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「俺をバカにしたやつを絶対見返してやる!」と泣いていた息子が、それは時間の無駄だと気づくまで。

ある日、学校から帰ってきた息子が唇を震わせていた。
小学2年になった息子は学校でのことをあまり家で話したがらないが、その日は様子が違ったので「何かあったの?」と聞いてみた。

「仮面ライダー幼児って言われた。仮面ライダーが好きなのは赤ちゃんか幼稚園児だって。」

マジか、そんな超くだらないこと1ミリも気にしなくていいじゃん、と内心思ったが息子はひどく傷ついていた。

「あなたは仮面ライダーが好きなんでしょ。じゃ別にいいじゃない。誰にバカにされようが。そもそも仮面ライダーのストーリーは難しいんだよ。子どもでは本当の仮面ライダーの良さは理解できない。<強さとは何か><力とは何か>を教えているんだ。特にジオウなんて力を持って悪い未来を呼び起こしてしまうことをどう阻止するかをつたえ」と力説している途中で息子が割って入ってきた。

「嫌だ!バカにされるのは嫌だ!僕をバカにしたやつらを見返したい!!」
と。

なんと。。見返すというさらに超くだらないことに息子が時間とエネルギーを使おうとしていることに私は焦った。しかし、私の言葉は彼には届かない。

「アメトーーーーーーク」の地域版を開催

息子に「自分の周りだけが世界の全てではない事」「仮面ライダー好きは子どもだけでない事」「自分がそこまで好きなものを持てることは幸せだという事」を知ってほしくてイベントを企画した。

アメトーーーーーク的な感じで「平成仮面ライダー大好きな人集まれ!」
小学生以上であれば年齢は問わず、性別も問わない。


当日は4名が参加をしてくれた。
仮面ライダーが好きすぎて息子に主人公の名前を付けたお母さん、
仮面ライダーが働くモチベーションになっている19歳のお兄さん、
仮面ライダーのストーリーからギミックまで知識豊富な小学5年生。
そして、隠れて変身の練習をしている小学2年生の息子。

トークテーマは
・仮面ライダーあるある
・自慢のグッズお披露目
・好きな仮面ライダーについて
・仮面ライダーのしびれる名台詞
・悪役のかっこよさ
・ゼロワンの次の仮面ライダーを考えよう
・自分にとっての仮面ライダーとは

恐ろしく盛り上がった。2時間、一回も脱線せず、ひたすら話続けていた。
ファシリテーション役の私なんていらないほどだった。

<参考までに仮面ライダーあるあるをこちらにメモ>
・次の仮面ライダーが映画に出た時に敵を一瞬で倒す・初めて変身する時も普通に変身できている(あまり戸惑わない)・最強フォームが、だいたい全部集合(入れ替える手間を省くだけでさほど強くない)・新しいフォームがいっぱい出てくる(買わせたいがために)・出てきた時は圧勝だが。数話で苦戦し始める・味方だと思っていたのに、敵に裏返って、不意打ちする。謎の戦略をやっている・敵を仲間につけていく。誰でも信用してしまう・オーマジオウが最強。(敵が強くなると自分も強くなる性質がある)・はじめは設定を理解できていなくても、見ているうちに理解していく・仮面ライダーには2パターンある。スーツをまとう系と皮膚が変化する系。マスクが壊れるのがスーツ。オーズは皮膚変化型。・オルフェノクにならないと変身できないのが悲しい。ストーリーが重い。・ブリザードとマグマの両方使えば常温に。・マッハとチェイスの友情がすばらしい・主人公の顔がかっこいいかどうかは関係ない。かっこよくても慣れる。・変身後の見た目は気になる。それでも慣れる。・ゼロワンはかっこいい。・エグゼイドが出てきた時は2頭身で何ができるんだと思った。・半分くらいみたら、好きだなって自然となる。・カブトはナルシストでシスコン。能力は高い。・ウィザードはネタバレしにくかったからよかった。一般的にはベルトに全て機能が入っているので、ファンたちがベルトを分解したりして、次に来る機能を予想できてしまうが、ウィザードは指輪に機能が入っていたので、ネタバレがされにくかった。・最近のやつは中古だと安いが、昔のベルトは非常に高く(5万くらい)売れる。・ドライブのベルトさんの封印が泣けた・ディケイドは悪者になりがち

正直、よくわからず書ききれないこともたくさんあったが、ざっとこんな感じ。

大好きなものから理科も数学も国語もマーケティングもロジカルシンキングもアイディア出しも全部学べる

開始1時間後くらいに「キャラクターの魅力を6つの要素に分解しよう」という流れになった。

<仮面ライダーの魅力の評価軸>
①ポーズ
②見た目(変身後)
③戦い方
④キャラ(変身する人のキャラ)
⑤ストーリー
⑥変身の際の音声

さらに、なぜおもちゃの音がでるのか?という話にもなり「磁石で反応する」とか「ラインで識別している」などの説明をし始めた。

息子はどれも真剣に聞きながら、自分の意見を臆さず言っていた。
難しい説明も多かったから、たぶん、彼の頭はフル回転だったと思う。
それでも目はキラキラしていた。

値段やキャッチコピーやおもちゃの販売戦略や歌や魅力分析やストーリーなど好きなものをベースに社会で必要な力はほぼ全て学べる。

勉強に使える!とは思ったものの、そもそも別に将来のために学ばなくてもいい。その瞬間息子はこの上なく幸せそうだった。

彼は本気で変身ポーズをする仲間を見て、隠れて変身していた自分の殻を破れた。それで十分。


仮面ライダーは僕の生きる理由です。

最後に参加者に「あなたにとって仮面ライダーとは何か?」という質問をした。
すると小学5年生の子が「僕の生きる理由です」と答えたのだ。
私は心をグオっと持ち上げられた。

好きな事は自分の生きる理由になる。
大好きなことを持つことはどれほど素晴らしいことか。

子ども時代は自分の大好きなことを言い合える仲間と出会うことができない。大人になればネットで知り合えたり、自分の共通の趣味を持つ人がいる場所に行くこともできる。子ども達は多数が好きなポケモンなら語り合えるけど、少しズレるとその瞬間、一気に孤独になる。

子どもは自由なようで全く自由ではない。

子ども達が生きる理由をたくさん持つために大好きなことを大切にできる環境をつくろう。それを語り合う仲間を作ろう。

帰りの車の中で興奮冷めやらぬ息子はこういった。
「ママ、俺さ、見返すのはもうやめた。楽しくないから。時間の無駄だね。今度バカにされたら『人をバカにする暇があったら自分の好きなことをした方がいいよ』っていうよ」

好きな事を思いっきり話せるって幸せになるよね。

良かったです。
次は私の番です。キングダムやりたいです。

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