
【二度手間ダブル】#4 ダブルバトルの○○要員
「○○要員」とは
皆様は、ダブルバトルでよく使われる「○○要員」、いくつ思いつきますか?
猫だまし要員、天候要員、追い風要員、この指要員、威嚇要員など…
我々は普段無意識にこの言葉を使っています。
しかし、実際にそれらがどの程度あるのかまで把握してるプレイヤーはそこまで多くないのでは、と私は思っております。
今回はこの概念について考察します。
○○要員の言語化
いきなりですが、初めにこちらをご覧ください。

ダブルバトルにおける各ポケモンの役割を、やや主観ですが体系化してみました。
これらを踏まえて、構築に入れておきたい○○要員を箇条書きにしてみましょう。
《アタッカー枠》
・高火力アタッカー要員(単体 / 範囲)
・高速アタッカー要員(スカーフ / ブーエナ含む)
・先制技要員
・高耐久アタッカー要員(チョッキ含む)
・行動保障アタッカー要員(タスキ / 頑丈)
・必中アタッカー要員
《支援枠》
・天候要員(主に天候特性、いたずらごころ)
・フィールド要員(主にイエッサン♂♀、ゴリランダー、ミライドン)
・バフ要員
・手助け要員
・追い風 / トリル要員
・素早さ操作要員(凍える風、電磁波など)
・この指 / 怒りの粉要員
・ワイガ要員
・壁張り要員
・回復要員
・サイクル要員
・味方殴り要員
・引き先要員(高耐久が条件)
《妨害枠》
・デバフ要員
・状態異常要員
・猫だまし要員
・守る妨害要員(フェイント、挑発、封印、不可視の拳による守る状態貫通など)
・行動制限要員(アンコール、挑発、こだわり系アイテムトリックなど)
《対策・メタ枠》
・威嚇対策要員(確定急所含む)
・先制技対策要員
・特定メタ要員(特性や持ち物、採用率の低い技やテラスタイプなど)
有名構築の要員数
上記のような役割は、いわゆる「暗黙知」に該当すると考えられます。
経験的に何となく理解はしているけど、厳密に言語化はできないという概念です。
これを「形式知」…すなわち、言語や図表のように見える形にすること。
それが本記事の目的であり、同時に【片手間ダブル】の狙いの1つでもあるのです。
さて、前項でダブルバトルにおける役割及び「○○要員」を一通り洗い出しました。
これがどの程度信憑性があるのかを検証していきたいと思います。
まずはレギュG枠として、WCS2024準優勝の ビッチィ 様の構築記事になります。
(詳細は当該記事をご覧ください)

各ポケモンに役割が詰め込まれています。
全体的な攻撃性能や遂行速度の高さはもちろんのこと、支援や妨害の手段もある程度確保されており、攪乱的アグロやミッドレンジに近い構築タイプであることが分かります。
※構築タイプについては【片手間ダブル;Remasters】の⑥をご覧ください
役割の被りは少なく、しかし構築パワーは高い…
素人の私でも分かるほどの美しさです。
まさにお手本の構築ですね。
続いてレギュH枠として、S23にて1位を獲得された えりざべポケ 様の構築記事です。
(こちらも詳細は当該記事をご覧ください)

レギュHは禁伝や準伝統が使用禁止になり、環境全体の種族値が下降しました。
その影響か、エース頼みではなく選出メンバー全員で押し切るといった動きが流行しています。
本構築はまさにその典型例で、ほぼ全員がアタッカーとしての役割を持ちながら、一部のポケモンは支援や妨害も同時にこなしていくといった構造になっています。
先ほどの構築に負けず劣らず、無駄の少ない美しい構築と言えるでしょう。
上級者の構築意図を読み取る手段の1つとして、○○要員の可視化は一定の効果を発揮しているといっても差し支えないと思われます。
想像以上の結果が得られました。
構築作成への応用
本章での考察は、以下の場面で役に立つ可能性があると考えています。
・使用構築の各ポケモンの役割被りを調べるとき
・使用構築の役割の不足部分を調べるとき
・各シーズンで結果を出した構築を分析するとき
ちなみに、私がS21で使用したカイオーガ構築でも同じような分析を行ったのですが、少しだけ残念なことが判明しました。

役割数は少ないほど行動範囲が狭く、他のポケモンへの依存度が高いと言えます。
このカイオーガは他5体のサポートを受けて瞑想を積むことが前提だったのですが、それが役割数に反映されていることが分かります。
加えて、実はヤミラミの役割の範囲が非常に狭く(アンコールも金縛りも行動制限のカテゴリー)、構築全体で見るとかなり仕事量が少ないポケモンだったのです。
逆にガエンゴリラは役割過多で、過労枠だったことが分かりました。
構築を修正するとしたら、まずはヤミラミの枠をもっとメタに近づけたポケモンに変更するところからでしょうか。
こういった感じで、構築を練る際に要員表を使うのが良いと思われます。
少しでも皆様にとっての暗黙知が形式知に近付いたのでしたら幸いです。