推測の域を出ませんが...
最初にこの言葉を目にした時、私は南米にある古代遺跡か何かの名前だと思った。
イントラコンカ
恐らく、私の頭の中で起こった反応は次の通り。
『インカ × アコンカグア ⇒ イントラコンカ』
でも、直ぐ様それは「カナル型」に対するレトロニムだということに気が付いた。なぜなら、こういう風に使われているから。
私が子供の頃(1970年代)はステレオのヘッドフォンといえばこんなタイプしか無かった。
そしてその後、ウォークマンを始めとする所謂、携帯型オーディオプレーヤーが普及するとこんなタイプが登場した(1980年代)。
もともとヘッドフォンはその名のとおり、頭に被せるように装着するものだったのだが、それだと屋外で使用するには大きすぎるため、小型化し、耳の中に装着するように改良されたのだ。
ここで問題が起きる。耳の中に装着するのであればヘッドフォンではなくイヤフォンと呼ぶべきなのだが、当時既にモノラルだけれどもイヤフォンというものが存在していた。こんなタイプ。
私が子供の頃はこれを耳に付けてナショナルの赤いトランジスタラジオで競馬中継なんかを聞いているオジサンがそこら辺に沢山いたものだった。
なので、昔からあるゴツイ大型の被るタイプのヘッドフォンを「オーバーヘッドヘッドフォン」、新しく登場したコンパクトなステレオのものを「インナーイヤーヘッドフォン」、従来から存在していたモノラルで安価なものを「イヤフォン」と呼ぶようになった。そして、1990年代半ば頃にはモノラルのイヤフォンも進化し、インナーイヤータイプになったのでオジサンイヤフォンは殆ど見かけなくなった。なので、インナーイヤーヘッドフォンは「(インナーイヤー)イヤフォン」と呼ぶことが多くなった(イヤフォンはステレオかモノラルかを区別すれば良くなった)。と同時に単に「ヘッドフォン」といえばオーバーヘッドタイプのことを指すように「逆レトロニム化」も進んだように思う。
だが月日は流れ21世紀になるとこんなタイプのインナーイヤーイヤフォンが普及し始めた。
この新しいタイプのステレオのインナーイヤーイヤフォンは1980年代に登場した従来タイプと区別するために「カナル型」と呼ばれるようになった。英語で書くと「Canal type」。カナル(canal)という単語は「運河」を指し示す言葉として用いられるのが普通だ、例えば「Panama Canal(パナマ運河)」とか。けれども医学や生物学、解剖学では日本語でいう、「~管(かん)」や「~道(どう)」を指すことが多い。なので今回の場合は「耳」の「道」なので、自ずと「耳道(ear canal または、auditory canal)」のことだと思われる。だって、耳栓のように「ear canal」に突っ込んで使うから。
では、私がカセットテープのウォークマンで音楽を聴くときに使っていた耳に装着するけれども、耳道に突っ込まない従来タイプのステレオのインナーイヤーイヤフォンはなんて呼ぶことになったのか?
ようやくここで本題。それこそが「イントラコンカ型」。多分、「イントラコンカ」は「イントラ」と「コンカ」という二つの部分からなる言葉なのではないか。それが分かった瞬間、イントラは理解できた。英語の「intra-(~の内側に、~の内部に)」という接頭詞だ。じゃあ、「コンカ」は?
九分九厘、「Concha」だ!だって、ここにイヤフォンを装着するじゃないか!!
余談ではあるが、メキシコで「Concha(コンチャ)」というとこれを指すらしい。
スペイン語でコンチャとは「貝」だから。