ヘルメット治療と熱性けいれん
東京日本橋クリニックに勤務している橋詰です。
夏期のヘルメット治療では、熱中症に注意するよう暑さ対策について毎回のように説明しています。
また、ウイルス感染などで発熱した場合も解熱するまではヘルメットを外すようお話しています。
そんな中で、風邪で発熱した際に熱性けいれんが起こった赤ちゃんがいました。
熱性けいれん、ご存じですか?
乳幼児が発熱時にけいれん(ひきつけ)を起こす状態で、発熱以外に明らかな原因がみられない場合、熱性けいれんと診断されます。
単純型と複雑型に分けられますが、ここでは詳しくは触れません。
日本での有病率は8-9%で欧米の2倍くらい高く、珍しい病気ではないので、聞いたことのある方も少なくないと思います。
ある程度の遺伝性があり、関連した遺伝子異常が見つかることもあります。12か月未満での発症では再発率が高くなります。
熱性けいれんの既往があると、将来、てんかんを発症する可能性が少し高くなると言われていますが、他に重複する危険因子がなければそれほど心配するものではありません。
成人に発症する内側側頭葉てんかんでは熱性けいれんの既往のある方が少なくないのですが、逆に、熱性けいれんを起こした乳幼児が後に内側側頭葉てんかんを発症するリスクが高くなるというエビデンスはありません。
もともと、脳は熱には弱く、動物実験でも脳温の上昇でけいれんや異常な神経活動を起こしやすくなることが古くから分かっています。
まるでコンピューターのCPUみたいです。
そのため、脳の冷却をてんかんの治療に応用しようといろいろな研究が行なわれましたが、血流のある脳だけの温度を下げることは難しく、また脳の一部分だけ温度を低下させるためにCPUの冷却に使われるペルチェ素子を脳に埋め込む研究なども行なわれましたが実用には至っていません。
熱性けいれんは通常は経過観察になりますが、発熱時に頻回に再発する場合は、けいれん抑制剤の座薬が発熱時に予防的に使われることがあります。
早めに解熱剤投与が行なわれることもありますが、解熱剤が熱性けいれん予防に効果があるというエビデンスはありません。
昔から頭寒足熱と言いいますが、頭を冷やすのはやはり健康にいいのかもしれませんね。
でも、私はいつも布団から足を出して眠っています。
東京日本橋クリニック 医師 橋詰 清隆