見出し画像

赤ちゃんの頭のこぶ

東京日本橋院で月曜日を担当している脳神経外科 堀越恒(ほりこしこう)です。

今回は「赤ちゃんの頭のこぶ」についてご説明しようと思います。

まずは、簡単に人間の頭の構造から説明します。
頭は主に、脳と顔面から構成されており、神経発達に重要な脳は外部からの衝撃に耐えるために、何層もの構造物で守られています。
脳のすぐ外側には、「硬膜」と呼ばれる膜が覆っており、その中には脳脊髄液という液体で満たされており脳の緩衝剤となっています。
その外側には「頭蓋骨」があり、頭蓋骨もまた「骨膜」という膜に覆われています。さらにその外側には「帽状腱膜」という膜があり、「皮膚」、「髪の毛」で頭は覆われています。
生まれたての赤ちゃんの頭蓋骨は、大人の頭蓋骨と大きく異なります。赤ちゃんの頭蓋骨は薄くて、軟らかい(手でも容易に曲げられます)です。
また、大人のように一つの閉鎖的な球体ではなく、何枚かの頭蓋骨が組み合
わさって構成されています、その頭蓋骨と頭蓋骨の境界を「骨縫合」と呼び、緩くくっついています。
成長とともに徐々に頭蓋骨は厚く、硬く、大きくなり、骨縫合が閉じて大人と同じ頭蓋骨に成長していきます。

参考画像

頭の構造のお話しはこれくらいにして、ここから本題の「頭のこぶ」についてお話しします。
「こぶ」とは体の一部分に生ずる盛り上がりのことです。
赤ちゃんの頭の表面にも色々な原因で「こぶ」ができる可能性があります。先ほど述べたいろいろな膜のうちのどこに、なにが溜まるかで大きく3つに分類されています。分かりやすい図も載せておくのでご参照下さい。

①産瘤:分娩時に頭の先進部に一致してできるこぶ。
「皮膚の下」に滲出液(水)が溜まります。数日で自然消失します。
②帽状腱膜下血腫:吸引分娩などで帽状腱膜と骨膜が剥がれ、
「帽状腱膜の下」に大量の血が溜まります。出血多量になることがあり治        療が必要なことが多いです。
③頭血腫(骨膜下血腫):産道が狭い場合や吸引・鉗子分娩などで骨膜が骨から剥がれ、「骨膜の下」に血が溜まります。
多くは数ヶ月以内で自然消退しますが、徐々に大きく、硬くなってくることがあり、石灰化が強く起こる場合は外科的手術を行うことがあります。

われわれのクリニックでときおり目にかかるものは③の頭血腫です。
治りかけの頭血腫である場合がほとんどで多くは問題とならないですが、ヘルメット治療に影響がある場合は、ヘルメットの作成時に頭血腫を考慮して設計することもあります。
硬さやこぶの出来る場所で診断は可能ですが、どれくらい石灰化しているかなどはレントゲンやCT検査を用いて診断することもあります。

お子様に合わせたオーダーメイドな治療をご提供できるように診療しておりますので、些細なことでも気になることは何でもご相談下さい。

東京日本橋院  医師 堀越 恒

画像をクリックするとホームページに移動できます