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トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
私が小学生だった頃(’70~’80)の給食の牛乳は「瓶(ビン)」に入っていた。200㎖入りの。多分この瓶に入った牛乳は2023年現在、製造・販売されていないと思われる。
当時の牛乳瓶は分厚いガラスでできていた。通常の高さから落としても割れてしまわないように。だから結構、重いのである。ビール瓶もそうだったが、昔はガラスの強度が低く、現在のような軽量化された薄いガラス瓶など無かったのだ。
給食の時には「給食当番」とは別に「牛乳当番」があったのだが、これが結構、小学生にとっては重労働なのである。牛乳当番は確か3、4人体制で、教室まで40数人分の牛乳を運ぶのであるが、20本程度入るアルミのケース(コンテナボックスのアルミ版みたいなヤツ)を教室から持参し、1階の牛乳置き場から牛乳を入れて教室まで運ぶのである。
教室が3階や4階だと階段を上がるのがとても大変だった。もちろん、給食を食べ終わった後にはカラになった牛乳瓶を教室から牛乳置き場まで戻すのも当番の仕事だった。
当時の200㎖入り牛乳の瓶の蓋は厚紙で出来ており、開口部にジャストフィットしていて、かなりしっかりと密着していた。そして飲み口が汚れないようにその上から薄いビニールの四角いシート(大抵の場合は水色や紫色だった)を被せて、白くて細いビニールテープでぐるっと留めてあった。
そういえば牛乳瓶の厚紙の蓋が上手く開けられない時のために、蓋に「ブスッ」と差して使う、先端が「千枚通し」のようになった専用の蓋を開ける道具もあった。爪が短かったりして厚紙の表層だけ剥がしてしまったりするともう、「二進も三進もどうにもブルドッグ!Wan!」になるのでこの道具のお世話になっていた。裏ワザとしては薄くなった蓋を逆に牛乳の中に押し込んでしまう、というのもあったけど。
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J・S・バッハが作曲したこの曲は恐らく、あらゆるパイプオルガンの曲の中で一番有名ではないだろうか。また、ベートーヴェン作曲の「交響曲第5番【運命】」、グリーグ作曲の「ピアノ協奏曲」と並んで、私が独断で決めた世界三大「曲の出だしは知ってるけど、最後まできちんと聴いたことのない曲」として有名である。
この曲の骨頂は全体の約2/3を占める「フーガ」の部分である。確かに衝撃的で重厚な「トッカータ」の部分も印象的ではあるが、あくまでも後に続くフーガのための「前置き」なのである。フーガとは対位法の一種で、単なる「追いかけっこ」の域を超えた複雑なものもバッハは作曲している※が、この曲はかなり分かり易く、かつ重厚なものとなっている。(※例えば、謎多き「フーガの技法 BWV1080」など)
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いただきます!
この発声と共にすぐさま牛乳は飲み干してしまうのが一番である。いつまでも牛乳を残しておくと、皆の標的となり、笑わされて飲むことが難しくなるからだ。牛乳を口に含んだまま笑わされることほど辛いことは無い。笑いを堪え、口から牛乳を吹き出さないようにしていると、しまいには鼻から牛乳が滴り落ちてくることになる。
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