半導体株について
半導体とは?
半導体は、金属と絶縁体の中間の電気伝導性を持つ物質です。一般的な例としてはシリコンがあります。これらは、電気伝導性を調整することができ、これがコンピュータチップやトランジスタなどの電子機器の心臓部となっています。
半導体の歴史
半導体の重要性
私たちの日常生活において、半導体はスマートフォンから車、医療機器まで、あらゆる最先端技術に不可欠です。このため、半導体業界の動向はテクノロジーの未来を左右します。
半導体株とは?
半導体株は、半導体を製造または設計する企業の株式です。例えば、インテル、台湾積体電路製造(TSMC)、サムスンなどが有名です。これらの企業の業績は、技術進歩、市場の需要、製造能力などによって大きく左右されます。
まずは半導体について理解を深めていきます。
半導体の基本
半導体は物質の一種で、電気伝導性に特殊な性質を持っています。伝導性とは、電気がどれだけ簡単に流れるかを意味します。金属(例えば銅や銀)は電気をよく導くので、高い伝導性を持っています。一方、ゴムやガラスのような絶縁体は電気をほとんど導かないので、低い伝導性を持っています。半導体はこの二つの中間に位置し、温度や光、外部からの電圧の影響を受けて伝導性が変わる性質があります。
半導体の材料:シリコン
最も一般的な半導体材料はシリコンです。シリコンは地球の地殻に豊富に存在し、砂の主要成分です。シリコンはその自然の状態ではそれほど良い電気伝導体ではありませんが、わずかな量の他の元素(これを「ドーピング」と言います)を加えることで、その電気的特性を大きく変えることができます。
半導体の用途
半導体は、電子回路の基本的な構成要素です。トランジスタ、ダイオード、IC(集積回路)などがこれに該当します。これらはコンピュータ、携帯電話、テレビなど私たちが日常使っている電子製品の中核をなす部品です。
電気伝導性とは?
電気伝導性は、物質がどれだけ簡単に電気を通すかを示す性質です。これを理解するには、「電子」という概念を押さえる必要があります。電子は原子の周りを回っている非常に小さな粒子で、電気を持っています。
金属: 金属内では、電子は比較的自由に動き回ることができます。これが金属が良い導体である理由です。電子が自由に動けると、電気も自由に流れることができます。
絶縁体: 絶縁体では、電子は原子に強く固定されていて自由に動けません。このため、電気はほとんど流れません。
半導体の特性
半導体の特性は、金属と絶縁体の中間にあります。通常の状態では、半導体の電子はあまり自由に動けませんが、特定の条件下(例えば、温度が上がる、光が当たる、外部から電圧が加わるなど)では、電子が動きやすくなり、電気を通しやすくなります。
シリコンのドーピング
シリコンなどの半導体材料に、極微量の他の元素(例えばホウ素やリン)を加えることを「ドーピング」と言います。これによって、半導体の電気的性質を意図的に変えることができます。ドーピングによって、半導体は電子を手放しやすくなったり(N型)、電子を引きつけやすくなったり(P型)します。
このドーピングによる性質の変化が、半導体を使った電子機器(トランジスタやダイオードなど)の基礎を成します。
電気伝導性の説明:道路のアナロジー
電気伝導性を、車が通る道路として考えてみましょう。
金属(良い導体): これは広くて開けた高速道路のようなものです。ここでは車(電子)が非常にスムーズに移動できます。つまり、電気が非常に容易に流れることができるのです。
絶縁体(悪い導体): これは車がほとんど通れない、閉ざされた道路のようなものです。車(電子)は動けないため、交通(電気)の流れはほとんどありません。
半導体の説明:道路に信号がある場合
半導体は、特定の条件下でのみ「通行」を許可する信号がある道路と考えることができます。
通常状態では、この道路は静かで、車(電子)はあまり動きません。
しかし、信号(外部からのエネルギー、例えば光や熱)が青に変わると、車(電子)が動き始め、道路(半導体)は車(電気)の流れを許可します。
シリコンのドーピング:道路に特別なレーンを追加
ドーピングは、この道路(シリコン)に特別なレーン(別の元素)を追加することです。これにより、車(電子)の流れをさらにコントロールできます。
N型ドーピング: ここでは、追加されたレーンに「余分な車(電子)」があり、信号(外部エネルギー)が青になると、これらの車が道路をスムーズに移動できます。
P型ドーピング: この場合、いくつかの「駐車スペース(電子が不足している場所)」があり、これらのスペースを埋めるために近くの車(電子)が動く必要があります。
このようにして、半導体の性質はドーピングによって大きく変化し、電子の流れをコントロールすることができるようになります。これが電子デバイスの基本原理です。
半導体の歴史
半導体の歴史:簡易的なタイムライン
20世紀初頭:
半導体の研究は、物質の電気伝導性を探求することから始まりました。科学者たちは、物質が光や熱によって電気を運ぶ方法を理解し始めます。
1947年:トランジスタの発明
ジョン・バーディーンとウォルター・ブラッテン、ウィリアム・ショックレーは、ベル研究所で最初のポイントコンタクトトランジスタを発明しました。
トランジスタは、電流を増幅またはスイッチするために使われ、従来の真空管を置き換えるものとして注目されました。これは電子機器を小型化し、耐久性と効率を向上させる一大革命でした。
1958年:集積回路の登場
ジャック・キルビー(テキサス・インスツルメンツ)とロバート・ノイス(フェアチャイルド・セミコンダクター)が、ほぼ同時期に集積回路を発明しました。
集積回路(IC)は、単一の半導体チップ上に複数の電子部品(トランジスタ、抵抗器、コンデンサ等)を統合することを可能にし、電子機器の更なる小型化と複雑化を促進しました。
1971年:マイクロプロセッサの登場
インテルが世界初のマイクロプロセッサ「Intel 4004」を発表しました。
マイクロプロセッサは、一つのチップ上にコンピュータの中心的な処理機能を集約しました。これはパーソナルコンピュータとデジタル革命の基盤を築きました。
1980年代:技術の高速化と小型化
1980年代には、半導体の製造技術が急速に進歩しました。これにより、より多くのトランジスタを一つのチップ上に集積できるようになり、コンピュータの処理能力が大幅に向上しました。
この時期には、携帯電話やポータブルコンピュータなど、新しいデジタルデバイスが登場し始めました。
21世紀:新しい応用分野の登場
半導体技術は、スマートフォン、タブレット、クラウドコンピューティング、AI、IoTなど、新しい領域に適用されるようになりました。
今日、半導体は通信、交通、医療など、あらゆる分野に不可欠なテクノロジーとなっています。
このように、半導体技術の進歩は、電子機器の小型化、高性能化、そして普及を促進し、現代のデジタル社会の基盤を形成してきました。
半導体関連企業
半導体製造会社
台湾積体電路製造公司 (TSMC):
世界最大の独立した半導体ファウンドリ(製造専業)企業です。TSMCは、先端技術を用いたチップの製造で知られています。
サムスン電子:
韓国の巨大企業で、半導体製造の分野でも世界をリードしています。高性能メモリチップや多様な半導体製品を製造しています。
インテル:
アメリカの大手半導体企業で、主にCPUやマイクロプロセッサを製造しています。自社製品の設計と製造の両方を行っています。
グローバルファウンドリーズ:
米国を拠点とする大手ファウンドリ企業で、多様な顧客に向けて幅広いプロセス技術でチップを製造しています。
SKハイニックス:
韓国の半導体メーカーで、主にメモリチップの製造に強みを持っています。
半導体設計会社
クアルコム:
アメリカの企業で、スマートフォン向けチップや通信関連の半導体の設計に特化しています。
エヌビディア:
GPUの開発で有名なアメリカの企業です。最近ではAIやディープラーニング向けのプロセッサ開発にも力を入れています。
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ (AMD):
CPUやGPUの設計で知られるアメリカの企業です。パーソナルコンピュータやサーバー向けのプロセッサを提供しています。
半導体業界に特化したETFの例
iShares PHLX Semiconductor ETF (SOXX):
PHLX半導体セクター指数に連動して運用されるETFで、多くの主要な半導体製造および設計企業を含んでいます。
VanEck Vectors Semiconductor ETF (SMH):
このETFは、主要な半導体製造および関連装置企業に焦点を当てています。
SPDR S&P Semiconductor ETF (XSD):
より広範な半導体業界に投資するETFで、大手から中小の半導体企業まで幅広くカバーしています。
レバレッジETF
SOXL(Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares)について
レバレッジETF:SOXLはレバレッジETFです。これは、基準となる指数(この場合は半導体セクター)の日々のリターンを3倍に増幅することを意味します。例えば、基準指数が1日で1%上昇すると、SOXLの価値は理論上3%上昇します。
高いリスクとリターン:
レバレッジ効果により、市場が上昇するときのリターンは大きくなりますが、同時に市場が下落するときのリスクも増大します。短期的な市場の変動が大きい影響を及ぼすため、投資リスクも高くなります。
短期取引向け:
SOXLは、特に短期的な取引戦略に適しています。長期保有の目的で設計されたものではなく、日々の市場の動きを利用した取引に適しているため、短期的な価格変動に注目するトレーダーに人気があります。
市場の変動に敏感:
レバレッジETFは、市場の小さな変動にも敏感に反応します。このため、市場の短期的な動向を正確に予測することが求められます。
コストと手数料:
レバレッジETFは通常、通常のETFや株式と比べて高い管理費用やその他の手数料がかかることがあります。これらのコストは、投資のリターンに影響を及ぼします。
半導体サイクルについて
半導体サイクルの各段階 約4年周期
需要の増加(拡張期):
新しいテクノロジーや市場ニーズが出現します。例えば、新しいスマートフォンやデータセンター、自動車産業のための半導体の需要が高まります。
技術革新や経済成長がこの需要を加速させます。
生産能力の拡大:
需要に応えるため、半導体企業は生産能力を拡張します。これには新工場の建設や既存工場のアップグレードが含まれます。
生産設備のアップグレードは時間とコストがかかり、短期間での調整が難しいです。
供給過剰と価格の下落(収縮期):
生産能力の急速な拡張が需要を超えると、供給過剰が発生します。
供給過剰は価格の下落を招き、半導体企業の収益に悪影響を与えます。
投資と生産の減速:
価格下落と収益の減少により、企業は新たな投資を控え、生産を縮小します。
この時期、古い技術や非効率な設備の廃止が進むこともあります。
需要の再増加とバランスの回復(回復期):
経済状況の改善や新技術の登場により、再び需要が高まります。
供給能力が適正化され、価格が安定し始めると、業界は次の成長フェーズに移行します。
成長と投資の再開(拡張期):
市場が安定し、新たな成長の兆しが見えると、企業は再び投資と生産拡大を始めます。
新しい技術の開発や市場の拡大が、次のサイクルを引き起こします。
非常に重要です。サイクルの理解は、生産計画、在庫管理、投資戦略において重要な意味を持ちます。
年度ごとにはめてみます。
2000-2004年(収縮 - 回復期): 2000年のドットコムバブルの崩壊後、市場は収縮期に入りましたが、その後回復に向かいました。
2004-2008年(拡張期): 経済の回復と共に半導体市場は拡張期に入りました。
2008-2012年(収縮 - 回復期): 2008年の世界的な金融危機により市場は再び収縮しましたが、その後徐々に回復しました。
2012-2016年(拡張期): スマートフォンやクラウドコンピューティングの普及により市場は拡張期に入りました。
2016-2020年(収縮 - 回復期): 市場の供給過剰や一部の経済問題により収縮期に入り、その後回復に向かいました。
2020-2024年(拡張期): 新型コロナウイルスの流行によるデジタル化の加速、ChatGPTの出現が市場を拡張期に導きました。
2024-2030年(収縮 - 回復期): 工場新設の加速、チップの供給過多から今後市場が収縮する可能性があるものの、AIのけん引は引き続き続くと予想される。一度収縮したその後再び回復に向かうと考えられます。
結論。
今はかなり上がってしまっている。余裕資金で買い向かうのはありだが、突っ込みすぎないよう注意。
次市場下落が起きるようであれば絶好の買場となる可能性が高いのでは。