空前絶後(或いは「池崎とか60とか」)
正直、今までも殆ど行くことは無かった所なのだ。ただ、大学の4年間は通学の電車の乗り換えの為に通ってはいた。その後は仕事で年に一度くらい、あとは東京芸術劇場(略称:げいげき)にコンサートを観に行くぐらいだった。
子供ながらに、「えっ!ここに出来るの?」と思ったのを覚えている。幼稚園生の頃なのでもう50年近く前の話なんだけれども、60階建ての当時としては日本一の高さのビルが。あの頃は超高層ビルが建つ、といえば新宿の淀橋浄水場の跡地と相場が決まっていたので驚いたのだ。
ビルが完成してから程なくして、家族(両親と妹)で「行ってみよう」ということになったのだが、意外と駅から遠いな、というのが第一印象だった。今はどうだか分からないが当時はビルに直接入るのではなく、ビルのかなり手前から地下通路みたいなところを通って行ったので、余計に遠く感じたのかもしれない。このビルに行ったのは後にも先にもこの時の一回だけ。
私は5年程前まで、東京に住んでいた。何度か引っ越しをしたがいつでも一番近いターミナル駅は新宿駅だったので、新宿に行けばまず殆どの場合、用は足りたのだ。新宿で用が足りない場合は渋谷に行くことが多かった。東急ハンズやタワーレコード、オーチャードホールなどなど。あとは楽器や楽譜、古本やスポーツ用品などは御茶ノ水、電化製品は秋葉原、と相場は決まっていた。
つまり、本当に特別な用事が無い限り新宿から乗る電車は山手線の内回り、中央線、丸ノ内線の何れかだったのだ。だからそもそも新宿駅から山手線の外回りに乗ることがほぼほぼ無かったのである。
東京を離れて早、5年。ここ最近、ふとした瞬間に、すっかり千葉の人間になってしまった自分に自分自身が驚いている。黄色い電車や成田エクスプレスを見ると、なんと安心することか。