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年をとるのがこわくなくなるたったひとつの方法
気づけば、いくつもの年を重ねててマジ!? と驚くことはある。いつの間にそんな年齢になっちゃったんだっけ……引くわ! と思ったりもする。
でも、「年をとるのがこわい……」みたいなのもあんまりない。年をとるのがいちばん怖かったの、いつだろうな。28歳ぐらいのときかも。
今思うと理由はわかりやすい。
「30歳までに結婚しないと詰む」
「30歳までに専門を持たないとライターとして詰む」
「30歳までに自著を出さないとライターとして詰む」
という〈神話〉が身近にあった。飲み会で誰かしらがそんな話をしていた。
とにかく結婚さえできればよい……と、死にもの狂いにウエディングマーチにこぎつけ、その後、夫の悪口を言い続けている人も目撃した。”アラサー憑き”みたいになっちゃった29歳の自分を想像して怯えた。
クリスマスは彼氏と過ごしたいし、彼氏のいないクリスマスイブに耐えられないという理由だけで、〈シングル救済クリスマス会〉を主催していた私が、この呪いを無傷で乗り越えられる自信はなかった。
挙句、仕事までタイムリミットが重なってくるとはー! って感じだった。
結果、どうなったか。毎日楽しく、働き、遊び、飲んでるうちに、29歳になり、30歳になった。何も起きなかった。世界はとくに変わらなかった。
それ以降、明確な「こわさ」には出くわしてない。ただ、その話題には繰り返し直面する。自分自身も「このまま年を重ねていくと、どうなっちゃうんだろうなー」みたいな、ぼんやりとした不安を覚えることはある。
赤坂にある「スナックひきだし」に初めて遊びに行ったのは、ちょうどそんな時期。あの頃、私は「40代も半ばをすぎた、いい歳したフリーランスなのに〈面白そう~!〉だけで、仕事になるかどうかもわからん活動に飛びつく暮らしを続けていいのか⁉」と自問自答していた。そんなことで悩む自分に息苦しさも感じていた。
その日、紫乃ママに言われた「ダメって言われたらやめるの?」がずっと心に残ってる。スナックに集った同世代の女性たちと、仕事やキャリア、日々の暮らしについて話すのはすごく楽しかった。バックグラウンドが全然違うのに、悩みは重なるところがけっこうあった。
若い頃は体力任せでなんとかやりきれたことが難しくなってる。
今はもう3日連続徹夜とかできない(←しなくていい)
職場でやたらと包容力を求められてしんどい
残り少ない人生を、他人をケアすることで終えていいのか
自分が心からやりたいことってなんだったっけ……
「ダメって言われたらやめるの?」と聞かれたとき、「やめるとは思えないwww」で納得がいってしまい、それ以来、肩の力がストンと抜けた。まあ、ええんちゃう。やってみて、ちょっと違うなーと思ったらやめる、で! となった。
やってることはほぼ変わってないけど、うじうじお悩みタイムが減った。
スナックひきだしに通い始めたことで、年上の友達がどんどんできた。中でも最高の出会いだなと思ってるのは、R50女性による秘密結社「レディスナ」(レディース スナックの略)。
人生を謳歌しまくってるねえさんたちがたくさんいる。でも、50歳にならないと入会できない。存在を知ったときはまだ40代後半だったので、その日が来るのが待ち遠しかった。
「年をとるのがこわい」と聞くたびに、知らない世界に足を踏み入れるのは、そりゃこわいよねーって思う。小学校だって行きたくなかったもん。
でも、ひと足先にその世界を経験していて、しかも、めっぽう楽しそうにやってる先輩たちを知ってると、こわくなくなる。むしろ、混ぜてほしくてパタパタしちゃう。
そんなレディスナで知り合ったおねえさんたちと本日2/15(日)14:00~、カウンターに立ちます。ご興味あるかたいらしたら遊びにきてください。
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