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抱っこすんの?抱っこせえへんの?

生後8ヶ月になったばかりの赤ちゃん。
人見知りが始まり、まだハイハイはできないけど
気持ちの上での後追いが始まりました。

ママが見えなくなると
「どこ行ったのー!戻ってきてー!」
とばかりに、必死でママを目で追いながら
泣くようになりました。

ママは、放っておくことができず
つい抱き上げてしまいます。

抱っこされると赤ちゃんはピタリと泣き止み笑顔になります。
家事はさっぱり進まないけど
ママは赤ちゃんの笑顔が見たくて
たくさん抱っこしてあげることを優先する子育てを
されていました。

ある日、支援センターに遊びに行きました。
そこで、まだハイハイしないこと、
おすわりが安定しないことを指摘されました。

「あなたが抱っこばかりするから
この子の筋肉の発達が妨げられているのですよ。
もっと床で過ごさせないとダメ。
このぐらいの月齢からが大事なんですよ!」

ママはその日から
赤ちゃんがどんなに抱っこをせがんで泣いていても
意識的に抱っこを我慢しました。

この子がおすわりしないのは、
自分のせいだ・・・と責め、
要求を叶えてあげることなく
泣いている赤ちゃんを放置する自分をも責めました。

さて。

抱っこしたら筋肉が発達しないのでしょうか。
おすわりしない理由は抱っこだと・・・?

首のすわり、寝返り、ハイハイもおすわりも、
特訓したら早くできるようになる、ということではありません。
これらは発達にともなって自然におきてくることです。

首を鍛えるため、体幹を鍛えるため、
なにか特別な運動をさせたり、
トレーニングなどをする必要はないし、
そういうことをしなかったからといって
できるようになるのが遅くなるものでもありません。

おすわりは一般的な目安として
6~7ヶ月と言われていますが、

8ヶ月でまだできないとしても、
動きが活発になり、手を振り回したり、
足をつかんで遊んだり、
ごろんごろん寝返りしたり、
いろんなものを口に持っていく仕草が見られるなら
手が自由に使えていることを意味します。

おすわりは実は、
手が自由に使えているかどうかが
重要なポイントになるんです!

おすわりと手先の動きに何の関係が?
と思うかもしれませんが、

重力にさからって腕や足を持ち上げ、
手を使って足に触って遊ぶ、足をなめるなどの動きは、
首がしっかりすわっていて
背中の筋肉が発達していないとできない動きです。

発達には個人差があります。
5ヶ月で座る子もいれば9ヶ月までかかる子もいます。
8ヶ月でできないからダメってことはないです。

手足を元気に動かし、
スタイをつかんで口元に持っていき
ベロベロに舐めている時点で、

手を器用に使っている
=まだおすわりできないけど様子見で大丈夫!

だと思います。

泣かせておくことがママのストレスになるぐらいなら、
我慢せずにどんどん抱っこしてあげればいいのです。
おすわり遅めの原因は、抱っこしすぎではありません!

「あなたが抱っこばかりするから
この子の筋肉の発達が妨げられているのですよ」

という話を聞いた直後、今度は
4ヶ月の赤ちゃんのママからこんな話が出てきました。

すでに職場復帰されていて
赤ちゃんは職場の託児所に預けておられました。

それを健診で伝えると、

「たくさん抱っこしてあげないと
サイレントベビーになりますよ。
このぐらいの月齢からが大事なのですよ」

と言われたのだそうです。

「わたしは他のママたちのように
24時間赤ちゃんと一緒に過ごしているわけではないです。
早期からの保育園生活は悪なのでしょうか。
このままだと、
この子は愛情形成不全になってしまうのでしょうか・・・」

ママはひどく落ち込んでおられました。

仕事と子育ての両立を
必死にがんばっているママに対して、

『抱っこしないとサイレントベビーになる』

そんな短絡的な表現を投げかけるのは
いかがなものかと・・・。

ママが子育てを放棄し、
極端な放置を繰り返すことで
赤ちゃんはママに要求を伝えることをやめてしまいます。
愛情を受け取ることができないまま心を閉ざした赤ちゃんを
サイレントベビーといいますが、

仕事してるからって、
愛情不足になるわけじゃないです。

関わる時間は短くても、大事なのは気持ちの問題!
わが子を「大切」と思える心があるのなら、
サイレントベビーになんか絶対なりません!

『抱っこしたら筋肉が発達しなくなる』

『抱っこしなかったらサイレントベビーになる』

抱っこすんの?
せーへんの?

すべきやの?
やめるべきやの?

結局どっちやのー?

と、思った
2つの両極端な事例でした。

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