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富山県魚津市 手打ラーメンやまや

富山県魚津市、手打ラーメンやまやさん。
先ずロケーションが最高です。
至る所からわんさか水が湧き出る富山湾河口付近の川沿いに位置します。
魚津駅から歩いて向かいましたが、大小様々な古い水路が張り巡らされており、失われしもの好きには格好の散策コースとなっているのも魅力です。

入店に先立ち、店内入り口ですが、正面入り口と裏口とふたつあります。裏口から入店したら常連気分を味わえますが、食後のデザートの塩梅で帰りしまに、入店とは違う景色を味わう方がわくわく指数が高いです。実際、裏口から出ると水団子屋さんがあります。わーい。

椅子もテーブルもちっちゃくて愛おしいです。なでなでしながら愛でていれば中華そばの到着です。
限りなく琥珀に近い透明、塩ラーメン?ですね。出汁の甘味がだらしなく決壊しないように塩味の角がバツッと立っています。化調もいます。先行する生姜の味。
駅前の「ラーメンの店」もそうでしたけど生姜が効いてます。正確に言うと生姜を目立たせないように効かせています。スープを口に含んだ時に、なんの出汁か解らなくさせているのは生姜の使い方でしょうか。具材から逆算して推測すると、パスパスのモモ肉からは、イノシン酸が全てスープに移行してるのが見て取れます。そして昆布のグルタミン酸。スープの琥珀色から察するに、昆布はしっかりした一番出汁だけですから更にイノシン酸も含まれていますでしょう。貝類のコハク酸のような甘さもいる気がします、カエシかな。

そして問題の生姜。
生姜の甘さが肉臭さと海臭さをマスクして旨みだけの塊にしてるんじゃないかな。
だから最初なに出汁か分かんなかったのか。生姜のアミノ酸を引き出すために擦りおろしをサラシに巻いて投入してるのかな。スープの脂が極端に少ないから、脂は寸胴内で蓋の役割に徹しているかも。だとしたら動物脂の臭み消しに生姜は絶対欠かせない。
などなど思案していたら、一口目に舌に走った化調味も気になって(2回目の訪問時には、あまり化調を感じず塩気も立っていませんでした)、どの部分をブーストしたいのかなと思い、かなりのリソースを割く昆布の物価指数を調べたらやはり新潟、富山、石川の3県が特に全国平均より高くなっていて、化調は誇張ではなく原価費高騰から逃れられない3代目の、初代の味のバランスを崩さない支えなのだと理解しました。

「下位力士の挑戦を堂々と受けて立ち、少々先に攻められても余裕を持ってしのぎ、自分の型に持ち込んで危なげなく勝つこと」みたいな麺については会った時分に。

1978年、全国味の横綱番付において北陸部門の横綱に選ばれてからも、横綱相撲を貫いてきたシンプルで底力のある中華そばです。

苫小牧「で忠」、仙台「嘉一」と並ぶ好きな塩ありました。

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