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無痛分娩って言い方いい加減にやめれ!叫!
無痛分娩って誰が言い出したんだ?
いろいろ調べてみたが、無痛分娩という言葉をだれが使い始めたのかわからない。無痛じゃないのに無痛分娩だって言ったり、分娩時に行う硬膜外麻酔法のことを無痛分娩と言ったり(硬膜外麻酔以外にもたくさん方法はあるのに)、カオスだ。
産科病院や大きな病院の説明文でも全てと言って良いくらい「無痛分娩でも痛みがないわけではありません。」と但し書きがある。
「食後のコーヒー無料、通常500円」って掲げて、「ほんとは、通常500円のコーヒーが200円なんですよ。」って後から言われる。
「無痛分娩」って掲げて、「実際は無痛じゃ無いんですよ」ってこれは、おとり広告で消費者庁案件じゃないのか?
「無痛分娩といっても痛みが無いわけじゃないんです。」毎回説明しなければならない現場の立場になってほしい。
「無痛分娩っていいながら無痛ではなかったことに関して充分な説明がなされなかった。」なんてクレームは誤解をさせた現場の医療者が悪いのか。
麻酔科学会や産科婦人科学会ですら無痛分娩という言葉を使っている。なので、メディアや非医療者も当然使う。
そして、現場の人間が困る。
この無痛分娩という言葉は不適切だと何十年も言われている。本当にずっーと言われている。「世の中にすでに一般的に使われている言葉だから、わかりやすさのために使い続けている」そうだ。日本ではあまり普及していなかった硬膜外鎮痛法を用いた分娩の管理も、徐々に増加し日本の全分娩の10%まで達してきているらしいのに。
分娩時鎮痛もいろいろ
・硬膜外麻酔分娩では無痛を目指して行われていない。
技術的には可能ではあるが、硬膜外麻酔だけで経膣分娩を無痛にしようとすると、良くない出来事が発生する可能性が高まる。(もちろん帝王切開を硬膜外麻酔のみで行うときは、無痛を目指して行う。)、ただし、硬膜外麻酔のみの鎮痛でも、良くない出来事が起きない範囲で鎮痛して、痛みが無く分娩を終えられるラッキーな人もいる。
・硬膜外鎮痛法だけが分娩時の鎮痛方法ではない。
局所麻酔法の硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔併用硬膜外麻酔、DPE(Dural Puncture Epidural)、pudental nerve block、paracervical block、scral erector spinae plane blockも、全身に麻薬性鎮痛薬を使ったPCAも分娩時鎮痛Labor Analgesiaに用いられている。むしろ硬膜外麻酔だけで鎮痛するのは、世界的に見ると時代遅れだろう。
・分娩時鎮痛は児の娩出以降にも用いる。
胎盤娩出、後陣痛、会陰切開や裂傷の縫合時にも鎮痛する。胎盤経由で赤ちゃんへお薬が移行することを考えなくて良く、授乳児に赤ちゃんへお薬が移行することを考える必要があるが、使用できる薬剤や量の選択肢が増える。赤ちゃんが産まれた後も硬膜外麻酔だけで鎮痛することはむしろ稀。
痛みをやわらげるで、和痛分娩
現在、それなりに使われていてより適切な言葉は、和痛分娩だろう。痛みを和らげながら行う分娩で和痛分娩。痛みを和らげた結果、人によっては無痛に感じる場合もあるだろう。他のより良い言葉があれば、それでもいい。とにかく偉い人達で考え、世の中に与えている誤解と、現場の医療者の負担を軽減してほしい。
例えば、和痛分娩という言葉を使うことに決まったら、この先10年くらいは、麻酔科や産科婦人科学会の研修プログラムを担っている施設では、「和痛分娩(旧無痛分娩)」と併記すれば良い。
スポーツの領域で、昔はサドンデス(Sudden Death突然死)という言葉が使われていたが、Vゴールやゴールデンゴールに置き換わった。
医療界もできるはず、、、?
偉い先生方お願いします!