子どもたちと話し合いたい。髪を奇抜に変えると、どんなことが起こるのか?
先日、UTAに憧れた経緯をブログに書いた。
こんな写真をとっておいてなんだが、私は発想や行動は奇天烈でありたいが、外見は地味でシンプルでいたい。
目立ちたがり屋だが、外見で目立つことは、あまり好まない。
故に、髪をUTA色にするには心理的なハードルが高かった。落ち着かなくて、すぐにやめた。
今回、夏休みを利用して色を変えたのはUTAに憧れたということ以外に、もう一つ理由があった。
「可愛くなりたいだけなのに、なぜ髪を染めてはいけないのか?」と小学生の我が子と中学生の教え子からほぼ同じ時期に質問を受けたからだ。
もちろん、「髪が痛むから」という回答はあるが、なんだか本質ではないような気がした。
「オシャレしたい、という気持ちがなぜ制限されるのか?」という子どもたちの問いに真正面から向き合った答えを出したい。
私は子どもの頃に髪の色を変えたいと思ったことが一度もない。
オシャレに興味が全くなかったし、スポーツをしていたので「髪は邪魔にならず、洗いやすい」がモットーで常にベリーショートだった。
まずは私が変えてみないと自分の言葉で答えられないな、と思ったので、思い切って数日だけ変えてみた。
その実験結果である。
<日数>4日間
<アポ>新規4件、既存3件
<スタイル>オンラインでのミーティング
<方法>何も言わずに普通に開始し、最後に「どんな印象を持ちましたか?」と質問をする。
ケース①私に講演を依頼したい金融企業(初対面)
私:私が画面に出てきて、どう思いましたか?
企業の人
:事前の情報とは違う人が出てきて驚いた
:弊社の社員に話をしてもらうのは難しいかもと感じた
:なぜ赤に染めているのか聞いてみたかったが、どんな方か分からないのでためらってしまった
:髪の色の印象が強くて、あまり内容が入ってこなかった。
※4人全員UTAを知らなかった。
ケース②私にコンサルを依頼したいIT系の企業(初対面)
私:私が画面に出てきて、どう思いましたか?
企業の人
:やばい人かと思った。
:本気なのか、冗談なのか分からなくて怖い
:一緒にやっていけるのか不安を感じた
:新しい発想=目立つ外見であることだと思っている人であれば依頼はできないと思った。
※3人中1人UTAを知っていたが、全員がいる前で聞くことをためらったとのこと。
ケース③カナダ人と日本人との教育ミーティング(初対面)
私:どんな印象を持ちましたか?
カナダ人:??なぜ、そんなことを聞くの?質問の意図が分からない
私:私の髪が赤いことは気にならなかったですか?
カナダ人:私の周囲に髪の赤い人はたくさんいるわ。特別ではない。
私:私達の話し合いに髪の色は影響を与えましたか?
カナダ人:???さっきから何を聞きたいのか分からないけど、髪の色によってあなたの発言は変わるの??変わらないわよね。だから、特に問題ないけど。もし、青色になったら、意見が変わるなら、ぜひ青色の髪のあなたにも会ってみたい
ケース④既存のクライアント企業(何度も会っている)
画面に映った瞬間に
「尾崎さん、どうしたんですか?」
「え!今さら、何か反抗期ですか?(笑)」
「それホンマに染めたんですか?それともスプレー?」
「UTAですか?!」
と会議が始まった瞬間にツッコミの嵐だったので、感想を聞くまでもない。
ケース⑤起業に興味のある女子高生らのMT(初対面)
画面に出て、挨拶した後
「UTAちゃん?!」
「それUTAちゃんなの!!」
「えー超かわいい!!!」
「この画面、フィルターつけてます??」
「もう少し右側の角度から映ると、よりUTAっぽくなりますよ」
【結論】奇抜な髪の色はビジネス界においては初対面の日本人を不安にさせ、仕事を失うリスクがある。
検証の母数が少ないとかは、一旦置いといて、私の体験からくる結論。
「マイナスから入る信頼を回復するのが大変」
講演もコンサルも、弊社としては大きな額の取引だったので、これを機に連絡が来なくなると、非常に痛い。
当たり前だが、ビジネスの初対面の場での印象はものすごく重要。
これをもとに娘と対話してみた。
■あなたを知っている人にとっては、あなたの髪が何色でも特に問題はない。
■むしろ、同い年の子は初対面でもキャーキャー言って面白がってくれる。
■しかし、初対面では少し怖いと思われることもあるかもしれない。でも、話し合えば、特に問題はない気がする。
■問題は、あなたのことを知らない大人。印象がマイナスから始まるから、信頼関係をつくるのに時間がかかったり、最初の印象が強すぎるとそのあとずっとレッテルを貼られる(あいつは変わっている。あいつは反抗的だ)可能性はある。
■自分の考えとは異なるものを恐れる傾向が人にはある。何を考えてるかわからないと思ったら聞いてほしいけど、聞いてくれないから、ただ怖いと思われて終わる。
■「ただオシャレをしたいだけ」という気持ちを理解してもらえない場合が多々ある。「なぜ染めているか?」という質問に対して自分の考えを主張できる強さを持つ必要がある。
■海外に行くと、髪の色で何かを言われることは少なそう。
娘は「海外に行きたーい」「オシャレになりたいだけなのに、悪く言われるのは変な社会だ」などいろんな意見を交換した。
なぜダメなのかと言われると「髪を変えなければかからなかった、リスクと労力がかかる可能性があるから」なのだが、それ以上に「髪を変なければ得られない気持ち」があるのなら、染めても良いと思う。
実際、赤くした自分はなんだか少し強くなった気がしたし、変われた気がした。
人と違うことをするのはリスクも負うが、喜びも得る。
我が子に関しては、リスクだけではなく、喜びも伝え、その時の自分の選択をしてもらいたい。
そのためには、私も常に自分で体験し、ルールや制限の背景にあるリスクだけでなく、得るものも伝えていける大人でありたい。