のび太の新恐竜
おはなちゃん連れてドラえもんの映画「のび太の新恐竜」を観てきた
あたしは普段、映画やら芝居やら漫画やらけっこうボケーっと観ているので細かいことはそんなに覚えていない
が、ことドラえもんに関しては別
小学4年生の時に初めて観たドラえもん映画「のび太の日本誕生」で衝撃を受けてからというもの、ぞっこんなのである
が、あたしはやはりどうしてもドラえもんは
大山のぶ代さんしかいない!と思ってしまったため遠のいた
水田わさびさんになって初めてのドラえもん
これも、世代なんだなあ
これから毎年おはなちゃん連れてドラえもんの映画を観にいくだろう
おはなちゃんにとっては、この声がドラえもんなのだ
どら声はある意味元号ほどに強力なジェネレーションギャップを生む
声には慣れたが、絵のタッチがこれまたあたしの慣れ親しんだ時代のドラえもんとまったくの別物だから、かなり戸惑った
そんなこんなであたしの人生に大きな影響を与えてくれたドラえもんなので、映画を観る姿勢も他の映画とは比べものにならないくらい楽しみ、手厳しく観てしまう
のび太の新恐竜、ひとことで言えばおもしろかった。二言目には突っ込みどころ満載。
どうやらドラえもんの世界観は、ジョジョの一巡後の世界とは違って、パラレルワールドを採用しているようだ
それは映画「のび太の魔界大冒険」ではっきりしている
映画では、もしもボックスで魔法の世界から元に戻すことで解決したかに見えたけど、
つまりはそっちはそっちの世界、こっちはこっちの世界で続いていくだけのこと
それじゃあなんの解決にもならないと、のび太たちは再び魔界へと乗り込んでいく
最新作「のび太の新恐竜」
これはドラえもん初の映画「のび太の恐竜」と「のび太の恐竜2006」をこれまたリメイクした作品かと思いきや、違った
たしかにこれは「新恐竜」である
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ーーーここから先、怒涛のネタバレ注意ーー
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ネタバレがいやな人の閲覧防止のためワンスクロール分空白を置きます
ネタバレ構わないぜという方のみスクロールしてお読みください
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のび太の住む現代のシーンで「おいおいどこかでヒッチコックがカメオ出演するのかよ」思いたくなるほど鳥が飛ぶシーンが映っていた
もう鳥はいいから先進めよと思うこともしばしばあったが、ラストで「ああなるほどね、だから新恐竜というタイトルなのね」とわかる
さぁ、それではツッコミまくって参りましょう!
一番気になるのはですな、やっぱりひみつ道具の使い方がおかしい!
まず第一にタイムふろしき
ざっくり言えばこれで包んだものは包んだ分だけ新しくなったり古くなったりする(表か裏で変わる)
のび太は恐竜の卵の化石を見つけて、これに包んで孵そうとするんですな
原作の「のび太の恐竜」でも同じく包んで外したら卵になったから、のび太が布団の中で抱いて孵化してピー助が生まれた
今作も同じように包むまでは一緒
でも包んでいる状態で卵が動いて、のび太はしばらく驚いて風呂敷から外すと、自分で孵化して中からキューとミューが生まれた
いやおかしいおかしい!絶対おかしい!!
化石の状態をふろしきで包んで、時間を遡るでしょ、卵になるまで遡るでしょ、なんで包んだままで孵化できるの?
時間を遡るから卵に戻る、ここまではいい
孵化させるには、卵から時間を進めないといけない
包んだままだとずっと時間を遡ってる状態なんだから卵が動くわけがない、孵化するわけがない
原作通りふろしきから出して温めないとそれは孵化NOである
仮に、孵化する直前にふろしきから出したから成立してるのでは?と結論づけようとしたが、
ふろしきに包まれた状態で卵が動き出し、のび太が驚いてじっと眺めているシーンがあった
最低でも10秒はあったはず
化石の卵をタイムふろしきに包んだのは、のび太が晩ご飯を食べる前(仮に19時としよう)
そして動き出したのは翌朝(仮に7時としよう)
12時間ほど包んでいた計算になる
恐竜が絶滅したのがこの映画では6600万年前とされているから少なくともその時間は遡っている計算になる
6600万年÷12時間=550万年
1時間で550万年遡る
550万年÷60分=91666.666666...
1分でおよそ9万1千年遡る
91000÷60秒=1516年
1秒で1516年遡るわけである
卵がふろしきに包まれたまま動き出して、のび太が呆気にとられている少なくとも10秒ほどの間、15000年は経っている計算になる
恐竜の卵は孵化するのに15000年もかかってしまうのだろうか?
もしそうだとすれば、原作「のび太の恐竜」は成立しないことになる
これは明らかにタイムふろしきの使い方がおかしい
ひみつ道具の変な使い方その2
「ともチョコ」
おそらく今作で初登場となるひみつ道具だろう
今までは桃太郎印のきびだんごがあればよかったが、今作では袋が破けて使えない状態のため「ともチョコ」が代用された
これはチョコを半分食べて、もう半分を動物に食べさせると仲良しになれるという代物
ジャイアンはタルボサウルスに食べさせてゴルと名付けた(ティラノサウルスでいいやん、なんでわざわざタルボサウルス?)
スネ夫はシノケラトプスに食べさせてトップと名付けた(トリケラトプスでいいやん、なんで
わざわざシノケラトプス?)
仲良しになるだけでなく、半分こした動物の特徴が写り、1時間だけその能力も使えるようになる作用がある
ジャイアンは噛みつき能力、スネ夫はたしか突進力だったような気がする
うろ覚えの理由は、その能力がさほど活かされる場面がなかったから
ドラえもんは、名前がわからないが首の長い恐竜に食べさせて、ただ乗って移動しただけ
しかもいったい何の能力を得たのかわからないが、ドラえもんの頭が長くなってぐにょんぐにょん揺れているシーンがあったが、能力でなくどう見てもこれは副作用でしかない
さて問題なのは、しずかちゃんとのび太である
しずかちゃんはミューと半分こした
意味な!!∑(゚Д゚)
もうすでに友達じゃん!!!
そのおかげでしずかちゃんはミューの能力を得て飛べるようになった
意味な!!∑(゚Д゚)
タケコプターあるじゃん!!
そして肝腎要ののび太は、キューにあげた
「僕でよかったら友達にならない?」
みたいなセリフを添えて
いやすでに友達じゃん!!
君たちの友情を描いている作品なのに、友情をひみつ道具に頼っていいの!!?
テーマの根本を揺るがす衝撃的なシーンだった
ともチョコの作用の定義が非常に曖昧だった
なにかを探しに二手に別れる時、ジャイアンとスネ夫に「効き目が切れた時のために」と、ドラえもんは予備のともチョコを渡したが、映画が終わるまで効き目が切れることはなかった
ともチョコはまだツッコミどころのある使い方をしていたが、これはまた後述
ひみつ道具の変な使い方その3
「空間移動クレヨン」
これも今作初登場ではないかと思われる
赤で囲った物体を白で囲ったところに瞬間移動させる
この道具がラストの最大のクライマックスになるのだが、序盤に一回使うシーンがある
のび太のママにバレないよう、この道具を使って部屋から屋根へとミューとキューを瞬間移動させてごまかしたのび太とドラえもん
いや片付けラッカー使えよ!!
そのあと瞬間的に片付けラッカー使ってまたごまかしたじゃないか、クレヨン使うよりも一瞬でごまかせたじゃないか
クライマックスで何かあるなと、伏線の匂いがぷんぷんする使い方である
そしてその伏線が回収されるのが、クライマックスで圧倒的な存在感をだしたひみつ道具
「飼育用ジオラマセット」
これも今作初登場のひみつ道具ではと思われる
そしてこれがとても重大なひみつ道具であった
これまた伏線の匂いをこれでもかと漂わせて、のび太がジュラ紀に落とす
これが白亜紀で巨大な島になって、ディープインパクトから恐竜たちを救うための島になる
どうやって救ったか?
飼育用ジオラマセットは天候を調節できるので、隕石で地球全体が死の世界になってもここだけは穏やかにすることができる
ここへ、空間移動クレヨンで赤で囲ったところへできうる限りの恐竜たちを連れてきて、白で囲ったジオラマの中へ瞬間移動させる
赤の囲いに恐竜を集める役目を担ったのはジャイアンとスネ夫
「俺たちにはこれがある」と言って、ともチョコを持って駆け出していった
そう、半分食べてもう半分は恐竜に食べさせて赤の囲みに連れて行く作戦だろう
君たちはそんなにチョコを食べるの?
糖尿病になるよ
むしろそれ以上に体に悪いよ
というか、ともチョコ2.3枚しか持って行ってなかった
絶対足りない
功を奏して(ともチョコを食べさせた形跡は一切なし)恐竜たちを赤の囲いに集めて、ジオラマセットに送り込んで、めでたしめでたし
このクライマックスは、原作「のび太の恐竜」とはまったく違うストーリーである
まったく新しいドラえもんのオリジナルストーリーである
といいたいところだが、そうじゃない
「のび太と竜の騎士」に酷似している
同じように6500万年前の彗星で絶滅寸前の恐竜たちを、ドラえもんの「ポップ地下室」で作った聖域へ集めて救えるだけ救う
集めるために桃太郎印のきびだんごを恐竜に食べさせた
展開といいひみつ道具の使い方といい、あまりにも酷似している
今作でわざわざ初登場した
ともチョコ
空間移動クレヨン
飼育用ジオラマセット
この3点セットは、展開が竜の騎士とあまりにも似ている印象を少しでも薄めようとしたためではなかろうかと思われる
さて、ひみつ道具のことはこれぐらいにして、気になるのは「のび太の恐竜」と「のび太の新恐竜」とは同じ世界なのかである
答えは、完全に別世界
パラレルワールド
過去を変えると、未来が変わるということではない
元々あった未来は未来でそのまま続いて行く
過去が変わった時点で未来が枝分かれし、それはそれで別の世界として未来が続いて行く
「のび太の恐竜」でのび太がピー助を育て、恐竜の時代に還した時点で未来は枝分かれした
今作ののび太は原作とは違う世界ののび太である
その証拠にジュラ紀や白亜紀に行ったのび太一行は初めてその時代へ行ったような反応をしていた
「なつかしい」とか「ピー助どうしてるだろう?」のようなセリフは出てこなかった
そ・れ・な・の・に!
今作でピー助が登場した!!!
海に沈んだのび太を背中に乗せて助けた
そしてちょっと振り返って去っていった
あれは切ないね
のび太も「あれは・・・」と気になるような表情をしたが、それがおそらくデジャブという現象の正体だろう
こんがらがるけど、この2作品ののび太は同じのび太ではない
「のび太の恐竜」はピー助は卵の化石になった過去から続く未来で生まれたのび太
「のび太の新恐竜」は、「のび太の恐竜」ののび太がピー助を連れてきた過去から枝分かれした未来に生まれたのび太
パラレルワールドである
だけどピー助にとってはのび太はのび太
それでも動物の本能だろうか、のび太だけどのび太じゃないと感じた
こののび太は自分との「想い出」を共有していないのび太であると察知したんでしょうな
この作品にピー助を登場させたのは許せないという意見もあるが、あたし個人的にはこのシーンが1番切なくて感動的なシーンだった
その瞬間、あたしは
あ、これはパラレルワールドなんだ(・_・)!
と気づいたが、なぜもっと早い段階でそれに気づかなかったのだろうと、ドラえもん通として忸怩たる思いがある
映画の序盤の序盤
のび太のクラスメイトに
「フクロマンスーツ」の回で登場した名前もでてこない「クラスで一番エッチなやつ」もでていた
「表情コントローラー」の回で出てきたムス子もいた
単行本のドラえもんに出てくるレアキャラがクラスメイトとしてさりげなくいる
それを発見するのもとても楽しかった
が、作品上、こいつだけは存在してはいけないだろうという人物がいた
多目くんである
「ぼくよりダメなやつがきた」で登場した転校生の多目(ため)くん
この回では、のび太は自分よりもなにもかも劣っている多目くんのおかげで「下には下がいる」と間違った自尊心を持ってしまうのである
今映画ののび太とキューのテーマである「あきらめない気持ち・思いやる心」とは正反対ののび太である
よって、多目くんがいたらのび太は駄目なのである
多目くんがいる間はのび太は成長してはいけないのである
実際はのび太が反省するのだが、その矢先に多目くんはまた転校してしまうのである
今映画で多目くんが普通にクラスメイトとしているということは、その期間ののび太は「下には下がいる」という状態でなければいけない
それなのに、そうではない
ということは、
これはやはり、パラレルワールドなのだ
と、多目くんがいる時点で気づくべきだった!!
映画を見終わったあと、もしかしたらあたし自身もいつからかパラレルワールドへ移動してしまったのかもしれないと思った
あたしは、小学生の頃、恐竜が絶滅したのは6500万年前に隕石が地球に衝突したからだという仮説を知った
ところがこの映画では6600万年前になっている、しかも仮説ではなく事実とされている
あたしが小学生だったのは約30年前
現代で30年経つと、過去の時代は100万年も経過するのだろうか?
この世界は少し(S)不思議(F)にできている
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