今さら聞けない「PWAって何?」「アプリとはどう違うの?」
みなさん、こんにちは。
BackApp 広報担当の山口です。
今回は、 2018年ごろから日本国内でも導入されてきた PWAについてまとめていきます。
本記事は、 アプリ企画・検討中の事業部門の方を対象としており、「 PWA とはなんぞや?」という、入門編になります。
既にある程度の知識がある方、PM・ディレクターの方には、ブログにより詳細な記事を用意してあるので、こちらをご覧ください。
まず PWAを選んだ理由なのですが、 2023年3月に iOS 16.4からプッシュ通知がサポートされたことや、 2024年の 2月から 3月にかけて、 Appleが iOS 17.4でのPWA廃止発表からの廃止撤回など、色々物議をよんでおり、今後の展開が気になる分野でありピックアップいたしました。
1. PWAとは?
PWAとは、Progressive Web Apps (先進的な Webアプリ)の略称です。
2015年に開催されたChrome Dev Summitで Googleによって提唱されました。
明確な定義はなく、「進化した Webアプリ」を構築するための哲学なのです。
PWAは、スマートフォンで Webサイトを表示する際、ネイティブアプリのような動作を提供できます。
ネイティブに近い動きとして、以下のようなものが挙げられます。
・スマホのホーム画面に「アイコン」をインストールすることが可能 (必須ではありません)
・キャッシュが効くので起動・ページの読み込みが速い
・オフライン操作が可能
・プッシュ通知を受け取ることができる(一部制限あり)
上記のような価値を提供できる上に、特に 2015~2020 年頃はネイティブアプリ=開発費がとても高いというイメージが強かったため、「PWA はアプリの代わりになるのでは?」という議論が定期的に盛り上がってきました。
2. PWAを導入すると何が嬉しいの?
PWAを導入するメリットは、 2点あります。
◆メリットその1:新規顧客開拓とリピート促進の両方に対応できる
PWAは、URL の共有やスマホ・ PC の検索エンジン経由で誰でもサイトに流入できるため、新規顧客の目に留まりやすいです。
さらに、2023 年 3 月に iOS 16.4 からプッシュ通知がサポートされたことにより、呼びかけられるユーザー層も増え、許諾をいただいた顧客と継続的にかかわることが可能になります。
◆メリットその2:ネイティブアプリに比べて開発費が安価である
PWA は Web アプリなので、ネイティブアプリ開発と比較した際に開発費用を安価に抑えられるのがメリットです。
ネイティブアプリを開発する場合、 iOS / Android と、それぞれに対応した開発言語やプラットフォームを利用するため、工数分の費用がかかります。
(ただ、こちらはブログでも解説しているのですが、「本当に PWA だけでアプリの代わりになるか?」というと、現状は厳しい部分も多いと思います。。。)
3. PWAの事例
PWAを導入することにより成果を上げた事例は、国内外で複数ありますので
いくつかご紹介いたします。
日本経済新聞(電子版)
140 年以上の歴史を持つ日本経済新聞は、2017 年 11 月に 日経電子版にて PWAをリリースしました。
PWAを導入することにより、以下のような成果を得ることができました。
パフォーマンスの向上
・アプリの応答時間を 14 秒短縮
・アプリの読み込み速度が 75% 改善される
ビジネスへの影響
・定期購読のサブスク契約が 58% 増加
・1日のアクティブ ユーザー数( UA)が 49% 増加
出典:日経がマルチページ PWA で新たな品質とパフォーマンスを実現
Gravit Designer
カナダが本社の Corel Corporation が提供するデザインソフトです。
Gravit Designerは、複数の主要プラットフォーム( ChromeOS、 iOS、 Windows など)に目を向け、ファイルの読み込み時間、インストール、パフォーマンスの改善のために PWAの導入をしました。
ビジネスへの影響
・PWA ユーザーは、その他のプラットフォームを利用したユーザーと比較した際、アクティブ度は 24% 増加、リピートユーザー数は 31% 増加
・有料版の Gravit Designer PRO を購入する可能性は 2.5 倍向上
出典:PWA ユーザーが Gravit Designer PRO を購入する可能性は 2.5 倍
MishiPay
MishiPayは、イギリスのロンドンを拠点としたテクノロジー企業です。
「スキャン&ゴー・テクノロジー」を使うことで、買い物客はレジに並ぶことなく、自分の携帯電話で商品のバーコードをスキャンして支払いを済ませ、そのまま店を出ることができます。
ビジネスへの影響
・取引件数が 10倍に増加し、レジの待ち時間が 2年半分解消されました
・アプリをインストールする手間を省くことができ、新規顧客獲得につながっています( MishiPayのプラットフォーム比率は、 Webが 92%)
※ 同社の調査によると、店内での行列は世界の小売セクターで年間約 2,000億ドルの負荷コストになる、とのことです。
出典: MishiPay's PWA increases transactions 10 times and saves 2.5 years of queuing
4.まとめ
今回は入門編ということで、メリットや事例についてまとめていきました。より一歩踏み込んだ技術的な内容や、 PWAではできないこと・デメリットなど、さらに詳しい内容については、弊社のブログに載っておりますので参考にしていただければと思います。