第13話 叱ったの?それケンカ。
「ねぇねぇ、最近流行りの『叱らない子育て』ってどうなの?そういう本って結構色々あるよね?」
「別に悪くないと思うで」
「興味があってさ。やってみたいなって思うんだけどおすすめの本とかある?」
「藤佳ちゃんにはまだ早いな」
「そうなの??」
「あれはな、感情的になって叱りつけるんじゃなくて、伝え方を変えたり注意しなくて済む環境を作ったり、そういうのを『一緒に考えましょう』ってもんやねん」
「ほう、なんか難しそうな感じだね」
「無理じゃないけど、藤佳ちゃんにはまだちょっと難しいな。アンタが注意したことがどこまで通じてるか分かるか?」
どうだろう。
ダメだよ!とか強く言うと、きゃーって怒ってものを投げることがある。
「分かってなくはないかな?」
「そやな、いつもと雰囲気が違うとは分かるわな。でも『やったあかんで。』ってのは伝わってるか?」
こっちが怒るとあっちは物を投げて怒る。
で、さらにもう一度言うと、今度はひっくり返って泣き出す。
これってお互いが意地を張り合ってる感じ。
ただのケンカ?
「どうや?」
「んー、分かってなさそうです」
「せやろ?つまり、キツく叱るのは今はムダやねん」
「必要ないってこと?」
「そう!でも人間ってアホやからなぁ〜。よう分からんけど、ついつい意味ないって分かってても口出してしまうねんな」
「そうそう。口癖で言っちゃってなんかしてね」
「それにな、叱るって大人もかなり体力使う事やねん。アンタかて叱らん方がええこといっぱいや」
「そんなこと言われてもなぁ。じゃあ例えば藤佳が叩いてきた時はどうすればいいの?」
「この時期は『叱る』よりも『伝える』やねんな。『痛いで』って言いながらそっと止めたええねん」
「それで『ギャー!』ってなったらどうする?」
「関係あらへん。諦めるまでそっと止めるねん」
「すごい『そっと』にこだわるね」
「そうや。それが大事なんやで」
「どうして?」
「優しく伝えた方が相手は受け入れやすいねん。理解も出来ひんのに強く言うたら、それはただの意地悪やんか」
「そうなんだよね。分かってるんだけど、それでケンカみたいになっちゃう事って結構あるんだよね。こんなに小さな赤ちゃんとケンカになるとか、よくよく考えたら本当に可笑しな話だよね」
「アンタも女性で藤佳ちゃんも女の子。同性はそんなふうになりがちなもんやで」
「へぇ…頑張ります」
「なんか自分すごい難しく考えてるやろ?」
「だってなんかイメージが湧かないんだもん」
「じゃあ言い方変えるわ。『ダメ』とか『いけない』って言うのは無し。違う伝え方を考えてみ?」
「それ結構難しくない?」
「『叩いたらダメ』は『痛いから叩かないで』になるし、『そっち行ったらいけない』は『こっち来て』やし。まずはやってみるんやな」
「そうね!」
「しばらくしたら反応が変わってきてオモロイから結構見ものやで」
「そんなに変わるかな?」
「やってみてのお楽しみやな」
「日頃から意識しなくっちゃね」
19.「叱る」ではなく「伝える」
20.「ダメ」「いけない」を使わない
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