ヴァイキング旅行2019年イギリス②〜ヨーク前編〜
ヨーク編の前にヨークの歴史とヴァイキングとの関係について紹介します。
ヨークはローマ時代から砦が築かれ、エボラクムの名で呼ばれるローマの重要な拠点の一つでした。
支配者がアングロ・サクソンに移った後はエオフォルヴィクと名を変え、行政と商業の機能を兼ね備えた都市へと発展していきます。
その後、ヴァイキングの到来により占領されたヨークはヨールヴィークと呼ばれ、イングランド東部に広がるデーン人の支配圏デーンローの首都として機能します。
ヴァイキングの支配下でヨークは交易と手工業が盛んに営まれる大商業地となり、ブリテン島におけるバルト海・北海貿易の拠点として繁栄します。
ヴァイキングによるヨークの支配は100年ほどで幕を閉じますが、入植したヴァイキングたちはその地に同化し、アングロ・スカンディナヴィアと呼ばれる両者の文化が融合した新しい文化を作り上げました。
20世紀に入ってヨークのカパーゲイトで偶然ヴァイキング時代の遺跡が発見されると、国を挙げて発掘が行われ、その発掘の成果によりヴァイキング時代のヨークの様々な実態が明らかになりました。
発掘した遺跡はそのまま保存され、そこに遺跡の展示と当時のヨークの街角を再現した博物館が作られます。
それがヨーヴィックヴァイキングセンター、世界でも指折りのヴァイキング博物館です。
つまり、自分のようなヴァイキング好きにとってヨークはたまらない町!
ヨークの街中へ
マンチェスターから電車に乗って1時間半ほどでヨークへ到着します。
ホームから人で賑わう駅の構内へ進むとヨーヴィックヴァイキングセンターのポスターを見つけて期待に胸が膨らみます。
ヨーク駅の中にはいくつかの飲食店が入っていて、ちょうど朝食がまだだったのでコーニッシュパスティの店に入りました。
コーニッシュパスティは初めてイギリス旅行に行ったときに食べて以来大好きになった料理で、見つける度に食べています。
お茶とコーニッシュパスティを注文して店内で少し遅めの朝食。
まだ体調が本調子ではないですが元気が出てきます。
いざヨークの街中を観光をするにも背中のバックパックが重いので、荷物を預けるためひとまず宿に向かいます。
駅から宿のある旧市街の方へ歩きだすと、橋のかかる大きな川が見えてきます。
ウーズ川です。ヨークの発展はこの町を流れるウーズ川の河川港と水上輸送によってもたらされたもので、歴史的にも重要な河川です。
ちなみにヴァイキング時代だと増加した人口で川は汚れて魚も住めなくなっていたとか。
町の中をゆったりと流れる川は穏やかそうに見えますが、この辺りは平地ということもあり、増水するとたびたび氾濫して水害を起こしています。
ヨーヴィックヴァイキングセンターも2015年に起きた水害により浸水し、一時閉館へ追い込まれました。この記事を書いている今もイギリスを嵐が襲い多くの河川が氾濫の危機に瀕しています。
ヨークの街中を歩いていると、煉瓦造りの昔からの街並みが続きます。
中世に築かれた城壁やヨークミンスターなど見どころが尽きません。
街中に植わっている木もナナカマドやサンザシなど日本ではなかなか見られない西欧独特のものが多く、目を楽しませてくれます。
ヨークの城壁。
町を囲むように建っています。階段を登れば壁の上も歩けますよ。
ヨークミンスターはイギリスで2番目に大きな大聖堂。
街の中にそびえる様子は風格たっぷりのヨークのランドマークです。
B&Bですこしお話したおばさまに是非行ってみてとお勧めいただいたけど、結局時間がなくていけなかった。飛行機さえ予定通り飛んでいれば!
ナナカマドです。北欧にも縁が深くてヴァイキング好きには親しみがあります。赤い実がきれいです。
イチイの木です。
弓を作るのに最適な木で、ヴァイキングもこの木を弓にしていたそうです。
ところどころ実っている赤い実は種に毒があるけど実は食べられるそうな。
流石に遠慮しましたが。
こちらはサンザシ。
ヴァイキングだけでなく西欧文化に広く馴染みがあり、神聖な樹木ともされています。
実は食べられるらしいので一つかじってみたら固くて味もなくて美味しくなかったです。なんでも食べようとしすぎですね。
ヨークシャー博物館へ
歴史ある建造物が軒を連ねる古都の街並みを眺めながら、歩いて20分ほどで宿に到着しました。荷物を置いて、さあ観光へと出かけましょう。
最初の目当てはヴァイキング関連の展示物があるヨークシャー博物館。
ウーズ川のそば、ヨークミンスターの向かい側にミュージアムガーデンズと呼ばれる広場があり、その中心にヨークシャー博物館があります。
ミュージアムガーデンズの中にはアートギャラリーや植物園などもあり、少し入り組んだ構造になっていて、迷いながらも人に行き方を教えてもらいなんとか到着。
博物館のそばにあるセントメアリー修道院跡がお出迎えしてくれます。
イギリスのこうした昔の建造物を街の中に残しているのは毎度見る度に驚嘆させられます。
日本では土地や気候、あと地震の問題があってなかなか真似できないでしょうね。
家族連れで賑わう広場からヨークシャー博物館へ入ります。
(外観撮るの忘れました……)
入場料は大人8£(1100円ほど)
展示内容はこの記事の初めに触れた、ヨークシャーで発掘されたローマ時代から続くヨークの歴史に関する発掘品と、化石や剥製などの自然関係の展示が主なようです。
どっちも興味がありますが、ここはまっすぐ歴史のコーナーに行きます。
時代に沿って初めにローマの展示物が続いたのち、アングロサクソンとヴァイキング関係の展示物が並び始めました。
ヨークの手工業によって生産された櫛や装飾品など。
Bedale Hoardで発見された出土品の一つで、金の板で象嵌が施された剣の柄頭です。美しいですね。
こちらはアングロサクソンの芸術様式で、後にヴァイキングによって略奪されたものだと考えられています。
銀製の腕輪の一部です。
貨幣として使用するために切断したのだろうかと妄想したり。
他にもビーズや、
コインなど。ヴァイキング関連だけでもけっこうな数の展示物がありました。
有名なヨークシャーの兜は他の博物館の展示に出しているのか、見当たりませんでした。うーん残念。
ヴァイキング以外だとローマ時代のモザイク画があり、人目をひいていました。
(靴下なら上に乗ってもいいらしく、乗ろうかどうかしばらく悩んだ)
時差ぼけからか、少ししんどくなってきたのでヨークシャー博物館を後にし、一度宿へ戻ります。
途中でテスコに寄ってサンドイッチとフルーツを購入。
生のラズベリーが1パック2£(260円ほど)で買えてたくさん食べられるのがうれしい。
桃も美味しかった!
イギリス旅行中に他にもあんずやチェリー、ブラックベリーなど普段あまり食べられないフルーツを食べ漁りました。
安くフルーツが買えるのは本当にうらやましい。
買ってきた物で昼を摂ってしばらく休んだ後、ヨークから少し離れたところにあるスタンフォードブリッジに向かいます。
ヨーク後編へ続く。