越天楽
早いもので、あと50日で2023年も終わり、余程の天変地異により地球が消滅しない限り2024年1月1日がやってきます。ってことは21世紀になっておよそ四半世紀が経つことになります。ノストラダムスの大予言により20世紀末には地球は滅びるということになっていたので、自分は30歳の誕生日を迎えることなく恐怖の大王に抹殺されるものとばかり思って育ってきた私には夢のようですらあります。
私が子供の頃はまだまだ昔ながらのお正月の風景がそこらここらにあって、玄関には門松やしめ飾りを飾り、おせち料理や餅を食べ、カルタや羽根つきや凧揚げをする。そして、そこら辺の商店は必ず七日までは休み。子供の頃から大人げ無かった(!?)私は、年末を含めそんな日本古来のお正月の風景が大嫌いでした。なんかこう、国民全体で同じような行動をするのが不自然に思えてならなかったからです。
現在の日本(少なくとも私の住んでいる周辺)ではそのような昔ながらのお正月の風景はほぼ無くなったように思います。私はというとせいぜい、初詣に行くことと、毎年イヤ~な初夢を見るくらいです。
ただ、毎年、お正月にどこからともなくこの音楽が流れてくると、DNAに刻まれた古からの血が日本人であることを私に実感させるのでした。
「越天楽(えてんらく)」は現代の日本で最も耳にする機会の多い雅楽による管弦楽曲です。平安時代には存在したと言われ、その起源については良くわかっていないようです。ちなみに福岡の民謡である「黒田節」はこの曲が民衆に広がり歌詞を付けて歌われるようになったものです。
この越天楽を西洋の管弦楽(オーケストラ)に編曲したもので最も有名なのは近衛秀麿(このえひでまろ)の手によるもので(1930年頃)、欧米諸国に日本の伝統音楽を紹介するのに大きな役割を果たしました。
そしてその後、この越天楽のメロディーをテーマにした変奏曲を作曲したのが、松平頼則(まつだいらよりつね)です。雅楽の優雅な曲をセリエリズムやジャズなどの手法によりアバンギャルドな曲に仕立て上げました。
ピアノとオーケストラのための主題と変奏【松平頼則】
この曲を聴く度に思います。私たち日本人にしか分からない「何か」が間違い無くあるのだと。