見出し画像

遅死11.02 @日比谷野外大音楽堂

受験直前期にも関わらずsyrup16gを見るために遠征。
いや、正直直前のしんどい時期だからこそ行ってよかったと思う。

私は弥生時代ならば確実に人柱にされるレベルの雨女である。
夏にも用事で東京に訪れたが、私が着いた頃から急に台風が進路を変えて東京に直撃。新幹線が完全に止まり2日滞在の予定が5日も足止めを食らった。

野音はギリギリまで行けるかどうか微妙な状況だったが、行ける可能性が高くなった途端に案の定
公演時間だけ20㍉予報……
ファンの皆さま、私を逆さに吊るすなりなんなりしてください……と思いつつ中止にならない事を祈って当日を待った。

そして決行されるか分からないまま当日朝を迎え、ニュースを見ていたら、『東海道新幹線一部運休のお知らせ』____

終わった____元々土砂降り予報のなか見に行く予定だったこともあり、ズーン…という気持ちからさらにズーーーン…………となった。

しかし幸いなことにどうやら12時頃から運転再開するらしい。
ギリギリで行こうと思っていたがスケジュールを立て直し、決起集会みたく混んでいる名古屋駅で人混みをかき分けながら鬼の速さで自由席を購入し、改札前で喧嘩をしている夫婦の間をスススと通り抜け再開1本目の新幹線に乗車するクエストをクリアした。

座るところは無く、混みまくった通路に立ちっぱなしで新幹線は動いたり止まったりを繰り返し、通常東京駅まで1時間半ちょっとで着くところが2時間半もかかった。

受験勉強で慢性的に寝不足で体調不良な上、メンタルも終わっている状態でこの苦行を課せられ、着いた頃には既に顔が死んでいた。

少し何か入れないと体に障りそうな気がしたので、
喫茶店に入り食事がてら時間をつぶした。
パンは嫌いだが、サンドウィッチしかなかったのでそれを注文。

去年から発症した謎のパニ障?のせいで人前で食事をすると食べものが上手く呑み込めないことがある。血の気が引いて気持ち悪くなってしまう。この症状とパンの相性はかなり最悪だった。

日比谷野外大音楽堂に到着

野音に行くのは初めてだった。
人生初野音がsyrup16gとは、私はなんて幸せ者なんだろう。

16時半ごろ公園内に入ると、まだ長蛇のグッズ列がつづいていた。
syrupのファンはみんなでワイワイ楽しむと言うより、(お前も辛かったんだな…)とか、スマホの画面をチラ見して(おっ、その選曲分かってるなぁ)とか、そんな感じの人が多い気がする。
交流は少ないけど上辺の交流より深いもので繋がっている そんな感じ。

少し時間が押して、
全員が会場内に入ると雨はどんどん強さを増して、ステージに向かって棒立ちするレインコートの集団でぱちぱちと音を鳴らす。

本編

メンバーが壇上に上がると、雨の音と拍手と歓声が混じり合う。
そして始まったのはクロール
風が吹き荒れ、雨が模様のように波打つ。

観客はレインコートによって簡易的な匿名性を手に入れたからか、周りに合わせ揺れたり拳をあげたりする必要がなくなり音に集中する。

続いて前頭葉Heaven。
Delayedeadのハイテンポな曲が続き観客のテンションは徐々に上がっていく。

次は、もういいって。
たしかこの辺りでMCが入って、「ちょうどこの時間が雨1番酷いらしいね、申し訳ない、、笑笑」と言う中畑さんに客席からは温かい笑いが溢れた。

そして翌日生活と続く。
有名曲の連続に、イントロギターが聞こえる度観客は思わず声を上げる。

真空。たしかこの頃に雨の強さはピークを迎えた。
激しいサウンドに呼応する様に雨はどんどん激しく荒れ、雷までも光った。
もはやこの天候も演出にしか見えず、野音は完全にsyrup16gの世界になった。

Breezingエビセン。
エビセンの時のライティングはなんかピンクのクニャクニャみたいな感じで、すごく不思議な気持ちになったのを覚えている。この2曲は長らくライブで演奏していないらしく、レアだった。

明日を落としても

この曲はsyrupの中でも聴くのに準備が要る。
気を抜いて聴くと、BAD入ってしまうので…
イントロギターで明日を落としてもだと分かると反射的に涙が出てしまう。
歌詞と音をしっかり噛み締め、ぐしゃぐしゃになった顔を雨のせいにする。

いまは会えない恋人が、よく口ずさんでいたことを思い出す。
悔しくて、辛くて、塾から泣きながら帰った夜道のことを思い出す。
不安や焦りで家族が寝静まった後、声を殺して泣いたことを思い出す。
五十嵐の叫びとリフはこれらを走馬灯のように引き連れてくる。

赤いカラス

今日1泣いた。雨も少し弱くなって、泣き止めるようにこの曲がなだめてくる。
温かさや優しさを疑わず素直に受け入れられたのは、久しぶりで、涙が止まらなかった。
満たされたような認められたような気持ちになり、堪えていたものが全て溢れ出した。
いつだって音楽に救われて、なんとか今日まで生きてこられたことを思い出した。

そして、
I Hate Music、In My Hurts Again
I Hate Music
はふっ切れて逆に明るい(?)感じを受ける曲なので嵐の中のライブで聴くと、
聴こえる音と視界の絶望感とのミスマッチで不思議な気持ちになった。
In My Hurts Again
も今回はじめてライブで聴けて嬉しかった。

どの辺か忘れてしまったけど、2回目のMCではがっちゃんが「なんかみんな、こう見ると野戦病院みたい…」「1年ぶりのワンマンで、ここに全て集中って感じ。雨雲も…」と言っていた。笑
途中で、わざわざ前の方に出て観客と一緒に雨に濡れながらギターを弾いてくれていた。

変拍子、光なき窓
この2曲はdelaidbackからの選曲。
光なき窓、ライブで聴くのと音源で聴くのでは迫力が全然違う。
まるで讃美歌のようだった。
この曲で一旦本編は終了。雨はかなり弱まって霧のようにやさしくなっていた。

アンコール

アンコール1曲目はSonic Disoder
"あの"イントロベースが鳴ると会場は歓声をあげる。
何回聴いても1番かっこいいなぁ
この曲をアンコール1曲目に持ってきてファンを沸かせるsyrupが大好き。

続いて神のカルマ
17年前も野音に来ていたファンは特別嬉しかっただろうな。
落堕は「寝不足だって言ってんの」のコール&レスポンス。長時間大雨に見舞われたレインコート集団がマイクを向けられ「寝不足だって言ってんの‼️」と言うカオス空間。
coup d'Etat
の次はアンコール最後の曲、空をなくす
みんな大好き、空をなくす
大人しくしてた客たちも思わず体が揺れてしまう。

ダブルアンコール

ダブアンまで出てくれるとは…!
最後はReborn
やはり〆に相応しすぎるやさしい終わり方。
最後くらい完全に晴れてくれよ…と思った矢先に少し雨が強くなるのもやっぱsyrup16gだった。
Rebornを聴くと白昼夢的な、天気がいいとも悪いともいえない日の午後の光のような、なんとも言えないがそういう安心感を抱く。
現場はぐしゃぐしゃですが……

おわりに

syrup16gの歴史を当事者として経験出来た夢のような時間だった。
最後まで降りやまなかった最悪の大雨も雷も新幹線運休も全てらしいといえばらしい。

いい事ばかりじゃないけど(特にsyrup好き)、こんな夜があるなら生きていけるなと思う。

致死とは死に至るとかいて致死
遅死とは死に遅れるとかいて遅死
遅死↔早死
死に遅れるとは、(死を望む者のネガティヴベースは否定せず)死に損ねたとしてまだ生きていよう
こういうメッセージなのではないかと、帰りの新幹線でぽけ〜と考え、他の方のレポを見つつ、思った。

五十嵐隆の優しさなのだと思う。私は全然図太く生きたいと思うけれども、
常に死を意識してしまうファンにとってsyrupの曲や五十嵐のメッセージが、この世に留まっていられるように、心の玉留めのように機能してくれたらいいよなあと思う。

偏ってるし駄文だけど、ただの記録なのでラフに読んでくれたらうれしい。気が向いたときに加筆修正します。

おしまい

いいなと思ったら応援しよう!