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B-WING【ジョージハリスン曰く】

1984年にデータイーストから発表されたビデオゲームです。

「ゼビウス」の影響下に企画された強制縦スクロールシューティング物なのですが、随分と趣の異なる不思議なゲーム性を持った作品と云えるでしょう。

「ゼビウス」の登場以降、各社は我先にと争って亜流作品を開発して行った訳ですが、大まかに分けて2つの流れがあったと思います。

1つはゲームシステムをほぼ同じくする内容としての亜流作品です。ゼビウス登場後すぐに発表された「イスパイアル」が代表ですね。「サイオン」「スタージャッカー」「HAL21」なども特に工夫のない劣化作品と呼べるでしょう。
また多少の工夫をしながらも亜流としての域を出ない(または出さない)作品としては、「バルガス」「1942」「アーガス」「スターフォース」など多くのものが存在しました。

二つ目はゼビウスを手本としてはいるものの、なんだか違うゲームになってしまったと云うタイプです。「エクイテス」「ザビガ」などがそうで、「フィールドコンバット」あたりも含まれてしまうかも知れません。そして、その代表であり最も売れた作品が「B-WING」だと云えるでしょう。

本作はゼビウスが登場しなければ生まれなかったゲームであるのは確実だと思いますが、なんとも云えない独特の雰囲気を持っているんですよね。

縦シューティング物と云うだけでシステム的に見ると類似している部分が少ないとも云えます。

実を云うとデータイーストはゼビウス以前にも同様な縦スクロールシューティング物を開発している事実があります。「ミッションX」がそれで対地対空攻撃の打ち分けシステムを採用したのはゼビウスよりも早かったのです。

以前読んだゼビウスの作者である遠藤雅伸さんのインタビューによると、氏が開発へ参加する以前には既に攻撃の打ち分けシステムが考案されていた……自機は戦闘機で敵もそれに類する現代兵器であったとの事です。

そして、ここからは推測になるのですが、ゼビウスとして完成された作品の背景グラフィックが、氏の開発参加以前に或る程度完成していたものだとすると、見た目の印象が「ミッションX」と殆ど同じと云う事になってしまいます。

私が乱暴に演繹した結果なのですが、ゼビウスを企画した当初のプログラマーは「ミッションX」の上位版を作ろうとしていたのではないのでしょうか?

結局そのプログラマーはナムコを退社してしまい、企画は遠藤氏に委ねられて「ゼビウス」として完成します。いまとなっては卵と鶏の関係ほどの問題ですので実際がどうであれ気にするほどの事でもありませんが、「B-WING」の開発された意味を考える上では重要だと思います。

「ミッションX」では対地対空打ち分け攻撃の他に、自機の上昇下降システムが取り入れられています。これはまさしく「B-WING」や「ザビガ」に採用されているものと同様のシステムです。

色々考えると「ゼビウス」と「B-WING」は血縁に当たるのかなとも思えてしまいます。他の亜流作品が単なる遠縁の親戚だとすると、上記の2作品は複雑な家庭内で袂を分かたれた兄弟とも取れます。「B-WING」が持つ独特の風体はそこから生じている可能性もありますね。その真ん中に存在する「ザビカ」は家出していた次男あたりでしょうか。そして、その直後に生まれた「リバレーション」は妾腹と云えるかも……。

ビートルズのジョージハリスン曰く「レゲーとは薬を決めていた南米人が演奏出来なかったロックである」言い得て妙ですね。

2005.0407

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