消費者の行動に関する注目のデータまとめ
広報の山口です。自社アプリを展開する上では、消費者に適切な施策を打ってお得意様(ロイヤルカスタマー)になってもらうことが成功の鍵となります。
その上では、「顧客が何を求めているのか」「どんな生活をしているのか」を理解することも重要になります。 ですので、今回は消費者に対するアンケート調査をいくつかピックアップし、気になるデータをまとめました。
1. 消費者行動に影響を与えるインターネットの利用環境
近年、情報収集のためにスマートフォンとPCでは、どちらのほうがより多くインターネット環境を利用されているのでしょうか。 LINE株式会社の 2023年上期の調査を、 2020年下期の調査結果と比較しながら下記にまとめていきます。
参考:LINE株式会社 〈調査報告〉インターネットの利用環境 定点調査(2023年上期)
インターネット利用者の実態
「スマホのみ」でのインターネット利用者 46% → 59%
「スマホとPCの併用」は 42% → 37%
「PCのみ」は 1% → 前回と同様
出典: LINE株式会社 スマホ・ PC ・アクティブなネット利用者の実態
男女別 インターネット利用者
「スマホのみ」 男性 42% → 50%
「スマホのみ」 女性 58% → 69%
男性は、2020年から「スマホのみ」の割合が年々少しずつ上昇しています。 一方女性は、「スマホのみ」でインターネット利用をしている割合が多く、2023年のデータでは 7割 近くの女性が「スマホのみ」という結果がでております。
デバイス別 インターネット利用者(10代〜50代)
「スマホ」利用者 94% → 96%
「PC」利用者 46% → 38%
「ガラケー」利用者 4% → 1%
2020 年と比較して「PC」利用者が 10% も減少した背景として、コロナ禍が考えられます。 自宅でゆっくり PCでインターネットを利用していたが、少しずつ外出頻度がコロナ禍前に戻ることで、 外でも家でも気軽に利用できるスマートフォンでインターネットを利用する割合が増えたと考えられます。
2. Mコマース(モバイルコマース)ブームが継続中
Mコマースとは、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末を利用した取引のことです。 ネット回線がなくても、携帯回線や Wi-Fiでインターネットに接続して買い物ができます。 一方、パソコンで買い物や取引をすることを「 Eコマース」と表現し、 Mコマースは Eコマースのサブカテゴリに属します。
adjust の調査では、 2022年 11月は adjustの計測開始以来初、 Eコマースのアプリ内収益が最も増加した月であると発表されています。 また、2022年の世界の Eコマース小売売上高のうち、モバイルコマースは 66%を占めている。とも発表されています。
Insider Intelligenceは、2024年までに Mコマースの売上高が総売上高の 40.4%になると予測しております。
しかしながら、アプリを作れば絶対にうまくいくということはないため、現状で成功を収めているアプリをしっかりと分析する必要があります。
参考:モバイルアプリトレンド 2023(adjust)
参考:Rise of Mcommerce: Mobile Ecommerce Shopping Stats & Trends in 2023(Insider Intelligence)
3. アプリと消費者行動の関係性
消費者はどのような理由でアプリを DLし継続利用しているかを理解しマーケティングに反映させていくことがロイヤルカスタマー育成成功の鍵となります。 アメリカの消費者 1,500人を対象にマーケティング調査を行った bluedot に加え、 18歳以上の消費者 11,000人を対象に調査を行った AIRSHIP の情報を下記にまとめていきます。
参考リンク The State of What Feeds Us(bluedot 2021年の調査)
The State of What Feeds Us(bluedot 2023年の調査)
The Mobile Consumer 2023(AIRSHIP 2023年のレポート)
3-1. 消費者は価格高騰により割引を求めている
bluedotの調査によると、消費者の 4人に 3人がいかにファストフードを安く購入できるかを探し求めており、割引を受けるためにより多くのアプリを DLしていると示しております。 2020年の 4月から 2021年の 9月にかけて、過去 3ヶ月間に 1つ以上の新しいアプリをダウンロードした消費者は 50% ~ 80%という数値もあり、アプリの重要性も伝わります。
3-2. 消費者は特典がほしい
消費者はアプリを DLすることにより、お得意様(ロイヤルカスタマー)用の特典を求めています。 では、消費者の購買意欲をかきたてるアプリはどこでさがしているのでしょうか?
AIRSHIP によると、 世帯の所得水準・世代、および大半の国にわたって「アプリストアを検索・閲覧すること」が 1位に挙がっております。 2位が「検索エンジン」であることも日常生活から想像すると当然ではありますが、 3番目に多いのは「友人・家族・同僚からの口コミ」でした。
bluedot によると、 Z世代はクーポンやお得な情報をソーシャルメディアで見つけている割合が 44%を占めている、という結果だそうです。 また、高所得者の方が低所得者と比較した場合、アプリを DLする割合が 8%ほど多いとされています。
3-3. 消費者がアプリを使い続ける理由
AIRSHIPの調査によると、消費者がアプリを使い続ける理由として以下の 4つがランクインしています。
(1位) 使いやすい (2位) 生活が楽になる (3位) 時間を節約できる (4位) お得な情報でお金が節約できる
世代ごとにアプリを使い続ける理由が異なる どの世代にも「使いやすい」ことは共通して言えることですが、団塊世代は「時間の節約になる」を 2位に挙げています。 また、Z世代は「魅了される」「つながりを促す」、「素早くアクセスできるコンテンツがある(イベント、製品、サービス)」、「ゲーム性があること」 などと、団塊世代と比較すると 2から 3倍ほど多く「アプリに面白みを感じるか?」という観点から回答を挙げています。
3-4. 企業のアプリは第一印象・第二印象で使いやすさが評価される
AIRSHIP によると、消費者のうち 73%は、アプリを DLしてから使用開始の 1週間から 2週間以内にアプリを削除するかを決定する。という調査結果がでています。 また、アプリ削除に至るまでに 1、 2回は使用し、2 回目の起動をした後に消す人が多い。とも記されています。
世代別でもアプリ削除に至るまでには特徴があるので、以下にまとめてみました。
世代別 アプリ削除に至るまで
10代から 20代前半は、初回起動後にアプリを削除する傾向が高い。
20歳後半から 50代の多くは、「初めてアプリを使ってから 2、 3回使用した後」にアプリを削除するかを決定している。
70代は、「初めてアプリを使ってから 1ヶ月以内」にアプリを削除する可能性が高い。
上記のデータを踏まえて言えることは、初回起動から多くても 3回までの挙動でアプリを削除するかを決めているということです。
出典:Most Consumers Use Apps a Couple of Times Before Deciding Whether to Delete Them
若年層の多くが初回起動後に削除するかを決めていることもあり、アプリを継続利用してもらうためには、 アプリを DLする前から初回起動時のオンボーディング(チュートリアル)にアプリの価値を明確かつ迅速にアピールする必要があります。
4. 一度作った会員証アプリは毎回 76%の人が使う 会員証・クーポンアプリの利用実態調査
2023年、株式会社アイリッジがスマートフォンを利用している 15〜69歳の男女 1,089名を対象に調査を実施した、 「会員証およびクーポンの利用に関するアンケート調査」では、一度作った会員証は毎回使う人が 76%いると明示されました。
また 60代では、会員証アプリ利用のきっかけ 1位( 33.3%)に挙がったのが、 「スマホ決済をきっかけに買い物時のスマホ提示が習慣化した」という理由でした。 この数字が何を意味するかというと、 高年齢層もスマートフォンで決済する習慣があり、アプリ活用のアプローチ効果はある。ということです。
年代別 クーポン入手経路
全年代で「店舗公式アプリ」からクーポン入手が圧倒的多数です。
特徴的なのが、 60代以上は「前回手渡しの券」が 53%と半数を占めるのですが、「店舗公式アプリ」も 40.6%であり、店舗公式アプリ利用者も多くいることです。 また、 20代以下の若年層は「公式店舗 LINE」が 23%を占めており、紙のクーポンよりスマートフォンのアプリからクーポンを取得していることが多いことがわかります。
店頭オペレーションが会員証アプリ導入に有効である
では、幅広い世代にアプリを DLしてもらうにはどうしたらいいのでしょうか?
20代から 40代はポイントを集めるためにアプリを DLするが、 10代と 50代以上は、店頭ですすめられて DLしていると示しています。 よって、20代から 40代をターゲットにする場合は、ポイントプログラムを充実させることが重要であり、10代と 50代以上をターゲットにする場合は、 店舗での「使い方のレクチャー」などのサポートが必要になります。
参考:株式会社アイリッジ 10代~ 60代の男女 1,000人に聞いた会員証・クーポンの利用実態調査
5. まとめ
2020年から「スマホのみ」でのインターネット利用者が増加傾向にある。 中でも女性のほうがスマートフォンでのインターネット利用率が高いため、女性向けに特化したアプリ作りもマーケティング戦略として有効である。
2023年以降もモバイルコマースの売上高増加が予想されており、成功しているアプリを分析し自社アプリの開発運用に活かすことが成功の鍵となる。
近年の物価高がお得な情報配信のあるアプリ利用を後押ししている
アプリストアから検索することが多いが、身近な人の口コミから DLに至る割合も多い。よって、アプリの口コミから品質改善の糸口につなげられることも。
アプリ削除を回避するためには、「アプリを DLする前から初回起動時のオンボーディング」にアプリの価値を明確かつ迅速にアピールする必要がある。
若年層は「エンターテインメント」や「ゲーム性やコミュニケーションがとれること」に重きをおいている。 会員証アプリを利用する場合は、利用頻度の高い店舗でしか DLと提示をしないというデータもある。 高年齢層もスマートフォン利用率も高いが、店舗アプリを DLし活用してもらうためには、店舗でのフォローが必要になる。
この記事の内容が、少しでも皆様の業務のヒントになりましたら幸いです。 今後もこのような情報配信を行っていきますのでぜひお楽しみに。