骨粗鬆症なのにカルシウムのサプリを禁止する時

85歳女性。今日初めてエルデカルシトールの処方されました。整形外科の処方箋は初めて。きくと、

「数年前に脊椎の圧迫骨折をした時、骨粗鬆症がわかって毎月注射をしていた。2年ぐらい続けて注射は終了。その後は自分でカルシウムを摂って治療はなかった。 今回健康診断で骨粗鬆症を再び指摘され、受診。今度は6ヶ月に1回の注射になりました。飲み薬も出るなんて思っていなかったから、お薬手帳は持っていません。」

処方内容 エルデカルシトール(0.75)1カプセル 朝食後 

服薬指導 骨粗鬆症の注射、お疲れ様でした。(まず労う)今日処方された薬は、食べ物からのカルシウムの吸収を良くする効果があります。吸収を良くするあまり、サプリメントなどで大量にカルシウムを補給すると、吸収されすぎてカルシウム過剰になってしまいます。

カルシウム過剰となると、食欲不振、倦怠感、口渇、嘔吐、便秘、頭痛、意識消失などの副作用を起こすことがあります。サプリメントを飲んでいる場合はサプリメントを飲まないようにしてください。(ちょっと脅す 笑)

ちなみに、注射と飲み薬の両方を飲む理由は、注射では骨が脆くならないように骨を壊す細胞を抑えており、生命維持に必要な血液中のカルシウムが少なくなってしまうため、エルデカルシトールで、吸収を高めて欠点を補うということです。

ちなみに、食べ物からのカルシウムは摂って欲しいので、乳製品や野菜など、自然の物で取るようにお願いします。

処方解析 

数年前に注射にて行っていた治療とは、ビスホスホネート剤、今回開始された注射はデノスマブであろう。

副甲状腺ホルモン剤(テリパラチド)は毎日自己注射か、毎週通院して注射のため該当しない。

ビスホスホネート剤は骨表面のハイドロキシアパタイトに親和性があり、骨表面に吸着し、破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞をアポトーシス(脱落死)させる。破骨細胞の活性化を抑制することにより骨量を増加させ、骨折予防に有効とされる。しかし、4、5年で薬が骨全体に行き渡るとそれ以上骨量が増えなくなる。

一方、デノスマブは破骨細胞が作られ、成熟し、活性化する全ての段階において阻害し、骨吸収を抑制するため、海綿骨・皮質骨ともに骨量増加し、骨折抑制する。ただし、使用を中止すると再び骨量は減少に転じる。副作用として、低カルシウム血症があり、予防のため天然型ビタミンD3・沈降炭酸カルシウム製剤を追加するか、腎機能低下時は活性型ビタミンDを併用し、必要に応じて用料を調整していく。

今回内服として処方されたエルデカルシトールは小腸からのカルシウムの吸収を促進する、活性化されたビタミンD製剤である。副作用として高カルシウム血漿があり、投与後定期的なカルシウム濃度の測定が注意喚起されている。

デノスマブの低カルシウム血症とエルデカルシトールの高カルシウム血症で打ち消しあって良いんじゃない?って思うけど、サプリメントは臨床試験のデータに乏しい事と、ビタミンDが添加されていた場合に作用が過剰となる恐れがあるため、中止とさせていただきました。

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