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「RANDOM」企画書

キャッチ

でたらめ男が仲間のために、奈落へ堕ちるまでの物語。

あらすじ

本作は、
主人公が自分の運命に抗い仲間との絆を試される冒険ファンタジーです。

異形と人間が共存する遥か未来の世界。
ここで暮らす一匹狼の賞金稼ぎ、ランダム。
彼は人間と悪魔のハーフだ。

「他人は信じるのではなく騙すもの」と考え仲間は作らない主義なのだが、成り行きで同じ賞金稼ぎのドワーフであるトライホーンと、誰も帰ってこられないという噂の死地「モラ・オリジン」のミッションへ向かう。

そこで待ち受ける試練の数々。仲間も増え徐々に自分の心がほぐれていくのを感じると同時に、ランダムはこの世界が自分の片割れ…「悪魔」の支配する邪悪な土地であること、そして自分がこの地に魅入られかけていることにも気づいていた――。

1話あらすじ


「どうして…」
一人の女が倒れこむ。その体からはとめどない血。
空は曇天。月灯りすら無いねっとりした夜。

「どうしてだろうね」
杖を突き付ける男は、笑顔とも泣き顔とも付かない顔で呟く。
女性の背後には仲間と思しき人影。泣く者、激高する者。
その中でもひときわ小さく逞しい男が、力なく武器をぶら下げて弛緩した表情を浮かべている。
頭には2本の角と、折れてしまったらしいもう1本の角の跡。

ずずず…という音。
地面が避けて何かが溢れる。杖の持ち主は静かにその中へ沈む。
最後に見えたのは、片方が欠けた頭の2本の角。

「あのデタラメ男…」3本角だったであろう男は一筋泣いた。

(上記シーンから場面転換して本編へ)

「すみません、通していただけます?」
声をかけられた女性二人組は、嫌なものを避けるように道を開けた。
視線の先には片折れの2本の角を持った異形の男。
「どうも」
二人を気にもかけず、男はまた歩き出す。
「初めて見た」
「住みつかれたら困るね」
男を見ながら女性はひそひそ話を続ける。

あるバーに着く。中は屈強そうな客ばかり。
「ウイスキー」
銅貨を出すと、先と同じ視線。
「今日のミッションに参加する賞金稼ぎ?それとも便乗してお金巻き上げにきた詐欺師?」
「前者のつもりだけど、お望みならどちらも」
舌打ちしたウェイターは酒を注ぎ、
「半分野郎は値段2倍」ともう一枚銅貨を要求。
「そうか…じゃあ4倍の量頼むよ」
銅貨を握らせ目を凝視すると、ウェイターは「ほへ?」と酒をつぎ足す。

席へ向かおうとすると、
「何今の!すげー!」下から声。珍しい3本角のドワーフ。
無視していると「お前も騙されるぞ」と店の奥から声がする。

「あれってこのミッション主催の…」
「腕利きウィザード、ハイゲだよ」
ハイゲは男を睨みつける。
「お前”デビ”だな。しかも心術を操る。そんな胡散臭い奴不要だ。帰れ」

またこういうパターンか…。言い返そうとすると、
先に「そんな言い方無いでしょう!」とさっきのドワーフ。
「僕が一緒に行動する!変な事したら教えるから」
「は…?」
呆気にとられる。
何故自分を庇うのかは分からないが、現状別の食い扶持も無い。
「ハイゲさん、俺は利害が合う相手に悪さはしません。このウイスキーも返してきましょうか」
そう言って微笑むとハイゲは鼻を鳴らす。
「…おかしなことがあれば、すぐお前を地獄に送り返す」
笑いかけてくるドワーフ。
(阿呆は使い所次第か)
ひときわ大きなため息が出た。

2話以降あらすじ

【モラ・オリジンへの道中】

ミッションはこの地域の住人が疾走している謎を解くため死地「モラ・オリジン」を捜査すること。原因究明及び悪人の退治者に報酬。名の上がった賞金稼ぎグループが多数居る事に気付く。
★ハイゲから、モラ・オリジンは謎に包まれており、その地は暗闇に包まれている、奥まで進むと二度と戻れない噂がある事を聞く。

モラ・オリジンへ向かう道中、自己紹介を済ませる二人。
トライホーンはランダム同様、無名の野良稼ぎだと分かる。他が4~5人のグループを組んでいるのを見ながら「こいつもあぶれ組か…」と納得。助けられたようで、やはり巻き込まれただけだったか…?とため息を付いていると一組のグループが近づいてくる。彼らも有名な賞金稼ぎの内の一組で、人間とエルフ、キツネなど多様な種別で組まれる珍しいグループだった。先ほどの悶着で興味を持ったらしく、協業を持ちかけられる。
★メンバーの一人がモラ・オリジンの地図を持っている。噂を信じるなら、デビは暗視に強いと聞くから一緒に動いて欲しいと言われる。

たどり着いたのは深い深い洞窟。
中に巣食う魔物を退治しながら最下層に付くと、
一人の女が吊るしあげられており周りには祭壇らしきものが。
住人の死体が山積みになっていて、一目で異様な空間と分かる。

敵のアジトと人質だと感じた一団のひとりが女性に駆け寄る。
ハイゲの制御を聞かず触れた瞬間、溶け出す祭壇。
液体が一団を飲みこみ、洞窟は静寂だけが残る。

【モラ・オリジンへの到着】

ランダムの夢の中。故郷が人間の手で失われ、幼いころに攫われてきたことや長い間虐げられて生きてきたであろうことが分かる内容。
辛い過去の夢から目を覚ますと、見知らぬ地に居る事に気付く。
隣にはトライホーンしかおらず、たたき起こす。
言いようのない吐き気を感じながら辺りを伺うと少し遠くに生き物の気配。
鬱蒼とした林の中から注意深く近寄ると、大きな墓地を見つける。
そこで見覚えある集団と長髪の男が対峙している。
「あの男の人誰だろう…?戦ってるのかな?行かないと!」
林から飛び出そうとするトライホーンを引き留めるランダム。
「あいつは…やばい…!」
ランダムの異様な怯えように思わず動きを止めるトライホーン。
その瞬間、腕利きと有名だったはずがあっけなく殺される一団たち。

「俺の仲間は傷つけさせない!!!!」
協業を持ち掛けてきた仲間の声が響く。
「あの人も居たんだ…!もう見殺しに出来ないよ!」
また立ちあがろうとするトライホーン。
(ふざけるな!お前が騒ぐと俺まで殺されるかもしれないだろ!)
とっさに心術で抑えこもうとするランダムだが、
「あのね…実は、僕人間は嫌い。でも彼らは優しくしてくれたから…」
とまっすぐ目を見て呟いたトライホーンに、先ほどの夢を思い出し動揺。
その一瞬の隙をついてトライホーンは林から飛び出す。
仕方なく後を追うランダム。

長髪の男を近くで見るや、更に強い吐き気と眩暈で意識が飛ぶランダム。
朦朧とする司会の中、飛び出した自分たちを護って死ぬ仲間の姿と
何故かランダムを見て満足そうに笑い何か呟いて霧と消える男が見えた…。

土を掘る音で目が覚めるランダム。
トライホーンが泣きながら、死体を墓地の横に埋めている。
「結局、助けるつもりが僕のせいで死んじゃった…ごめん…ごめん…」
そう言いながら穴を掘るトライホーンの背には何か刺さっている。
仲間は最後に、トライホーンにモラ・オリジンの地図を託してくれた。
その地図を見て、意識が飛ぶ前の長髪の男の言葉を思い出す。
あの男は確かに「モラ・オリジンへようこそ」と言った。

【モラ・オリジンでの旅の始まり】

もはやミッションどころではない。
しかしここから生きて出るため、
一緒に行動することにしたランダムとトライホーン。
地図を見ようにも現在地が分からないので、近くに見えた城を目指す。
道中、トライホーンが
「あの男が帰ったのってランダムが心術でやったの…?すごいね…?」
と盛大な勘違いでランダムを賞賛する。
「まあね。ただ、さすがに力を使いすぎて倒れちゃったけど」
そういうことにしておく。

門までたどり着くと随分立派な城。
また吐き気がぶり返すランダム。
ランダムには殺意や悪意のこもった魔力に触れるとこうした症状が出る。
(この城、今入るのはかなりヤバいんじゃ…)
トライホーンを制止しようとすると、既に門の目の前まで駆け寄っていた。
「こんな立派なところなら誰か居るよね!よかったー!」
「阿呆!止まれ…!」
トライホーンが門に手をかけようとした瞬間、
後ろからボーガンの矢が飛んでくる。
敵かと身構えたが、現れたのは人間の女と大きな人狼。
「あの糞野郎に何の用?私が殺すんだけど」

「あ~用っていうか、ちょっと困ってて…にしてもお姉さん物騒ですね?」
殺気立つ女を魅了しようとするランダム。
「…で?」
「え?」
「効かないけど、それ」
どうやら女は手練れのハンターらしく、ランダムの策は失敗に終わる。
「こんなへっぽこ相手にならない」と弓を降ろす女。
「へっぽこじゃない!さっきだって…」と言いかけるトライホーンを
「もういい、やめてくれ」と遮るランダム。
女と人狼はそれに構わず、付いてこいと歩きだした。

やってきたのは小さな集落。そこまでの道中お互い自己紹介。
女性はベラ、人狼はジェイコブ。
二人は訳あってこの地にやってきた幼馴染らしく、
やはり本業はハンターであるらしい。

集落は人間ばかりで苦い顔をするランダムだが、
「この世界では悪魔なんて珍しくない」
とベラに一蹴されあるテントに入れと言われる。
待ち構えていたのはエヴァと名乗る、ひとりの老婆。
面倒なものを拾ってきたな…と悪態をつきながら、
「しかしこんな弱そうなの、よくここで生き延びてるねえ!何しに来た?」
と笑われる。

そこで我慢の限界が来たランダム。
「こっちこそ聞きたい、何なんだここは!危険なミッションとは言ってたが、こんな骨折り損の展開は予想外だ!!!」
怒りながら今までの経緯をぶつけ、老婆に食い掛る。
「ランダムがこんなに怒ってるの初めて見た…」
トライホーンは呆気にとられるが、ベラが殴って落ち着かせる。
「つまり、ただの迷子かい…」
呆れつつ、モラ・オリジンの話をするエヴァ。
ここはヴァンパイアが支配する太陽の無い世界。
外界に出るには男を倒すしかないという。
★ここで、ヴァンパイア≒悪魔の支配する土地であると分かる。長髪の男はここを支配する本人で、二人が入ろうとしたのはまさのそのヴァンパイアの城だった。
「あの男を倒さないとここから出られない…!?」
絶望するランダム、トライホーン。

ベラ、ジェイコブがここに来たのも男を倒すのが目的らしく、
利害が一致するなら力を合わせようと言われる。
もしかしたら、まだ生きている他の仲間も動いているかもしれない。
手を組む4人。

餞に道中を占おうと申し出るエヴァ。
占いの結果を読み上げながら言いよどむ。
「この中の一人は、裏切り者となるかもしれない…」
エヴァの占いはよく当たる。一抹の不安を抱えながら、彼らは旅路に出る。

この先の展開
・旅の中でランダムは徐々に自分だけに聞こえる「誘惑」の声を感じ出す。
・ある戦いで命を落とすランダムは、生き返りと引換に「誘惑」に応じる。それはこの世界に巣食う”悪魔の王子”との契約であり「仲間を護る為」の厳しい決断をいくつも迫られることになる。

#週刊少年マガジン原作大賞

※本企画書は、筆者がプレイした「ダンジョンズアンドドラゴンズ」におけるプレイログをベースに執筆しています。

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