【雑記】少牌はなぜ割れたのか
さて、来る2021年9月18・19日。僕の少牌マイティフリーイベント初ゲストはいよいよ目前となった。喜ばしいのは勿論だが、この緊急事態宣言の真っ只中に何ともまあ能天気な話だと我が事ながら呆れ果てるばかりだ。しかもこの能天気さは、灼けるような狂気を孕んでいる。
GENTEN首脳部へのゴリ押しが通り、今回は両日共に「割れ少」のイベントと相成った。言わずと知れた「割れ目+少牌マイティ」の略である。
割れ少についての話を進める前に、もし僕が心ある語り手ならば「アタマは一体どうなってしまったのか」そして「少牌マイティとは一体いかなるトンチキ麻雀なのか」について述べるべきだろうと思う。
簡潔にいこう。先ず、アタマは滅んだ。正確には『賭博としてのアタマ』は雲散霧消した。みんなこれだけは覚えておいてほしい。負けた奴はおおよそキレる。「こんなの麻雀じゃねえ」という罵倒を耳にする事が3桁を数えた頃、令和3年を以て僕はアタマに見切りをつけた。ただ、エンタメとしてのアタマは豊橋Donkey'sに完全な形で保存されているので安心して欲しい。
次。少牌マイティとは何か。この記事を読んでいる大多数の少牌人はもう既にご存じのはずであろう。もし知らないとしても、念の為この2つの動画を見ればもう大丈夫だ。「払え」、僕から言えるのはこれだけだ。
随分と前置きが長くなった。では、割れ少の話をするとしようか。
少牌の面白さとは何か
少牌の面白さの本質はなんだろうか。そもそも、少牌マイティ(以下少牌)の骨子は「待ちの複雑さ」ではない。
こんな聴牌が入って「うわーこれ何待ちなんだろう」となるのは精々が最初の200ゲーム位までだ。曲げて1pをツモって「かー、ド安目」位はこれからもずっと言うだろう(地下店*はツモピンを採用している為)。カジュアルゲームとして少牌を楽しむには重要な面白ポイントである点は認めるよう。けれども「これが面白くて週5で店に通ってるんだ」とは決してならない。
*地下店:大きな声では言えないので伏せ字にするがJ〇Gの事を指す。
また、上にあるような「面妖な何切る」もまた少牌の基幹であるとは言い難い。確かにこの手の大差なのか微差なのか一見して判らない何切るは収支に大きく影響し、しかも近代麻雀の歴史に比すれば全く未開拓の分野だ。待ち選択レベルの1、2枚の枚数差は局単位で見れば偉大なる分散の渦に呑みこまれてしまうけれども、その積み重ねが大差を生む事を僕たちは既に知っている。知的競技として少牌に真剣に取り組む上でのキーファクターに間違いない。だが、残念だがこれも人が少牌を続ける理由には成り得ない。ある日、友人の医者がとんでもない大差の選択ミスをしている所をたまたま後ろ見していた。局終わりに「今のは8枚差くらいあるけど」と声を掛けると、負けが込んで焼けに焼け倒していた彼は「そんな所で勝負は決まらないよ」と断言し、時として卓をぶっ叩きながら没頭していた。何切るを一切無視してここまで熱中できるのだ、そんなものが少牌の軸心である訳がない。
僕が主張しているのは純粋賭博として、いや、言い直そう。日常的な遊技としての少牌の面白さとは何か、という観点に尽きる。人が週7で雀荘に通い詰めて仕事や嫁や家屋敷を失う為に必要な因子は「待ちの複雑さ」でも「何切るの繊細さ」でもない。少牌の面白さの神髄は、その圧倒的な「疾走感」にあると僕は断言する。和了の高速さたるやしばしば山積みを追い抜き、卓が牌を積む音を皆で傾聴する「アルティマ越え」なる現象を引き起こす程だ。結果として生まれる高密度な展開が強烈なフロー体験をもたらし、脳汁はドバドバでズブズブに嵌りこむ。地下店の常連Iさんは「別に少牌が好きなわけじゃないけど、ただ13枚で麻雀をするのがもう遅くてつまらないだけ」と真顔で答えた。異論はあろうが、僕は彼の境地こそが真の少牌人の目指す所であると思う。
少牌はなぜ割れたのか
「割れ目」というオプションルールを御存じ無い方の為に下にWikipediaリンクを貼っておいた。ほんの数行の記載だがまあ大体わかる。
少牌とは結局ベースルールの1つだから、いくらでもオプションを付ける事ができる。例えばMKSリスナーのみなさんであればチューリップ・出目金・フィーバー辺りならば想像に容易いのではないだろうか。そして、何事にも嗜好と相性というものがある。「とりあえずオプションは全乗せしてインフレして脳汁が出ればそれでいい」と考える奴は物知らずの短慮な馬鹿だ。構成1つ違えばそれは別のテンポ、別のリズム、別の味わいのゲームになる。
結論から言うと、少牌と割れ目は最も相性が良かった。逆に悪かったのがチューリップだ。勿論チューリップと合せても楽しい、楽しいのだけれど別にそれは少牌とチューリップがそれぞれ単体として面白いだけに過ぎない。疾走感が信条の少牌なのに、牌めくりで時間を使ってどうする。人生は有限なのだから、一回でも多く局を回した方が良いに決まっている。チンタラと牌山ほじりに精を出す無能者は天和も碌に和了れないまま無為な人生を終えるだろう。
という訳で、僕は更なる疾走感と箱下の向こう側を求めて少牌に割れ目を足した。
割れ少とはどんなルールか
ついこの間、DMで質問を戴いた。簡単に記載しておこうと思う。
■30000持ち40000返し
■ウマはラスが20ポイント
■アリアリ1ハン
■赤各2
■華入り
■聴牌連
■ツモ損無し
■箱下有り
■丁度はトビ
■符計算無し
■100点棒.500点棒無し
■一発面前赤裏に祝儀1枚(5ポイント)
■トビは飛ばした人に1枚
■役満:出和了10枚・ツモ5枚オール
■四華:出和了10枚・ツモ5枚オール
■数え:出和了4枚・ツモ2枚オール
■割れ目は本場も含めて倍
ex.割れ子のマンツモ一本場は3000-5000は4000-6000は8000-12000
■空き席にドラ表示が出ない設定を推奨(全割れ無し)
これがざっくりと地下店のルールである。手牌で四枚同じ牌を使うと1ハンアップしたり、三連刻四連刻があったりと色々あるがそこは些細な所だ。このルールでやればまあまず「割れ少」が味わえる。
僕の立ち位置は本場インドカレーを伝道する為に来日したインド人だから、もしこれでみなさんがセットを楽しむならばやはりそれなりのお気持ちで遊んでほしいと切に願っている。参考までに地下店での割れ少が如何なるものかを書いてみた。コンプライアンスの為に有料となっているが、暇なら是非読んで欲しい。
黄金竜ふたたび
割れ少について語るならば、まず黄金竜の話をしなければならない。黄金竜がナニモノであるかについては以下の記事に詳しい。
さて、この黄金竜。近頃は良く地下店に訪れる。元スクイズメンバーのカワウソ君が地下店で働くようになって呼びこまれた客の1人だ。午前中の早い時間に店に行くと、彼はデケェ身体からこれまたデケェ声を出して明朗にこう言った。
「お、ハッケヨイさん!麻雀しますか?ステーキ食べに行ってもいいですよ!」
彼は朝っぱらから700gのミスジステーキを平らげながらご飯を山盛り3杯御代わりできる柄の男である。こいつと揃ってステーキ屋に行けば周囲の客たちが「今年の秋場所はコロナの影響で名古屋開催なのかしら」と思う事はまず間違いない。
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