止まらない何か VOL.1 ②
いよいよ開演。
トッパーは最近右肩上がりの50/50's。自信を持って送り出したらほんとうにあっという間にフロアに火がついた。
雷は空から撃ってくるけど、礒﨑くんのギターからは逆に雷の柱が立ち昇っているのが見えるようだった。
礒﨑くんのエレキギターは迸っているが実はすごく繊細なプレイをしていると思う。爆音で紛らわしているんじゃないからめちゃくちゃ説得力があって、そういうところが同じバンドマンにも尊敬されるんだろう。
ナルハさんのドラムは、普通にドラムを評して言うところのパワフルという感じはしないのだが、体力筋力まかせにデカい音で叩くのではなく気迫が音に籠っている。だからすごく響く。
去年の6月に彼女のデビューライブを同じメレで見たが、あのときとはもはや別人だった。
遅れてきた友だちがすっと最前の空きスペースにぶっ込んで楽しそうにしていたのも嬉しかった。ライブハウスのフロアは自由な方がいい。これは…!となったら途中からでも前へ行っていいと思う。常連さんだけが最前列の権利を持ってるみたいな雰囲気とか一生動けないライブとか苦手なのだ。
2番手THE PERRY。私はリハも見れたのだが、無言で延々ジャムってる場面なんかめちゃくちゃカッコよくって、PAのあつおさんと細かくやりとりして自分たちの理想の音に近づけていく様が「若輩者だけどがんばってます!」みたいな引いた感じが全くなく、相変わらず不敵なヤツらや〜と改めて感心してた。
本番もバーン!て登場して誰もが楽しめるカラッと陽気でくもりのないロックンロールをブチかましてくれた。
途中から正継くんが、まあシャツを脱ぐのはいつもやるんやけど、ジーンズのファスナーを下ろしたから公然ナントカ罪みたいなヤバい絵ヅラになり「主催者としてここはファスナーを上げにいかねばならんのか?」と無駄な葛藤が!
音的トラブルもあったが曲を変更して何事もなかったかのように切り抜けてた。こっから3バンド全部トラブルに見舞われてたんもめちゃくちゃおもしろかったな〜。ライブって感じした!(ヒドイ主催者)
そしてこれはTHE PERRYのライブと分けて考えた方がいいような気がするのだが、ラスト「革ジャンパーな彼女」で正継くんに手を引かれ、私はステージに上げられた。
一応、主催者の心構えとして
1. 最前列には行かない
2. アルコールを入れすぎない
の2点を誓っていたが、50/50'sのとき「はあ?この音楽でノンアルの意味がわからんわ」とばかりハイボールを買ってしまい、THE PERRY始まってすぐ友だちに誘われるがまま前に行ってもうた(笑)誓い破るん早っ。もうダメだー。
正継くん機会を伺ってたんか知らんけどほんま自然に手を伸ばしてきて、なんつうの?結婚式の二次会でキスしろと囃されるカップルの気持ち…?ああいうときってやるしかなくなるねんな(笑)
ステージ乗ったらもうえっか〜となり、すっかりはしゃぎまくりました。すまぬ。
でも、ステージからお客さんの笑ってる顔が見えてめちゃくちゃ幸せな気持ちになった。単にペリーと私がアホすぎるから爆笑されてただけかもやけど。
ステージで聴く音は格別気持ちよかったな〜。ベースとドラムの響きがすごい身体にくるのがわかった。ヤングと一緒に踊ったりゲンちゃんとコーラスしたりも一生の思い出になりました。
あと、正継くんのジーンズ上げといた。ちゃんと仕事したやろ?
THE PERRYが思いっきり掻き回した後はTHE HillAndonが堂々の演奏で場を締めてくれた。(ペリーはあれでええねん、あれこそ若者の特権!笑)
いや〜この日のTHE HillAndonは凄まじかった。後から多くの方にそう言われたし、私も思った。
対バンを考えてのことか普段より激しめ、アップテンポな曲が多かったように感じた。そしてここでもまたトラブルが発生したが、達郎が「気合いが入りすぎて」と言ってくれた。
THE HillAndonは業界(という言い方もやらしいけど)の大御所からも共演のお声がかかることも多いし、だいたいあの若さでホームが磔磔っていうだけでどれほど凄いかわかる。
でも、私はそういう大人がつけた評価やウワサをとっぱらった剥き出しのTHE HillAndonのライブがみたかった。このメンツなら絶対そうなると信じてオファーした。
そして、まんまとそういうライブだった。最後の曲は「Song for Our…」だったが、THE HillAndonのワンマンか?と錯覚するような大感動のラストで拍手がなかなか鳴り止まなかった。
私的噛みしめポイントは、この日のBGM全部キンクスのCDを渡しておいたのだが(主催者特権)THE HillAndon終わりにかかった曲が偶然「Waterloo Sunset」だった。たまらんかったです。
トリはThe Relaxins。THE HillAndonの神ライブを受けて、たぶん関西のお客さんにいちばん馴染みがない今のリラクシンズ。
しかし、リラクシンズはいきなり音源も何もない最新曲のひとつを出してきた。私は彼らのこういうところがたまらなく好きなんである。
今回、リラクシンズを関西に呼ぶにあたり「できれば前後にライブを入れてほしい」とお願いしていた。集客が分かれるリスクもあったが、それだけ今の彼らをみてもらう機会が増える方がいいと思ったし、まあそんなかっこつけた理由よりとにかく自分が何度でもみたかった。
結果、3日間のツアーとなりメレが最終日だったのだが、前2日間はライブ定番曲の「止まらない何か」すら演らず、久しぶりにみた人など「ほとんど知らん曲」状態だった。
だからこの日もまたその体でいくのかと思いきや、2曲目が東京へ行く前に新体制リラクシンズが繰り返し演っていた「1997」からの「シーグラス」で、そのころの馴染み客が全員発狂した(笑)もちろん私も。友だちと泣き笑い顔を見合わせたものだ。
The Relaxinsは古い皮を脱ぎ捨てる時間ももどかしく次の皮膚細胞が形成されるようなバンドで、特に今年に入ってからの新曲ラッシュは一生スタジオに籠ってるとしか思えないスピードなのだけど、私にとっては次々と生み出される曲のどれもが魅力的で「ああまた大好きだ」となる。だからと言って古い曲の価値が下がる訳ではなくただ好きな曲が増えるだけなので、昔の曲を今のリラクシンズの演奏で聴けるのは最高の気分だった。
本編ラストが「止まらない何か」っていうのも考えてくれたんだろうなあ、と思って胸が熱くなったが、実はイントロで何の曲かわからんかった(笑)だってまた変わっていたんだもの。
私が決めたタイムテーブルではアンコールの時間はわざわざ取っておらず、バンドには熱烈アンコールがかかったらやってほしいと伝えていた。トラブルもあったが、最後をまた最新曲で見事に締めてくれた。
終わっちゃうのが寂しかった。
終演後、お客さんのひとりに「あんなにも出演バンドみんなが対バンのライブをみているのは珍しい、そこがよかった」と言われたのも嬉しかったなあ。それは心から願っていたことだから。
その後少しフロアでしゃべっていたらハユルくんとトモスエがケーキを持って近づいて来た。えええ!仲のよいライブ友だちが画策してメレのミカさんも巻き込んでめっちゃ美味しいケーキを用意してくれてたのだ。演者の皆さんからのメッセージボードももらった。
いつのまにそんなことしていたのか…涙が出た。企画1回目と誕生日のお祝いということだった。めっちゃびっくりしたな〜。
最後にいい時間を過ごせました。
みんなにありがとうの気持ちがたくさん!
さて、『止まらない何か VOL.2』も決まっています。自分も楽しめてお客さんにも演者さんにも楽しんでもらえてお店にも喜んでもらえるような企画を目指して…
これからもよろしくお願いします!
※写真はすべて浜村晴奈さん撮影です。演者の素晴らしい表情を引き出し、いくつもの最高の瞬間を焼きつけてくれました。改めてお礼申し上げます。