【2000字のホラー】帰路
自転車を一度降りないと通れない。
国道を横に逸れた、細い一本道。住宅地の中を暫く進んだ所だった。黄色く塗装され、Uの字を逆さにしたような、よく見かける自転車防止柵。道幅は自転車1台でギリギリの小さな道だ。本来通るべきでは無かったのだろうが、家路を急いでいたので適当に抜けられるだろうと入り込んでしまった。
時報と、間延びしたゆうやけこやけが聞こえる。17時を回ったらしい。自転車から降りると、顔を撫でていた涼しい空気が私の肌で熱された。日は短くなり、辺りは既に群青色に染まりだ