ポーのバラ
私はかれこれ15年くらい、バラを育てています。
と言っても、この5年くらいは放置に近いですけど、立派に生きていてくれます。
5本あります。
狭い空き地を綺麗にして、そこに元々いたのが1本。
すこしずつ買い足して、今5本です。
その庭は昔、義母がウドを山から移植してきたところで、
住居が今の場所になってからはウドも引っ越し、庭は放置されて、凄い状態になっていました。
錆びついたトタン板をはがすと、もやしのようなものが生えていたり
もぞもぞ虫がうごめいていたり、ぴょんぴょん虫が飛んで出たり
そのトタン板もボロボロな上に、土や埃やゴミが堆積してさらに何かが生えているという、あわわな状態でした。
何の電線かわからず引っ張り出していくと、際限なく引っ張り出て来て、
どうしよう、これ、どこまで行くんだろう、どっかの家の台所とかにつながってたら、「あれま!」な案件だよな~。
あと、新品の三角コーナーとか、洗面器とか…って、きりがないからガラクタの紹介はここで終わります。
そこに、すでに10年近く鎮座していたのが「クイーン・エリザベス」というピンクの背高のっぽのバラでした。
「荒地女王」という名前をつけています。
ここに、私のバラの理想であるところの、クリムソン・グローリーを移植しました。それまでは鉢植えだったんです。
クリムソン・グローリーに出会ったのは、中学生時代。
私が崇める萩尾望都『ポーの一族』第三巻、「小鳥の巣」。
この場面のシルエットが、私のココロに焼き付いて離れなくなったのです。シルエットなのに、真紅だと感じられる。
だからバラといえば、真紅。
青バラブームもなんのその。
時は流れ、ある日ネットで知りました、クリムソン・グローリーは実在するバラだと!
即、探して、注文しました。
第一次世界大戦中、とある農場で咲く姿のあまりの美しさに、そこは爆撃を免れたという謂れのあるバラ。
下の写真、向かって左の真紅のバラがそれです。(見出しのバラもそうです)
部屋には強いダマスクの香りが満ちます。
香りのバラです。
右はディスタント・ドラムス。新入りです(と言ってももう何年も前)。
これは咲きながら色が変わっていく、一粒で何度もおいしいバラです。
この後、淡い灰紫色になってハラハラと散ります。
香りは「ミルラ」。
エジプトでミイラを作るときに、防腐剤として使われた香だと言います。
甘い薬草という感じの香りです。
村上春樹に「遠い太鼓」(ディスタント・ドラムス)という作品があるそうですが、それと何か関係があるかどうかは、わかりません。
こちらは「プリンセス・ド・モナコ」。
モナコ公国の后妃になった女優のグレース・ケリー。
1982年、交通事故で亡くなった年に、捧げられたそうです。
何分、あまり手入れをしていないので、ちょっとワイルドかつ貧相なプリンセスになってしまいました。
もっとふっくらとして、舞踏会のドレスのような、可愛い花なんです。
香りは、バラの香りとしていわゆる「ティー」の香り。紅茶のようで、いかにもバラらしい香りとでもいいましょうか。
今日は荒地女王とモナコの蕾が緩んできていたので、切って花瓶に活けました。
手前のピンク一色なのが、女王です。
もう一本「テラコッタ」というつるバラがあるんですが、ちゃんとツルを誘引していないので、なかなか花がつきません。
花の色は褐色とレンガの中間色です。
それで別名「チョコレートプリンス」だそうです。
(バラには別名が結構ついています。)
これは夫に選んでもらいました。買った帰りに寄ったラーメン屋さんにも連れて入ったのが今でも笑える思い出です。
ちゃんとツルを這わせて、花を咲かせたいと思っています。今年は夫も協力してくれそうなので、楽しみです。
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