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光神話 パルテナの鏡【ヤラレチャッタ狂騒曲】

任天堂 1986年12月19日発売(FCD)

基本的にはサイドビューのジャンプアクションシューティング物となっていますが、最終面だけ強制横スクロールのシューティング面となっています。

最近ですと任天堂の作品と云うだけでゲーム内容のクオリティは保証されており、まずハズレはないだろうとする安心感が定着していますが、この当時はアタリハズレのムラがある印象が強かったと云えます。

特にディスクシステムの作品にはハズレが多いとされていました。「謎の村雨城」はもとより、現在では名作の誉れ高い「メトロイド」も駄作扱い、「スーパーマリオ2」もその難度が高すぎる事から賛否両論がありました。ゼルダの続編「リンクの冒険」もジャンプアクションにゲームシステムが変更された事で怪訝を催した方も多いかと思います。

本作「光神話 パルテナの鏡」もクソゲーのレッテルを貼られていたと云えるでしょう。

地味なゲーム内容、冴えないグラフィックス、理不尽な難易度、人を小馬鹿にしたようなふざけた演出……などなど、クソゲーまでは行かないにしても良質な作品とは云い難いとするのが正直なところでした。

ギリシャ神話をモチーフにした世界観が受けてか海外では人気があり続編も出ているものの、私たち日本人には感情移入出来るものではなかったと云わざるを得ません。とは云いながら本作は売上109万本のミリオン作品となっています。ディスクシステムのユーザーが新作に飢えていた事の証明かも知れません。併せてクリスマス商戦に乗ったのが大きかったと見るべきでしょうか。

ゲームシステムだけ見ると「メトロイド」の義兄弟か従兄弟あたりに位置する内容となっています。メトロイドは探索に重きが置かれて、パルテナの鏡はジャンプアクションに傾いていると云えば良いでしょうか。この相違は「ゼルダ」と「村雨城」の関係にも近いと云えますね。

本作では他のアクションゲームではあまり見られない経験値システムが取られています。

敵を倒した際に出現するハンマーを取得する事で経験値が溜まって行くのですが、リアルタイムではなく、面クリア時に溜めたハート相応のレベルが上昇するものとなっています。

これは他のゲームで云うと「ウィザードリィ」の宿屋でレベルアップするシステムと同様であると云えますね。

敵が無限湧きするシステムなので、如何に序盤で我慢して経験値を稼ぐかが重要となります。ちまちまと地道に経験値稼ぎするのが好きな方でしたら楽しめるとは思うものの、これは一般的に面白い作業とは云えないでしょうね。敵の動きもいらやしいものが多い事から苛々させられるのもマイナス部分ですし、アイスクライマーよろしくスクロールさせた後に画面外に落ちてしまっても死亡。挙げ句「ヤラレチャッタ」と云う文字とおちゃらけた音楽……これはクソゲーと呼ばれても致し方ないでしょう。

個人的には地味な経験値稼ぎも含めて嫌いなゲームではありません。我慢を積み重ねた末に入手出来るパワーアップの爽快感はなかなかのものでしたし、ゲーム内容も最初に受ける印象よりもバラエティに富んでいて楽しませてくれます。最終面の横スクロールシューティングもワクワクさせられますよ。

2011.11.22

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