視点堂、開店でございます。-つまらないも面白いも視点次第-
視点堂。
ここは新しいモノを作るお客様だけがたどり着ける不思議な駄菓子屋。
視点をズラすための駄菓子アイテムがズラリ。
本日のお客様は中富良野小学校6年生。
「いらっしゃいませ。女将のえり子でございます。お客様のお望み、叶えてさしあげましょう」
中富良野小学校6年生の総合学習の取組「オリジナルのインクをつくる」
今年、中富良野小学校6年生は文房具メーカー「オカモトヤ」さんとコラボして、新しいインクを開発するプロジェクトを進めています。
※プロジェクト詳細は学校のブログをよんでください!
そんな中、中富良野の代名詞である「ラベンダー色」「メロン色」が候補に挙がりました。しかし、調べてみたら既にたくさん同じ色の商品があるではありませんか。どうしたらいいんだろう、と子どもたちは困ってました。
このタイミングで、先生と打ち合わせをしました。
「どうすれば子どもたちがワクワクしながらも目の前にある壁を突破できるか?」を話し合っているうちに、「困った児童の前に、視点堂の女将えり子が表れて、悩みを解決する駄菓子を渡す、というストーリーはおもしろいんじゃない?!」と盛り上がりました。
そこから、一気に動き出し、「まずは実際にお店をつくろう!」と先生たちが総合学習の授業をする教室の後ろに駄菓子屋を作ってくれました。
学校の先生たちが楽しみながら、お店を作ってくれている間、私は銭天童の紅子さんの世界観を作り出すために、綿菓子機で綿菓子を作ってみたり(結局、失敗)、カツラを買ったり、背景の画像を選んだり、銭天堂を読み漁り、テレビで何度も繰り返し見て、普段よりゆっくり話す方法や方言を練習しました。
そして、授業当日。
音楽と共に、お店の中に置かれたスクリーンにオンラインで視点堂の着物を着た女将えり子がドーーンと登場。
「あなたのお望みを叶えて差し上げます。どなたかいらっしゃいますか?」と声をかけると、児童が「インクの色を決めるのに困っています。」と恐る恐る聞いてくれたので、「ちょうど良いものがございます。」とハテナ綿菓子を紹介。
ハテナ綿菓子を持って「中富良野のラベンダーを中心にハテナ(ギモンや問い)を出していく」グループワークに突入。
「ラベンダー色の商品はたくさんあるからダメだ」ではなく、「そもそもラベンダーってどんな花?」「なんで中富良野はラベンダーで有名なの?」「いつから有名なの?」とたくさん問いを出すことで、色を考えるためのヒントになります。
途中、ヒントを出しながらも、すごくたくさんのハテナを出してくれました!
子どもたちの感想
<上手くできたこととその理由>
・ちょっとしたことでも、たくさん疑問を出せた。いろんな視点から疑問を考えることができた。当たり前を考えてできた。
いろんな人の疑問を見て自分も新たな疑問を見つけることができた。
・いっぱい疑問が出てきた。理由は、色々頭の中の何かに対する疑問の反対の意見や「じゃ、これならどうなるの?」という感じ。
・たくさん疑問をかけました。思いつかなかったときには、イメージを考えてたくさん疑問をかけました。他のグループのを見て確かにとなんでだろうと自分の疑問にもなって、たくさん疑問ができました。インクを考えて同じ色があっても可能性がなくなると思い込んだらダメなんだなと思いました。
<お菓子を使えそうな場面(総合でも日常生活でも)>
・何かに本気で悩んでいるとき
・家でする工作で何を作ろうか悩んだ時
・サッカーでなぜできないんだろうと考えている時
・勉強をしている時
・授業や交流の時
先生と一緒に授業後、「手ごたえがありましたね!」と盛り上がりました。
世界観を作るって本当に大切。子どもたちがワクワクするから、学びが大きく変わる。
これから1年間、色んな学年の総合に携わりながら、たくさん視点が変わる駄菓子を渡し、卒業する時には手に入れた駄菓子を花束のように両手いっぱいにも持たせて、送り出したいと思います!
必ず、社会で壁にぶつかった時に役に立つから。
中富良野町との関わりについて
去年も1年間、中富良野町の小学4年生の総合学習に関わらせてもらい、現地では中学生全員へのキャリア講演や地域の方への講演も行いました。
中富良野町は2028年に1つの中学校、3つの小学校が一緒になり、義務教育学校となります。
私は今年度、北海道中富良野町「新しい学校づくり検討委員会(義務教育学校検討委員会)」におけるアドバイザーとして関わることになりました。
学校の大きな指針づくり、教員への研修などに携わりながら、総合学習を軸とした特色あるカリキュラム作りを先生と一緒に実践しながらつくっていきます!
【追伸】
約一年半前、「大人になったらなりたい職業ベスト3」をnoteに書きました。驚くことに、第3位が銭天堂みたいな授業ネタ屋さんだったんです。視点屋さんとして、ここで、また夢が叶いました。