そして科目修得試験へ
科目修得試験。
日大通信生なら避けては通れない難関である。
初めての試験は
哲学概論
国際政治論
社会科公民科教育法Ⅰ
の3科目を受けた。
本当は4科目受けるつもりだったのだが、
レポートがどうにも間に合わなかった。
これもまた自分だ。こうなることは分かっていた。
3科目全て合格し、年度内には公民科の免許を取得しようと考えており
張り切って受験した。
一限の哲学概論の試験の問題を見た時にこの計画は崩れ去った。
「同一律、矛盾律、排中律を説明せよ」
心が折れた音がした。
全く知らない言葉だった。
何か書かなければならないことは分かっていたが、
人間は聞いたことのない単語を説明しろと言われると固まるらしい。
固まったまま5分程動けなかった。
動けるようになったあともどうにか推測できないかと粘ったが、
何も書くことが出来ずに白紙で提出した。
人生で初めての白紙提出だった。
この時ほど強くスポーツをやっていてよかったと思ったことはない。
なぜなら、絶対に落とせない試験の落第が決まったその10分後には
すっかり切り替えて次の試験の準備に入れていたからである。
学生時代はサッカーをやっており、GKというポジションだった。
GKは味方に指示を出し、時には味方を叱責しなければならないポジションである。
それは自分が大ポカをした後も変わらず、自分のミスで失点したとしても、
次の瞬間にはさっぱり切り替えて味方を叱責しなければならない。
何度「お前に言われたくねえよ」と思われたことだろう。
この経験が大人になった今、この場で役立つとは。
すっかり切り替えた私は二限の国際政治論をすんなりと書き上げ、
20分を残して颯爽と退出し、しっかりと合格した。
結論:やるべきはスポーツである。
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