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「キャンセル落ち」対策していますか? カゴ+カート落ちよりも購入意欲が高いユーザーに再注文してもらう対策とは

僕が運営するTシャツのECサイト「Tshirt.st」では注文のうち、キャンセルが日々2~5%発生しています。多くのECサイトではこのキャンセル客へのアプローチは皆無だと思われますが、「Tshirt.st」ではそのキャンセル客に、次回購入に利用できるクーポンの提供といったメールマーケティングを実施しており、そこから6割が再注文に至っています。「Tshirt.st」ではこのマーケティングを「キャンセルリカバリー」と呼んでいます。

「キャンセル落ち」したユーザーは購入意欲が最も高いお客さま

ECサイトの改善の1つに、「バケツの穴理論」があります。これは、ECサイトをバケツに仮定した場合、水(訪問者)をいくら流し込んでも、穴があったら水(訪問者)はどんどん流れでしまう――という考えです。

この「バケツの穴理論」に則した改善の1つにあげられるのがカート周りの改善。商品を選び、購入完了までのユーザーステップの改善ですが、これまでは「カゴ落ち対策」「カート落ち対策」が代表的な改善策でした。僕はこのカート周りは、「キャンセル落ち対策」も併せて改善することが重要だと考えています。

ここで、各対策について整理してみましょう。

  • カゴ落ち → カートに商品を入れたものの購入手続きに進まなかった

  • カート落ち → 購入手続きに進んだものの決済、送料など何かしらの理由で決済しなかった

  • キャンセル落ち → 決済したものの、何かしらの理由で決済をキャンセルした

カート周りの離脱要因を因数分解すると、私はこのように3つの要因に分解できると考えており、「キャンセル落ち」も重要なバケツの穴をふさぐ対策になると、実務を通して実感しています。

私が24年にわたるECサイト運用で気付いたのは、「キャンセル落ち」という概念の重要性です。「キャンセル落ち」したユーザーは、「カゴ落ち」したお客さまよりとても重要ということは理解できますか? それはなぜか。会員登録と決済を終えた後に何かしらの理由でキャンセルに至ったユーザーですので、「購入意欲が高い」お客さまと言えます。そのため、「キャンセル」したお客さまとはその事象が発生した後、すぐにコンタクトを取ることを推奨したいのです。

たとえば、広告経由でECサイトに訪れたユーザーは、広告費をかけているため重要ですが、カゴに商品を入れて検討しているユーザーは購入意欲があるのでさらに重要です。さらに、決済や配送方法に進んでから離脱した「カート落ち」ユーザーは、さらに重要度が高いと言えます。そして、「キャンセル落ち」ユーザーは? 言わずもがなですよね。

キャンセル確認メッセージはお客さまと再びつながる絶好の機会であり、実際キャンセル確認メッセージはブランドの評判を高めたり、ブランド想起につながります。

米国では2023年頃から注文キャンセルに注目が集まっており、徐々に「キャンセル落ち」「キャンセルリカバリー」という概念が浸透してきています。


「Tshirt.st」の「キャンセルリカバリー」

ずばり、MA(マーケティングオートメーション)の活用です。キャンセル受付とキャンセル理由を自動で受け付ける「オートキャンセル」をフックに、キャンセルしたお客さまにMAで、次回購入に利用できるクーポンを付けたメールを送信しています。

現在、MA施策で最も利用されるシーンは「カゴ落ち対策」でしょう。「Shopify」などのプラットフォームを使用すれば追加コストなしで実行できますが、大手ECモールではEC事業者側で実行できるソリューションはまだ実装されていません。

ECの購入体験のなかでは、多くのユーザーが商品をカゴに追加した後、購入を忘れたり、何かしらの要因で購入をやめてしまいます。このような「カゴ落ち」率は世界平均で約7割。この7割にも達する「カゴ落ち」ユーザーに対し、1時間以内に自動的にリカバリーメールを送ることで、失注を防ぐことができるとされています。そのため、「カゴ落ち対策」は「やらない理由がない」とまで言われているのです。

「カゴ落ち」率は世界平均で約7割とお伝えしましたが、「キャンセル落ち」まで含めると、「カゴに商品を入れる→キャンセル」の離脱率はさらに増えます。

皆さんにお伝えしたいのは、「カゴ落ち」「カート落ち」だけではなく、今後は「キャンセル落ち」までを含めた「カゴに商品を入れる→キャンセル」のユーザー行動に視点を当て、改善活動に取り組みましょう。

リターンズでは、すぐにキャンセルの発生状況を測定できる「オートキャンセル」を無料で提供しています。また、近日発表する有料版の機能では、これらの「キャンセル落ち」対策を自動化するソリューションも提供する予定です。

これを機に、「キャンセル落ち」対策に取り組んではいかがでしょうか?


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