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ジャイロダイン【東亜プランの前身・システムの不備】
1984 CRUX/タイトー
●強制縦スクロール●空中地上撃ち分け●ショット方向撃ち分け●誘導弾ショット●地上ショット連射●見えない敵●減点制度
空中地上撃ち分け。それまでのゼビウス亜流作品はオリジナルに倣い、空中と地上への攻撃を別の武装で賄っていると云うグラフィック表現を採用していました。
本作では空中地上の差なく一つのバルカン砲で攻撃していると云う設定を採用しています。
結果的には2ボタンを空中、地上に割り振っているのでシステム上での差違はないに等しいのですが、地上への攻撃も自然に連射出来るようになったのが小さな発明と云えます。そして地上攻撃でも自機の目の前であれば空中敵への当たり判定を持つ事になっています。これは同じバルカン砲であるので高さの概念を表現したスパイスとも取れるでしょう。
また2ボタンを同時押しする事で強力な誘導ミサイルを発射する事も出来ます。
本来ならば3ボタン仕様としても良い部分ではありますが、自社開発の製品ではないと云う負がハード的リスクを避けたその理由なのかも知れません。
若しくは開発途中で本作が抱える操作上の大きな欠点に気付いて急遽追加された攻撃システムと穿つ事も可能です。
その欠点とは、自機の移動に合わせてショット方向を指定出来るシステムに他なりません。
具体的には自機が右方向(斜め上下も含めて)へ移動するとショットも同一方向へ発射されると云う仕組みです。もちろん左方向も同様です。
これが何を意味するのかと云えば、自機の敵を避ける移動行為がショット方向をも同様にしてしまい敵を破壊出来なくさせてしまうのです。
例として右から接近して来る敵を避けるには当然左へ移動しなければなりません。ショット方向も左へ向いてしまうので接近して来る敵の明後日をしか攻撃出来ない……これは致命的な欠陥ですね。
ゼビウスとの差別化を考えてのショット方向切り換えシステムだったとは思うのですが、思慮が足りなかったばかりに残念な結果となってしまいました。
しかし当時としては驚くほど緻密なグラフィックと彩度を抑えたセンスの良いキャラクターは現在の目で見ても素晴らしいと感じられます。個人的にも結構遊ばせてもらいました。
また民間人や動物を殺すとスコアが減点され難度が上がるシステムも面白いところです。
2006.02.03