見出し画像

騎手の脚質 「逃げ騎手」を探す

競馬は、逃げた馬が最も成績が良い。だから逃げ馬を買えば儲かる。
でも「どの馬が逃げるか」を当てることは案外難しい。
かといって「わかりやすい逃げ馬」は過剰人気で儲からない。

理想は「舐められてる逃げ馬」「逃げると思われていないけど逃げる馬」を、(自分だけが)予見しての狙い撃ち。これである。

ではどうしたらそれができるか。
私は今年「この騎手が乗ると、意外な馬で逃げて、案外残す」
という「騎手」に注目してみたい。


1.逃げるかどうかは人気に比例する

実は「人気のある馬ほど逃げる確率が高い」。
このことを知っている人は少ない。のではないか。
下表を見てほしい。
「人気」と「逃げる確率」はほぼ正比例であることがわかる。
(以下、本稿における数値データはすべてTargetにて算出)

2024年 人気別「逃げ回数」と「逃げ率」

人間のかけっこでも、足の速い人はナチュラルスピードで先頭に立つ。
それと同じように、人気のある馬=強い馬=脚の速い馬、と考えれば、人気のある馬ほど先頭に立つ可能性が高いというのは納得がいく。

また、騎乗する騎手の立場に立ってもこれはよく分かる。
人気馬=勝つ可能性が高い馬、に乗った時、自分ならどう乗るか。
逃げるのが一番いい。なぜなら誰にも邪魔されることがないから。
一番自分のペースで走れて、スピード、体力など高い能力をストレートに出し切って他馬と差をつけることができる戦法だから。

前にもどこかの記事で書いたが、これは野球の投手に「あの的に確実に当ててごらん」と言った時、ほぼ全員が直球を投げるというのと似ている。
その場合にわざわざカーブやフォークを投げる投手は(おそらく)いない。
それと一緒で、「確実に勝ってください」と言われたら騎手は、逃げるのが最善手だ。なので人気のある馬ほど、逃げたいもの。

2.騎乗馬の「わりに」逃げている騎手

そういうわけなので「逃げた回数や、逃げた率」の順に騎手を並べると、
単純に上位人気馬によく乗っている騎手の名前が上位に並ぶ。
そしてそういう騎手を単純に買っても儲からない。

いっぽう「人気薄に乗っている=そう簡単に逃げられないような脚の遅さの馬に乗っている」のに「その割によく逃げている」という騎手がいたらどうだろうか?
この騎手は、「逃げ」という作戦を「強い馬がストレートに力の差で押し切るための最善手」としてだけではなく「弱い馬が一発かますための作戦」として活用する意図を明白に持っている騎手たち。と言えるのではないか。
或いは、
「この騎手が乗ると、実力以上に人気がなくなり、舐められた状態で逃げを打つことができる」とも言えるのではないか。
そんな騎手を人知れず狙い撃つことができたら、儲かるのではないか。

そう考えて作ったのが下表だ。
上位にいる騎手ほど「理論値以上に逃げている騎手」ということになる。

 ※「年間騎乗数と年間平均人気からすると、逃げる率の理論値はこうで、
   逃げる回数の理論値はこうなるはず」を算出し、
  「実際に逃げた回数が、それをどのくらい上回ったか」を算出した。
 ※例えば先頭の藤懸騎手は、「年間308回騎乗し、平均人気が9.4だった。
  なので理論値上では18.2回逃げるはずだったが実際は42回逃げた」
  それを「42/18.2=230%」と表現している。

2024年 「騎乗馬の人気の割に、逃げた回数が多い騎手」(逃げ回数10回以上)

こうしてみてみると、「逃げ騎手」のイメージが強い坂井瑠星や松山が上位に来ないことがわかる。彼らは勿論積極性の高い騎手ではあると思うが、
それだけ人気のある=強い=脚が速くて前に行きやすい=行って当然の馬
に騎乗している「だけ」とも言える。

そして藤懸、古川奈、小林美、田中健といった「知る人ぞ知る、逃げ騎手」がちゃんと上位にランクインしているし、エダテルがまだ上位にいることにも感心する。
総じて、「この人らを狙い打って逃げの穴が取れたら儲かるだろうな」
という顔ぶれ。そういう納得感はある。

3.騎乗馬の「わりに」逃げて残せている騎手

さきほどのランキングは「逃げているかどうか」であって、
「逃げ残せているか」は加味していない。
では今度は、「人気のない=残せる可能性が低い馬、で逃げて、その割に残している騎手」を探してみたい。

それが下表。
 ※まず、「何番人気で逃げると、何割くらいの複勝率があるのか」
  の一覧表を参照し、「人気ごとの複勝率理論値」を算出。
  次に、騎手ごとに「逃げた際の平均人気」を算出。
  これらを用いて「その人気で逃げたなら複勝率このくらいのはず」
  という理論値を算出。
  最後に「実際に逃げた際の複勝率が、理論値をどのくらい上回ったか」
  という率を算出。
 ※例えば先頭の太宰騎手は、逃げたときの平均人気が9.7だから理論値上は
  複勝率19%程度のはず。ただ実際は逃げて50%の複勝率があった。
  なので50/19=262%。と表現している。

2024年 「その馬質で、よく逃げ残したな」という騎手ランキング。

太宰、横山琉など逃げて穴を出してるイメージのある騎手が上位にいる。
松本君は2年目でブレークしたときに逃げ達者だったイメージがあり、近年成績自体は落ちていたがまだ逃げ達者のままだったんだなと感慨深い。
そして、
先ほどのランキングに続いてここでも上位に入った藤田菜七子は、つくづく惜しい人材を失ったものだと思う。

4.これが「逃げ騎手」ランキング

ここまでの2つの表を踏まえ、「両方で上位にランクインしている騎手」
を、「逃げ騎手」としてマークし、今年は積極的に馬券で狙っていきたい。
それが下表。
ランク上位の騎手ほど「意外な馬で逃げて、意外なほど残す騎手」
ということになる。

 ※「逃げ回数率」と「逃げ残し率」について、
  ランク1=「両指標がが両方120%以上、且つ片方150%以上」
  ランク2=「両指標が120%以上」
  ランク3=「逃げ回数率が150%以上」
  ランク4=「逃げ残し率が150%以上」
       または「逃げ残し率120%以上&逃げ回数率100%以上」

2024年成績に基づく「逃げ騎手ランキング」

5.馬券での活用

下記、「新年1レース目の予想」に実は「○○騎手は逃げる割合が高い騎手」といった文言を何度か使っている。それはこのことだったのだ。

そして文中の中山1Rで早速スマッシュヒット。
ランク3の佐藤翔馬騎手が騎乗する11番人気ロッキンミーを
「ハナ切って怖い馬」として3連複の紐に加え、万馬券的中。
実際は逃げたわけではなく3番手追走だったが、
それまでの2走より位置取りを上げての激走を予告して狙い打ったのは、
まさに本稿の趣旨に則った理想的な的中。

私の「新年1レース目」予想記事より抜粋

今年はこの作戦で、穴をねらっていきたい。


いいなと思ったら応援しよう!