「人は食べたものと学んだことで出来ている」
パンづくりの記録を残す №1
今更ながらの祖父の教え
95歳まで長生きした祖父は「人は食べたものと学んだことで出来ているんだ」が口癖でした。何かにつけてそう発するので、子供の頃の私には右から左に抜けていくだけの一節になっていました。
けれども70歳を過ぎた今、その意味がしみじみ心に響いてきます。この歳になるまで、私は何を食べ続け、何を学んできたのだろうか?そして、この先そう長くはないであろう人生で何を食べ何を学んだらよいのだろうか?
私が食べてきたもの
20代。祖父の教えもむなしく、私は毎週のように甘友と甘味処巡りをしていました。メロンソーダを飲みながらプリンアラモードを食べ、ラーメン屋に寄った後は日本に上陸したばかりのサーティーワンでトリプルアイスを食べる。しかも帰りには不二家のアップルパイをワンホール買って帰る。そんな食べ物でできていた私の身体は、ご想像の通り。
30代、出産を機に子供の成長を考えて食生活を見直しましたが、40~50代は体調を崩す事が多くなり、このままじゃ老後は介護病棟にお世話になる予感がし、真剣に食と向き合うことにしました。脂質や添加物をできるだけ避け、自炊中心の食生活に大転換。
けれども、大好きなパンだけは市販品に頼っていました。美味しいパンを求め遠方まで行くこともありましたが、徐々に体力は右下がり。再度、自分で作ってみようと思ったのは、古希にさしかかった頃です(昔、一度だけ酵母菌を飼っていた話はまた別の記事にしますね)。衰弱する体をホームベーカリーで補いながら、独自のレシピを模索してきました。
私が学んできたこと
パンづくりを始めて13年。学ぶことだらけでした。小麦の種類、温度湿度の影響、イーストの喜ぶ環境・・・プロ職人のYouTubeを見たり、巨匠の本を読んだり、独学で積み上げてきた自己流レシピは今やノート10冊以上になっています。
10冊といっても、材料の書き漏れも多く、肝心の作り方は改良に改良を重ねたつもりが、どれがベスト版かわからない始末。私のパンが美味しいと、レシピ教えてという孫のリクエストにも応えられない残念な現状でした。
私が遺せるもの
そこで、いつかはと思っていたレシピの整理を、家族にも後押しされて流行りの便利アプリを使って行うことを決心。残り短い健康余命でどこまでできるか若干焦りはありますが、撮影やら編集やら孤軍奮闘してみることにしました。
そういえば、父が遺した言葉は「慌てず、たゆまず、欲張らず」でした。いろんな趣味に手を出して、おっちょこちょいの私の人生に、ぴたりと当てたような言葉でした。
祖父や父のように子供や孫に遺せる端的な言葉は私には言えません。せめて孫たちのリクエストに応えて、手作りパンの記録を拙い文章と画像で残してみようと思います。どこま出来るか、いつまで出来るか分からないけれど、パンづくりの記録「パン日和り」をnoteさんのページを拝借して綴っておこうと思います。
「人は食べたものと学んだことで出来ている」
祖父の言葉を一緒に添えて
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?