![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87790477/rectangle_large_type_2_5d08e3ee93dd868bc54000e14b172005.png?width=1200)
掌編「地球の意外な使い方」@爪毛の挑戦状
まず、8,000万キロメートル程度のワイヤーを用意します。
「八千…ワイヤー?」
このワイヤーの端を玉結び。通した地球が抜けないようにね。
「通した…地球…?」
次に、地球を複製。
「えっ」
この複製に、ワイヤーを通します。
「え?」
はい、こっち側も玉結び。そして係留。もうちょっと距離あけても大丈夫ですよ、ワイヤー通してありますから。
「凧上げみたいですね」
もう少し離したいですねぇ。最低でも17.5万キロメートルは離したい。そうすれば複製は100個程度で済みます。
「地球を100個も複製するんですか?!」
再び、複製。
「ぉ…」
同じようにワイヤーに通します。あとはひたすら繰り返し…、玉結びで挟むのを忘れずにね。
「凧上げっていうか、ビーズアクセサリー?」
*
よし、できた。けっこう時間掛かりましたねえ。さ、行きましょう。
「どこへ」
隣の地球ですよ。
「隣の…?」
隣の地球までおよそ17.5万キロメートルの間隔で作りましたから、全速力で半日も飛べば着くでしょう。途中の地球で補給しても、船を修理しても、まず100日後には、火星は射程距離に入るでしょう。その頃にはだいぶん火星の軌道も近づくはずです。
「それって…」
補給地が多ければ安心でしょう?飛び石みたいなものですよ。
惑星軌道になかった地球を増やしたことにより、幾つかの複製は消滅していたが、博士と僕はなんとか火星に辿り着いた。
(585文字)