
バドミントンサークルの参加管理を廃止したら、好評だった話
私はバドミントンサークルを運営していますが、長年面倒だと感じていたのが「メンバーの参加管理(出欠管理)」です。
参加申請を受け付け、満員になったかと思えばキャンセルが続出し、最終的な参加者が確定するまでの過程がすべて見えてしまうのは、知らない間にストレスにもなっていました。
そこで、思い切って参加管理を廃止しました。
廃止には不安の声もありましたが、実は昔から参加管理を行わないコミュニティは多く存在し、成立するロジックがあります。
そして実際に運用してみたところ、理論どおりに機能しました。
本記事では、そのロジックを含め説明します。
なぜ参加管理が必要なのか?
バドミントンサークルは参加管理をすることが「当たり前」という認識を持っている人は多いですが、必ずしもそうとは限りません。
参加管理の主な理由は以下の3つです。
定員を超えないように調整するため
参加人数が少なすぎて赤字を出さないため
参加者を把握し、個別対応をするため
しかし、「3」が必要ないのであれば、参加管理は必須ではありません。
参加管理のデメリット
参加管理を行うことには、以下のデメリットがあります。
運営者・参加者ともに手間がかかる
参加者数が公開されると、参加人数にばらつきが出やすい
満員になると、参加したいメンバーが参加できなくなる
特に「2」については、日本人特有の「同調傾向」が影響します。
参加者の顔ぶれを見て、自分も参加するかどうか決める
参加人数が少ないと「参加をやめる」人が増え、多いと「さらに増える」
これらの問題は参加管理ならでは。
次に参加管理廃止のロジックを説明します。
正規分布を活用する
「自然に生じる誤差や個体差」は正規分布という形をとることが多いです。
正規分布とは、データの多くが平均値付近に集中し、左右対称の山なりの形になる確率分布のことです。
例えば、人間の身長やテストの点数など、自然に発生する数値の多くは正規分布に従います。
つまり毎回の参加数も実は、
一定の範囲内に収まっている場合が多く
それを利用して参加人数を調整します。
【重要なポイント】
「誰が参加するか」を事前に知らせない
情報を公開せず、自然に発生する参加パターンを利用する

95.4%の確率で±2σの範囲に収まる
正規分布では、値の95.4%が「平均値±標準偏差(σ)×2」の範囲に収まることが分かっています。ここでの値は「各回の参加人数」です。
<標準偏差(σ)>
過去の参加人数データをExcelでリスト化し、以下の関数を使うと標準偏差(σ)を求めることができます。
=STDEV.P(リスト)
もし標準偏差が「2」なら、95.4%の確率で「平均参加人数±4人」の範囲に収まるということです。
ぜひご自身のクラブの標準偏差(σ)を計算してみてください。
実践例:私のサークルの場合
私のバドミントンサークルでは、3コート体制で平均参加者を19人に設定しました。また標準偏差(σ)=2.2という数字を持っていました。
つまり計算上、参加人数は以下のようになります。
68%の確率で「16.8~21.2人」
95.4%の確率で「14.6~23.4人」
実際は計算どおり多くの回で17〜21人程度で安定しました。
たまに14人や24人になることもありますが、基本的にはこの範囲に収まるため、参加管理は不要となったのです。

ばらつきを抑えるための工夫
標準偏差(σ)が小さいほど、参加人数のブレが少なくなります。
これを安定させるためには、開催条件を統一するほうが有利になります。
曜日
会場
時間帯
料金
多くの項目が統一できれば、標準偏差を低く抑えやすくなります。反対に、例えば料金を人数依存の割り勘にしていれば、標準偏差は高くなり、ばらつき要因になります。
理想的な料金制度:自動決済型の定額制
参加管理を行わない場合、最も理想的な料金制度は、定額制(サブスクリプション)です。
毎回の支払いの手間がなくなる
金額を気にせず、自然な参加パターンが生まれる
予算が把握でき、赤字リスクを回避できる
上記により運営・参加者、双方手間は、ますます無くなります。
参加管理を廃止した結果、非常に好評
導入時には不安の声もありましたが、実際に運用してみると非常に好評でした。
好評な理由はこれらに柔軟に対応できるから
急な体調不良
急な仕事の発生
急な予定のキャンセル
急な予定変更は誰にでも平等に起こるものなので、「自然」に含まれます。
他サークルは出欠の連絡がしっかり行える人
という加入要件が書かれていることが多いので、現在では当サークルの売りにもなっています。
運営者が気にすべきポイント
参加管理をしない場合、運営者は平均参加人数が狙いからずれていないかを定期的にチェックする必要があります。
基本的に、時間が経つにつれ平均参加者数は徐々に減っていく傾向があります。適宜、新規メンバーを追加しながらバランスを取ってください。
まとめ
本記事のまとめは以下になります。
「自然」な状態を作り上げることによって、参加人数は正規分布となり、出欠管理は不要になる
開催条件を統一していけば、よりばらつきを抑えられる
自動決済型の定額制(サブスクリプション)との相性が非常に良い
参加・キャンセルの連絡は双方に負担となっているので、出欠管理の廃止は非常に好評
運営者は平均参加者がズレてきていないかをチェックする。