【私の夏休み‐エンターテイメント編‐】人生初フェスに参加した私がUTAになるまで。
小学校3年生の時に行った武田鉄矢のコンサートが私の“初めてのコンサート”だった。
ちょっとおめかしして、家族で高松の文化会館に観に行った。
それ以降、コンサートというものに行ったことは一度もない。
恋焦がれるアーティストもいなかったし、音楽は私にとって「あれば良いけど、なくても困りはしない」くらいの存在だった。
そんな私を大好きな友人がROCK IN JAPAN FESTIVALに誘ってくれた。
音楽好きが集まるフェスをどこまで楽しめるかと少し不安だったが、学びだらけの1日だった。
いつか、観客を魅了する側に立ちたい私にとって圧倒的なエンターテイメントと圧巻のパフォーマンスを目の当たりにできるのは素晴らしい機会だった。
純度100%のメッセージ
トップバーターは若手の「ハルカミライ」というバンド。曲もメンバーも知らなかった。
赤い髪の男性が上半身裸で、ただただ「我がままになろうぜ」と叫びまくっていた。
なんというか。
純度100%だなぁーと思いながら眺めていた。
カッコつけてるわけでもなく、見栄を張っているわけでもなく、調子に乗っているわけでもなく、全力で今ここで伝えたいメッセージを伝えている感じ。
ああ、強烈なメッセージを伝える人って、他の感情が1ミリも混じってないのか。
一点の不純物なく「ワガママになろう」と伝えていた彼らがキラキラして見えた。
緩急、動と静から産まれるギャップ
miletというめちゃくちゃ声がカッコいい女性の歌手がいるのだが、舞台に出てきた時はダークなオーラをまとっていた。一言も話さず、英語の曲を歌い始めたから「怖い感じの人なんだー」「雰囲気あるなー」と思っていた。
数曲終わったあと、彼女は髪をかき上げてニコっと笑って「みんな!元気??」と笑顔を見せた。
ずるい。ああ、ずるい。歌はすこぶる上手で、すんごいオーラまとって、笑顔はめちゃくちゃキュートなんて。好きになるやん。
HYの仲宗根泉さんもすごかった。
365日をしっとりと切なく弾き語りで歌い上げた後、陽気な曲になった瞬間に「おい、お前ら!!誰が座っていいっていったよ!!!声出せないんだから、踊ろうぜ!!」と観客を煽りはじめた。
「姉さん、ついていきます!!」と一瞬で心を掴まれた。
ギャップ。ギャップですよね。
音楽からは聞こえない、バンドのヒストリー
お昼ごはんでも食べようかと思って、エリアを横切っていた時、NovelbrightというバンドのMCが聞こえてきた。
「この舞台に立ちたくて、オーディションずっと受けてて。惜しいところで夢が叶わない日々が続いてて。ようやく、ようやく出場権を手にした2020年のロッキンジャパンがコロナで中止になって。だから、今日、ここに立てていることが幸せです。」
思わず足を止めた。
チャレンジして、足掻いて、失望して、それでも諦めず自分達を奮い立たせて、今日ここにいるんだったら、その歌を聴きたい。
過去も挫折も全部込められてると思うと、こんなにも歌の重みって変わってくるのか、と鳥肌が立った。
ひたすら楽しく吹く最高級の演奏
私がフェスで一番胸を撃ち抜かれたのは東京スカパラダイスオーケストラだった。
良い歳したおじさん達が、めちゃくちゃ楽しそうに、すんごい音出してる。
若い子たちから感じる楽しさとはまた違うエネルギーを感じる。
気負いや努力なんて微塵も感じさせず、ただただ仲間と楽しんでる。
それを見るだけで、なぜこんなに気持ちが盛り上がるんだろうか。
この時がずっと続けば良いのに。
ひたすらカッコよかった。
ロックとはなんだろうか?
私はロックが何かは知らない。
そんな素人が今回感じたロックとは、人並外れた歌唱力や演奏技術などの土台の上に築かれる「メッセージの純度」「ギャップに垣間見える人間性」「バンドが歩んだ歴史」「ひたすら楽しむ姿勢」だった。
ああ、私もロックしたい。
四万人を熱狂させたい。
止められない衝動。
そんな気持ちが最高潮に高まった時、運命の出会いをした。
UTAである。
「歌で新時代をつくるなんて、めちゃくちゃかっこいい。私も何かで新時代つくりたい!」
それからは狂ったようにUTAの曲ばっかり歌っていた。
我慢できずに、UTA色に髪を染めた。
最強になった気持ち。
わかってる。
私も38だ。
髪を赤くしたらロック、なわけではないし、新時代を作れるわけではない。
もちろん、黄色にしたからと言ってロックにはなれない。色の問題ではない。しかし、ミニオンズが可愛くて、ならないわけにはいかなかった。
わかってる。
大丈夫。赤にしても黄色にしても、所詮、真似事。
本当に私が新時代をつくるなら、やはりこれだ。戦いしかない。
キングダム2に楊端和がいなかったのは、岡山の村で修行していたからだ。
UTAは「純度100%のメッセージ(新時代をつくる)」と「強くて脆い人間性のギャップ」がある。ミニオンズは「ひたすらに仲間と楽しそう」楊端和には「壮絶なストーリー」がある。
フェスも映画も、誰かを熱狂させる要素は変わらない。
とにかくエンターテイメントに浸かった夏だった。
私に足りないものがはっきりと分かった夏だった。
とにかく、何かをしなければいられないくらい私は奮い立っていた。その結果がコスプレである。しかし、こんなものでは、何も変えられない。
私はいつも子ども達にメッセージを発信する時、心の底に「これで良いのだろうか?」と怯えがある。勢いだけしか武器を持っていないし、壮絶なストーリーがあるわけでもない。授業はひたすらに楽しんでいるが、土台のスキルが弱すぎる。
エンターテイナーとして、コンテンツ制作者として、まだまだ修行が足りない。
外見を真似るコスプレだけでなく、もっともっと地道に力つける。
一個一個しっかりやる。
エンターテイメント性を持って、
こう言うことができる人になりたい。
こう言う授業が演出できる人になりたい。
そして、最終的に子どもたちを集めて、フェスしたい。
最後に。
楊端和で講演に来て欲しい、という方はご連絡ください。仕事以外では着ません。
プライベートできたら変な人やと思われるから。ロックするのは仕事だけで。私、別に髪を好んで染めるタイプではなく、凡人で、普通な人なんで。