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掌編「うんこおじいちゃん」@爪毛の挑戦状

じいちゃんは、この土地に住んで三代目で開墾をめちゃくちゃ頑張った人だ。いま使っている畑は、当時じいちゃんが拡げた土地だ。

じいちゃんは、堆肥の扱いが得意で、毎回調整が絶妙だった。僕は父さんよりスジが良いと見込まれ、日々指導を受けている。

そんな じいちゃんの話はいつも面白くて、僕は夜な夜なじいちゃんの部屋へ行っては、眠くなるまで話を聴いた。なかでも、苦労したとよく話していたのが、ばあちゃんとの結婚生活の話だった。

ばあちゃんは気が強く、鼻筋が通った美人で、村の魚屋の3人兄弟の末っ子だった。

じいちゃんは4人兄弟の長男で、当時は村で評判の美男子だったそうだ。確かに、いま見ても目鼻立ちはしっかりしている。モテるじいちゃんに、ばあちゃんは大層嫉妬したらしい。

ばあちゃんの発散の仕方が、何とも放胆だった。

酔って帰ってきて玄関で寝ているじいちゃんの脇腹を思いっきり蹴って知らんぷりしたり、空いたビール瓶を裏庭の岩に投げつけて粉々にしたり、物干し竿で天井をズンズン差したり。

ばあちゃん本人にもウラが取れているから、これらは本当のことなんだろうと思う。

堆肥に埋められなくてよかった、とじいちゃんは笑うけれど、放胆なエピソードが一度で終わらないあたり、じいちゃんも懲りない人だ。

足を悪くしたじいちゃんは、最近はあまり街には下りられなくなったけれども、元気に新聞配達をするばあちゃんを こっそり支えている。

何だかんだ、優しいじいちゃんと豪胆なばあちゃんは合っているんだと思う。

縁側でぼーっとしていたら、じいちゃんに呼ばれた。
スイカ切ったって。


(662文字)


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