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情けは人の為ならず

日本の昔話によく登場する「恩返し」。鶴、亀、狸、狐、に始まり極めつけは地蔵まで。私が知らないだけでいろんな動物(物)が恩を返してくれているのではないでしょうか。これはきっと仏教の影響だと思います。なので西洋の昔話や童話ではあまり聞いたことがありません。

そんな中でも「恩返し」といえばやっぱり「鶴の恩返し」ではないでしょうか。罠にかかっていた鶴を助けてあげたおじいさん。その恩を返すために人間の娘になった鶴がおじいさんとおばあさんと一緒に暮らす、というものです。私が説明するまでもなく皆さんが知っている有名な昔話です。

自分の羽を織り込んだ布を作るために部屋に籠った鶴はおじいさんとおばあさんに言います、「絶対に中を覗かないでください」と。

だいぶ前に書きましたが、「カリギュラ効果(Caligula Effect)」というものがあります。人間は禁止されると逆にやりたくなってしまう、という心理現象のことです。ちなみに「カリギュラ」とはローマ皇帝の名前で、それを題材にした男性誌「ペントハウス」が80年代に制作したハード・コアな映画のことです。

それはそうと娘になった鶴が人間の心理をどれだけ理解していたか定かではありませんが、私は思うのです。この鶴の一言は余計だったかもしれないと。もちろんこの時代にカリギュラ効果などという言葉は存在しませんが、人間の心理は変わっていないと思います。

時代は流れ今は21世紀。隣の惑星である火星に探査機を送る時代になりました。こんな時代にこの「鶴の恩返し」な状況に遭遇したとしましょう。機織りの道具が家にあるかどうかはとりあえず置いといて、「絶対に中を覗かないでください」と言われた場合、どうするのが正解なのでしょうか。文字通り覗かないでいると、痺れを切らした娘(鶴)に「なんで覗かんのかい!😠💢」って逆ギレされるかもしれないからです。



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