして外の圧し手綱。輪乗りの中央で左右の手前が変わるので、丁寧に顔を進行方向に向けます。綺麗なS字を書きます。馬の従順性、柔軟性を確認しながら、輪乗り中に顔を外に向けます。逆に内にも向けます。これも説明しながらです。何をしているかを分かって欲しいからです。
 次は、輪乗りの手前を変える時、例えば左手前の輪乗りから中央に進むとき顔は左に向けます。輪乗りの中央点を通過しても、顔は左に向けたまま右へ進み、輪乗りの輪線上で顔を正規の進行方向に向けます。
 これらの運動で、手綱操作と体重移動への従順性が得られます。
 何度も言いますが、馬が理解しているかどうかを確認しながらです。
 もうかなりのことが出来るようになりました。馬が以前から出来ていたかのように。一度も馬に無理をさせていません。乗せてもらってから、いわゆる派手なことは何もしていません。
 学生に乗りかわります。馬が学生に教えてくれるでしょう。


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