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掌編「強すぎるうんこ」@爪毛の挑戦状
休み時間に腕相撲をするのが流行っていたが、どうしても東雲胡太朗には勝てなかった。
力が強すぎる。まるでチートだ。
ほら、今日も、今日も負ける…。
力と体力は敵無し。
同年代で敵うやつはいなかった。
ランドセルを背負った拍子に、右腕が痛んだ。
左手で右腕をさすりながら、今日の勝負を思い返す。
先ず、最初の反応は互角だった。
なんなら、俺のほうが早かった。
でも、その後すぐに逆転された。
ガッチリと組んだ掌が悲鳴をあげ、前腕屈筋群が悲鳴をあげ、傾いて傾いて、最後に手首が残る。
こうなったら、もう負け確定だ。
ため息がでた。
あいつ、家では農作業の手伝いしてるって言ってたな。
そんなような日々の生活で、握力や腕力が鍛えられているんだろう。
毎日、山の上から通ってくるからマラソン大会でもダントツだった。
うんこ仙人とか呼ばれているあいつだけど、少し羨ましかった。
強いっていいなァ。
今日も、仙人に挑む。
くっ、動かねえ。強すぎる…。
また負けた。でも、いつか勝つんだ。
(435文字)