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#6:マレーシア、妻の一人部屋


こんにちは、ババかずおです。

マレーシアで働く妻、現地インター校に通う子を家族に持ち、居残り一人家長として日本で働きながら暮らしています。さて、Depertureシリーズ#6では、一人マレーシアの地に降り立ち、一から生活を立ち上げた当時の妻の様子を紹介します。


妻の旅路をどう受け止めるか

妻が日本でのささやかな家族での生活に区切りを持ち、あるいは中断して海外での仕事に就こうとしたのか、「おまえは夫としてどう考えているんだ?」と問われても、あいにく自信のある回答は持ち合わせていない。

「奥さんの小さいころからの夢だったからね」と理解あるふりをしたところで、それは相互理解の欠如だったり、あまりに他人行儀じゃないかと、さらなる追及を受けても仕方がないことかもしれない。

けれど、私自身が「これをしたい」と胸を張って言えることがないからこそ、妻のまっすぐな言葉を聞いて、素直に「いいね、頑張んなよ」という気持ちになったのは確かだ。まあ、自分の都合のいいように当時の記憶が美化されているだけで、ひょっとしたら妻からすれば聞く耳を持たない頭カチカチの夫だったかもしれないのだが。

妻からの最初の写真。
きっと空港から街へ向かう道中。

まあ今だに、そしてきっとこれからも何が正解なのかわからないわけで、選んだ道を暫定的にでも肯定し、正解とするほかない。これは嘆きではなく、決意に近い。

一人異国でサバイブする妻を想う

Depertureシリーズ#1「妻のDeperture」で描いたように、空港で私と子に見送られた妻は、どのような想いで飛行機に搭乗し、クアラルンプールに降り立ち、初めての街に向かい、住まいを探し、新しい仕事をスタートさせたのだろう。

最寄りのスーパーに通い、一息つけるカフェを見つけ、インターネットを繋げ、必要な日用品を買い出しし、少しずつ生活に必要なピースを揃え、リズムを整えていった。「何でも自力でやっちゃう妻」とは思っていたが本当に裸一貫でやっちゃったな、そんな妻を直接称えるためでもない妻へのセリフが、何度も私の心では繰り返された。

マレーシアについての予備知識が全くなかった私は、あたかもジャングルのようなところで妻がサバイブしている姿を、必要以上に想像をふくらませることとなる。

通勤に40分かけてろくに整備されていない歩道を歩いているだとか、茂みにはおそらく腹をすかせた野犬が潜んでいるだとか(とにかくわが家は狂犬病を恐れていた)、会社敷地内では1メートルはあるトカゲがいただとか(虫には無類の強さを誇る妻は、爬虫類にはめっぽう弱い)、私は心配する気持ち以上に現地から届けられるデイリーニュースを心待ちにし、勝手にワクワクした日々を過ごしていた気がする。

妻の一人部屋では

あの頃、妻はどんな思いで朝を迎え、マレーシアの太陽に焼かれ、あのけたたましい鳥の鳴き声を聞いたのだろうか。そしてどこで陽が落ちるのを迎え、どんなことに気持ちを寄せながら眠りについたのだろう。

どんな思いで眺めたのか

妻は言う、「あなたは一人で生きていける人だからね」と。私がこざっぱりした日本での生活の様子を話すと、妻は自分の出る幕がないなと思うらしい。今の方が冷蔵庫は整理整頓されているし、洗濯物の皺も少なくなった。ルンバも日々その能力をいかんなく発揮する環境が与えられている(日中誰にも散らかされることのない家はいくらか寂しそうである。そもそもルンバが必要ないのかもしれない)。

そして、飲みかけの紅茶カップがそこらに並ぶこともなければ、ソファにゴロンとなる人もいない。けれど、いつかはまたそんな日々を過ごす時が来るのだろうかと、諦めか期待か、何となく心地のいい時間を待ちわびている自分もいる。


これまで妻はいろんなことに揉まれながらも、何とか現地での仕事に精を出し、子どもは現地インター校で元気に学び、今のところ何とか元気に生活を送ることが出来ています。これもあの時の妻一人踏ん張った時があったからこそ。

最近では、職場や地域の現地の方たちとの交流も何だか忙しそうにやっています。先日はマレー系の子どもの友達の家に招かれ、最高品質のドリアンをごちそうになっていました。ま、そんなこんなでしっかりと根を張りつつある妻。逞しくしている様子はまた別の機会にご紹介したいと思います。

次回はいよいよ、子どものマレーシアへのDeperture。子どもはどんな思いで、その日を迎え、この日を過ごしているのでしょうか。

それでは、次のNOTEで
ーババ かずおー


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