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本の感想したい vol.2

前回の本の紹介記事から、間が開いてしまいました…
サボっていたわけではないです。けっして。

流れで担当をもったり、公募に送ったり(間に合わなかったり)、
色々ありました。
ですので、今回はその間に溜まっていた読了済みの本をまとめて紹介したいと思います。


『ミノタウロス現象』 潮谷験

メフィスト賞受賞者の潮谷験さんの最新作。
まず、アイデアがぶっ飛んでいる。

初っ端に暴れる牛に吹き飛ばされるかの如き、奇想天外設定!
それらの奇想天外が、上手に社会に組み込まれていくのが作者の上手いところ。ぶっ飛んでいるが、それらはあくまで現実的な世界の上に、二本足で立っているのだ。

文章の読みやすさも相まって、驚きを飲み込んで、事態の推移に呑み込まれていく。
その手腕、まさに怪物級。

怪物がどうミステリになるのか、もう面白そう。
ぜひ、ご一読してほしい。ミステリの可能性が宇宙規模に広がっていることだろう。

『塔のない街』 大野露井

翻訳家である大野露井さんの初小説。
エッセイのような語り口で、ロンドンでの日々が綴られている。

ロンドンで出会うのは一風変わった風情と人々。あるいは事件。
なにより注目したいのは文章。
綴られた文字には、ひねくれたような、あるいは鬱屈としたため息のような。国内文学では味わうことのできない、情緒が確かにあるのです。

異国と日本の文学を渡り歩く、作者ならではの味があります。
歩き方や足あとのように。
文章はそのひとだけの、癖が強く出ると思っています。
ハマるひとは、どっぷりハマることでしょう!

『ここはすべての夜明けまえ』 間宮改衣

ハヤカワSFコンテスト、特別賞の受賞作。
間宮改衣さんのデビュー作になります。最近話題の、ヤツです。

これが! デビュー作?
すごい新人が一生、出続けるから実際すごい。

一言で紹介するなら、
勇者ヒンメルと出会う前の、原作序盤の、人間に対して理解の及んでいない描写をされている、SF版フリーレン。です。
一言じゃない? まあ、誰しも早口オタクになるから…。

父親や兄姉、甥――家族の死を見送り、自身や家族のことを理解していく。
いきるってなに? こいってなに?
様々な問題を絡めつつ、主人公は人間らしく生きることにたどり着く。

おもしろい、というより、あたらしい。
読んでみなければ、伝わりづらい衝撃がある作品です。
だから、読んでみて!(うちの書店にも、まだあります!)

『卒業のための犯罪プラン』 浅瀬明

第22回「このミステリーがすごい!」大賞の文庫グランプリの受賞作。
作者の浅瀬明さんは書店員だそうです。すごい。
書店で「生産者の顔」をできるやつだ。

学内で通貨として扱われるポイントが流通しているという設定で、ポイントとシステムを駆使して卒業を目指す、という物語です。
なんと、ポイントで単位が買えます。
私も大学時代に欲しかった…。

好感度の視覚化、現実的な『タイムマシン』、小賢しい学生たち。
アイデアのどれをとっても、現在的です。
ゲームチックな出し抜き合いに、リアリティが融合され、あっという間に読み切ってしまう。これぞエンタメ! と推せる小説です。

ミステリーに親しくないひとでも十分に楽しめるし、小説を読まなくなって久しいビジネスマンにもおすすめできるし、青春小説として今を楽しむ大学生にも読んでほしい。
幅広く受け入れられる、極上エンターテインメント、間違いなしです!

私も書店員にして作家、を目標にしたいです。
個人的に勇気をもらいました。全然かんけいないけど。
私もがんばります!

小市民シリーズを待つ男

みなさんはご存知でしょう。
4月の末に発売予定の、小市民シリーズ最新作。
『冬期限定ボンボンショコラ事件』を。

小市民シリーズは私の青春でした。
甘いだけじゃない、ピリッとくるスパイスの効いた物語にやみつきでした中学時代。当時はミステリーも知らず、ただの学園青春ものとして読んでいました。

久しぶりに再読したのですが、
ちょーおもしろい。すきすきだいすき。

クセのあるキャラ付けが上手い。
めちゃくちゃ読みやすい(読みやすいものを書くのは実はめっちゃ難しいです、文学的に書くのと同等か、それ以上に難しいです、一個人の意見ですが)。

主人公のふたりが、正義のひとでない、こともいいですね。
アニメ化もあるし、ビジュアルがイメージ通りだった小佐内さんで、最強だったので、ファンのみなさんも、これからファンになるみなさんも、震えて待ってください。


できれば、月一ぐらいのペースで書けたらいいかなと思っています。
(本当はもっと頻繁にやるつもりでした…)
次回は4月の末ぐらいになるかな、と思います。
気ままにやっていきます。

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