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暑い(熱い?!)日が続いています

表参道神宮前院月曜日の診療を担当している阪本です。
今回は夏休みシーズンということもあり、ライトな話題でブログを書いてみたいと思います。

8月11日、パリオリンピックが閉幕しました。
私は中学時代と大学6年間陸上競技部に所属していたこともあり、毎回オリンピックや国際大会で陸上競技を見るのがとても好きです。
このブログを読んでいただいている方は、「タ―タン」という言葉をご存じでしょうか。
「タータン」とは、陸上競技場の地面に使用されている合成ゴムのことを言います。もともとはアメリカのメーカーの商標名だったようですが、今では一般名として使用されています。
皆さんはこのタータンと呼ばれる競技場の地面は何色を想像されますか?
一般的には赤色をイメージされると思いますが、今回のパリオリンピックのメイン競技場は青色系(正確には明るい紫色)のタータンでした。

出典:Paris 2024 Olympics (https://olympics.com/ja/paris-2024/venues/stade-de-france)

昔の陸上競技場は、熱に強く水はけがよいレンガを細かく砕いた人口土(アンツーカー)を利用していたようですが、今では雨でも滑りにくいタータンが主流となっています。
アンツーカーはテニスコートや野球場の内野エリアに使用され、滑る動作が必要な競技で今現在でも用いられているようです。
製造当初はこのレンガの色をまねてタータントラックは赤く作られていたようで、赤い陸上トラックの印象が一般的にはとても強いと思います。

また赤色は「アドレナリン分泌を促進し気分を高揚させ、興奮状態にする」効果から競技会場として採用されてきたようです。
振り返ると3つ前のロンドン五輪、その前の北京、アテネ、シドニー・・・と、タータントラックが採用された1968年メキシコシティ五輪まで、メイン競技場は赤色タータントラックでした。
しかし2個前のリオデジャネイロオリンピックで初めて青色タータンが採用され、今回も青色系のタータントラックでした。
(東京五輪は赤いトラックでしたが、パリ五輪と同じイタリア・モンド社製の特殊な「高速トラック」が採用されたようです。)
青色には人の心を落ち着かせ、集中力を高める効果があります。
赤と比較して集中力の持続性があがり、好成績が生まれやすいとされ、近年新設される陸上競技場は青色系のトラックがかなり増えてきているようです。陸上競技は個人競技の側面もありますから、赤より青が好まれる理由も納得ができます。

実はあまり知られていないかもしれませんが、医療現場でも同じような工夫がされています。
外科医は手術中、血液を長時間見ることになります。
手術中にアドレナリンが出続けることはよい面もありますが、一方で集中力も維持させなければなりません。
また常に緊張状態にありますから、赤と同系統の色ばかりだと気持ちを落ち着かせることができません。そういった理由で、ふと目を離したときに目に入る手術用のドレープ(覆布)や手術着が緑色や青色が採用されていたりします。

パリオリンピックの話に戻ると、終盤にレスリング競技で日本人のメダルラッシュがあり、とても白熱しました。
ふとレスリングマットに目をやると、濃い青色にオレンジ色の円で囲われていました。
あれ、昔は黄色マットに赤い円だった気が?と思い、過去のオリンピックを確認してみると、なんと陸上と同じリオデジャネイロオリンピックからマットの色が変更になっていたのでした。
レスリングマットの色が変更になった理由は、レスリング協会のHPなどを見ても詳しいところはわかりませんでしたが、考えてみれば格闘技のリングも青系の物が多いような気もしてきました。
個人競技ではない格闘技でも、興奮状態より精神的に落ち着いた状態の方が、より本来の力が出せるのかもしれないと思いました。

8月28日からパラリンピックが始まりました。
アスリートたちの活躍を楽しむとともに、競技会場などにも着目して観戦すると、より深い別の楽しみも味わえるかもしれません。

それにしても暑い日が続きます。
ヘルメットをかぶっていなくても、数分外にいるだけで頭皮全体から汗が噴き出してきます。
装着の時に説明を受けているとは思いますが、外出時はかならずお子さんのヘルメットを外してあげてくださいね。
お子様の熱中症はこの季節、一番注意しなければいけいない病気のひとつです。
外来をやっていて、特に午前中早い時間だからとかぶせたまま来院され
る方もいらっしゃるようです。
毎年異常気象かと思うほど暑い日が続いています。できる限りお子さんにとって涼しい場所で過ごしていただくのがよいと思います。
今一度、夏の過ごし方を確認していただけたらと存じます。

表参道神宮前クリニック 医師  阪本 浩一朗


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