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掌編「心うんこ」@爪毛の挑戦状

手の甲が痒い。
赤いプツプツは徐々に広がっていた。

最初から、そのつもりだった訳ではない。
いや、そのつもりだったのかもしれない。

幼い頃の憧れは、気づけば嫉妬に変わっていた。何でも持っているあいつが、羨ましかった。

足が速くて、力が強くて、運に恵まれていて、みんなに好かれていて、嫌味がなくて…。

久しぶりに飲んだら、あいつはあの頃から全然変わっていなくて、それが余計に自分を惨めに思わせた。

かわいい嫁さんもいて、子供もいて、家業を継いで家族を養って。一方、俺は…。



また夢を見た。病院に来てから、同じような夢を何度も見ている。

俺は土に埋められている。
山のなかの畑の隅っこに、あいつの手で埋められている。
だんだんと土が被ってくる。
土の中で目を開けると、黒い金魚が話し掛けてくる。
「クソが」

解ってるよ。お前に言われなくても。


(355文字)



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