掌編「違法の健康」@毎週ショートショートnote
「坊っちゃん!坊っちゃん坊っちゃん!」
聞き慣れた声で目覚めた。
「探しましたよ、そんな所で寝転がって。そろそろお時間ですから、お急ぎくださいよ。ささ、お早く」
せっかくの昼寝なのに。
日の差す温室。色々なサボテンの鉢が所狭しと並び、少し暑い。
私のお気に入りの場所である。
白色の、デッキチェアと一本脚の丸テーブルの横に、蓙を敷いて寝転がるのが私の昼寝スタイルだ。
コホン、と私は咳をした。
「残念ながら、そんな程度では1時間も稼げませんよ。最近、何だか厳しくなったようですから。微熱くらい出しておかねば」
私は、嫌な顔をしながらうつ伏せになった。
「本日は腕立て伏せですか。意地でも起き上がらないおつもりで?」
私は無視して腕に力を込めた。
すぐに、汗が滲んできた。
「温室とトレーニングは効率が宜しいかも知れませんね。こちらでどうぞ」
差し出された体温計を脇に挟む。
「37度2分、ギリギリ微熱ですね。宜しいでしょう」
はあ。
これで4時間はもつか。(411文字)
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