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TVの中のプロレス① 1本のビデオテープ

ひょっとして年齢的に私の世代はビデオデッキに触れた最後の世代になるのかな🤔
父がプロレスファンだったもんで、私の幼少期には格闘技専門チャンネルサムライや当時ガオラで放送されていた1時間枠のみちのくプロレスを録画したビデオテープやら週刊プロレスなどのプロレス雑誌が資料室と称された家の一室を占拠しておりました。

時代の流れは酷なもので90年代半ばからの総合格闘技のうねりは我が家にも押し寄せて、それに母親まで乗っかったもんだからKING OFスポーツを名乗ったプロレスは存在意義を問われることになったんだけど、ここは思想を語り場所ではないから割愛しとく。

そんなこんなであっという間に格闘技バブルも弾けビデオテープをDVD化する時代がやって来た。今じゃウソーっと言っちゃうけど2000年半ばのDVDの値段は家電量販店で5枚1パックで1200円ほどだったとか、限りある予算でDVD化に優先したのがZERO ONEの旗揚げ戦と三沢光晴と小川直哉の奇跡の最初で最後の対決だった旗揚げ第2戦であり、リングスのキングオブキングスであり、あとは無難に昭和の新日と全日と今になって思うにDVDに残す優先順位は間違いじゃなかったと思う。

ぜんぶのビデオテープにはラベルが貼ってあって、団体といつの試合か書かれていたんだけど
1本だけ名無しのテープがあってそれを見たお母さんが「それ裏ビデオなんじゃない」と茶化してたのをなぜか覚えているんだよ。
お母さんの茶化しに「これ裏ビデオだよ、プロレスの」と得意げに喋った父の顔と はぁーって感じの母の顔は私の姉も覚えているそうですが、肝心のビデオテープに収録されていた試合は新日本プロレス1987年11月19日に行われた暮れの87Japan Cup争奪タッグリーグ戦長州力/マサ斎藤/ヒロ斎藤VS前田日明/木戸修/髙田伸彦組の6人タッグの試合で、今に伝わる前田日明顔面襲撃事件といわれる試合でした。
この年の夏に長州力が提唱した世代闘争が尻窄みに終わったことで、前田日明は「長州は言うだけ番長」と揶揄していたみたいですが、この事件はリアルタイムで通過した人が語る熱意敵わないので深追いしませんが、ビデオテープに収録されていた肝心の試合は何度ダビングを繰り返されたのか分からないくらいに、ザラザラとして粗くカラーなのかモノクロなのか判別出来ないくらいに画質が悪い後楽園ホールで隠し撮りされた試合でした。

不安定なカメラワークで試合そのものよりも、長州力を嘲笑い、前田日明を焚きつけるUWF信者らしき人たちの怒号と罵声だけが響き渡る
現在のブシロードプロレスを好きな世代には、ファンが殺伐として思想で争う世にも奇妙な試合なんだけど、その試合をDVD化したディスクは数年後には劣化のためか見れなくなってしまい廃棄したために、私の元にはもう存在しませんし、実家のVHSのカセットももう存在しません。

確かにあの時プロレスの「裏ビデオはあったんですよ」

#プロレス

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