
日本の昔ばなしを考える【かぐや姫編】
「今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことにつかひけり。」
学生時代にきっと習ったはずです、竹取物語。日本最古の物語といわれているもので、平安時代には既に存在していたとされているのでおよそ1,200年も昔なのです。
1,200年前で言う「今は昔」っていつのことさ?って思わなくは無いですが、額面通りというわけでは無く、作者の「昔の事だからどこまで本当か分からないんだけど、」っていう、体の良い「伝聞推定の表現」だと思うのです(あくまでも私の個人的見解)。
この表現が秀逸だったということはその後の物語の書き出しである「むかしむかし、あるところに…」という定型となったことで証明されていると思います。ひいては「昔ばなし」という日本の民話の一大ジャンルの名称にまでなってしまいましたから。
この翁は「竹」から様々なものを作っていたらしく、私が想像するに、籠、器、笠、竿、炭なんか。現代のようにアルミニウムやプラスチックなんか無かったわけですから、当時の人々にとって竹というものがかなり有用な植物だったことは想像に難くありません。
竹はその成長速度が驚異的で、1日に1㍍近く伸びた、なんてことが言われているくらいです。そもそも竹は「木」ではなく「草」だ、という考え方に私も賛成です。中は空洞ですし、「節」もあります。もはや強度を保ちつつ成長するための合理的計算の下に存在していると言っても過言ではありません。ですから、竹が容易に豊富に手に入る植物だった、という点もこの話の重要ポイントだと思います。
驚くべきことは、今から150年程前に発明された「白熱電球のフィラメント」に竹が使われたということです。京都の竹を使えば約1,200時間連続点灯可能な電球が作れたそうです。ってことで私は思うのです、実は1,200年前に竹取の翁は既に電球を作っていたのではないかと。じゃなきゃ、「光る竹」ってなんなん?