掌編「うんこかき」@爪毛の挑戦状
まあ、先ずは石拾いからって言うもんな。
僕はまだまだ修行中の身なので、今日もピッチフォークで糞山を掻き回している。
重機でガーッとやる前に、糞の状態をよくよく観察するべし、とのじいちゃんの御達しだ。じいちゃんもそうして経験を積んだから、今があるんだろう。じいちゃんの調整、絶妙だもんな。
だいぶ熟成が進んできて、水分量も落ち着いてきた。あと1週間といったところか。
昼の休憩で家に戻ると、奥の座敷で父さんが大きな紙を何枚も広げているのが見えた。
筆で、何かを書いているようだった。
縁側から回ってそっと覗くと、眼に飛び込んできた沢山の「糞」の墨字。
父さん…?
(273文字)